54:オーブライト領の一夜
ほんま誤字多くて申し訳ないぃいいいいい!!!
ご報告修正、すっごくありがたいです!!!!!
――日に日に進むハンガリア領の大躍進。増える魅力と領民たちの笑顔。
しかし、
「くッ、運のいい小娘が……!」
周辺領地の者たちからすれば堪ったものではなかった。
隣領『オーブライト領』が主君、ブルリック・オーブライトもその一人だった。
夜も更ける中、豪奢なる屋敷の食堂にて、ワインを呷りながら愚痴をこぼす。
「そもそもだ。ハンガリア領の統治権は、叔父たる吾輩にもあったのだ。それを運よくあの小娘が掠め取れただけ。現在の栄光は本来、吾輩のものであったのだぞ!?」
あぁまったくッと吠え、ブルリックは目の前の少年を睨んだ。
「聞いているのかッ、ケーネリッヒ!?」
「……はい、父様」
男の愚痴に頷いたのは、赤毛の少年・ケーネリッヒだ。彼こそはこの領地の跡継ぎであった。
「すべて父様の、おっしゃるとおりです」
かのハンガリア領の姫君、レイテ・ハンガリアの親類たる彼。
少女の前では強気に振る舞っていたが、屋敷内においては、その矮躯と同じく身を小さくさせているのが常だった。
「ふんっ、愚かな息子よ。貴様は一度こう言ったなぁ? 〝レイテが領主となったのは、当時荒んでた地の管理を嫌い、父様が押し付けたからだろう〟と。またそんなことを考えているのか!?」
「いえ、滅相もございません……」
――何年も前のことをいつまでも詰るな、と心中で吐き捨てる。
だが口にはしない。容赦ない殴打をまた喰らうだけだからだ。
「まぁよい。あぁまったく、あの銀髪の小娘が。十歳で領地を引き継いだ時には、ピーピーと泣き喚いていたというのに」
ブルリックはかつての少女を知っている。
十歳の折、両親の事故死によって突然の次期領主となった際の醜態を。
「それが今や女王ヅラしているだと? 調子に乗っているわ!」
グラスを床に叩きつけ、ブルリックは盛大に怒気を吐いた。
――その反面、ケーネリッヒは気まずげだった。『女王ヅラ』という父の言葉を前に、ぽつりと思う。
(気丈になるしか、なかったんじゃないだろうか……)
かくして、愚痴を吐き続けるブルリックと、それを粛々と聞き続けるケーネリッヒ。
「あの土地の正当後継者は吾輩だッ! いつか必ず奪い返してやるぞ!」
「そうですね、父様……」
一方的な親子のやりとりは、月が傾くまで続くのだった。
・ここまでありがとうございました!
【Twitterマークを押し、SNSで「極悪令嬢」読んだ報告してくださるとうれシーサーです!!!感想ちょっとでもお待ち中!】
上とかのツイッターボタン押すといけます!




