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◤書籍化&コミカライズ配信中!(検索!) ◢極悪令嬢の勘違い救国記 ~奴隷買ったら『氷の王子様』だった……~  作者: 馬路まんじ@サイン受付中~~~~
第四部:学園の聖女扁

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153 スライムに転生しよう!



「「「商業系の部活動を見て回ろう?」」」


「うむ、そうだ」



 カザネ先輩を仲間に迎え、さらに数日。

 あれからもみんなで色々出し物を考えてみたけど、なかなかベストなものは思いつかなかった。

 そこで、



「我らは全員が商売の素人。このままでは埒が明かんからな。商会持ちの貴族子女がやっている部活を参考にするのだ」



 と、カザネ先輩が提案してくれたのだ。

 ソレすっごくいいと思う!



「ジャックくん(殺人鬼)はなんか刃物店とか動物の解剖図公開とか怖いことしか思いつかないし、アシュレイ(変態)はなんかわたしのグッズ出せ出せしか言わなくてキモいから、ちょうどいいわ」


「うっ」「う!♡」



 ダメージを受けているダメンズども(片方は感じてる……!?)。

 あんたらはマジで反省しなさい。



「なぁレイテ・ハンガリア、なんでそんなやつらを引き連れているのだ……?」


「よく考えたらわかんない……」



 こうして人事についてちょっと悩みつつ、わたしたちは参考になる部活巡りを開始したのだった。



 ◆ ◇ ◆


「大文化祭で出し物に迷ってる!? マヨネーズですよマヨネーズ! マヨネーズ出しておけば問題なしですよレイテ様ッッッ!」



 一番目。

 わたしたちは『マヨネーズ部』というクッッッソふざけた部活にやってきていた。

 まぁこの学校、部活設立がガバガバフリーダムで、ほかにも『床磨き部』とか『変な形の石見つけよう部』とかあるんだけどさ。



「これどうぞレイテ様ッ、新開発のたらこマヨネーズです! マヨの酸味と油によってたらこ成分が腐敗しづらい傑作で~~~!」



 んで。

 そのマヨ部の部長を務めるのは、アズ・ラエルとかいうちっさいガキだ。実際、十歳くらいらしい。

 さっきからマヨ容器をほっぺにぐにぐに押し付けてきてうざいが、こう見えて『商国ラルゴ』の有力人物だとか。

 海の商業中心地を海運国とするなら、商国はまさに陸の拠点。

 そこで彼は超長期保存&味にも優れた改良マヨネーズを開発して大成功し、大商会『マヨ・ラエル』を興し、ついには貴族の地位を買って今に至るそうな。

 ゆえに、ついたあだ名がマヨ男爵だとか。



「おらッ俺のマヨ喰らえレイテ様!」


「うざいからやめろ!」



 マヨマヨとうるさいガキをデコピンで転ばせ、一応、差し出されたマヨネーズを受け取って見る。



「ふん、そこまで言うならためしてあげるわよ。なにかマヨをかける食べ物ないかしら」


「直に吸えェエエ~~~~~~!」


「吸うかッッッ!」



 そこで、カザネ先輩が「そういえば」といい、紙袋を差し出してきた。

 ああ、途中で『トマトにギリギリまで水あげないで甘くなるか枯れるかのラインを見極めよう部』からトマトもらってたわね。ちょうどいいわ。



「どれどれぇ。さっそくトマトにマヨ塗って……」



 みんなでぱくっと!



「「「「あっ、おいしー!」」」」



 普通に野菜と合って絶品じゃないの!

 狂ったマヨガキが作ったものだから、正直不安だったのに。



「さすが、商国ラルゴでマヨ一本で成り上がった天才ね。ウチの領地でも仕入れたいわ」



 商国ラルゴは旧公国があった砂漠地帯とほど近いところにある。

 シャキールくんのラグタイム公国の復興がてら、人員の物資補給のためにもヴァイスくんに、ラルゴとの運搬ルートを強化する案を出しておきましょう。



「ありがとうマヨ男爵。マヨ料理を出す飲食店、ありね!」


「俺のマヨを吸えレイテェエエエエエエエ!」


「生産者はなしね……」



 こいつとは取引以外で関わらないようにしましょう……。



 ◆ ◇ ◆



 二番目。



粘耐生物(スライム)を売ろうぜレイテ様!!!!!!」


「えっうるさいし怖いんだけど……」



 次にわたしたちは、『スライム部』にやってきた。部屋中、謎生物がうようよと這っていてめっちゃ不気味だ。



「スライムだ! この素晴らしいスライムたちを聖女のあんたの手で各家庭にッ!」


「さ、先走んなしっ」



 ちなみにスライムとは魔獣の一種である。

 数いる魔獣の中でも最弱とされ、生きている人間はよっぽど襲わず、せいぜい死体を溶かす程度のザコいグニグニとされている。

 で。



「……噂通りのスライム好きなのね、部長のリアム・ダイクンさんは」


「スライムが人生の九割だからな!!!!!」


「もちもちな人生ね」



 さっきからスライムスライムうっさいこの男は、『スライム魔学者』のリアム・ダイクン。

 見た目は一見地味そうな青年だが、目がぎらんぎらんしてて超怖いやつだ……。

 ハイテンションなときのドクターに似てるかも。



「あんたのことは知っているわ。かのルクレール聖国に生まれたというのに、魔を徹底して嫌う風潮に反逆してスライムを研究しまくってた異端児だとかで」


「俺の話よりスライムの話しようぜ!!!!!!」


「なんなのあんた!?」



 リアムこいつマジでスライムの話しかしないじゃない!



「スライムねぇ。たしかに水に乏しい地域では、スライムの堆肥を吸収する性質を利用して、トイレ掃除屋にしているとも聞いたことがあるわ。あとは生ごみの処理とか。けどそれくらいの用途しかないんじゃ……」


「ふっふっふ、わかってないなぁレイテ様。死んだあと立派なスライムに転生できないぞ?」



 誰がするか!!!



「見るがいい、スライムの神髄を。――スライムたちよ、おすわり!」


『スララァーーーッ!』



 瞬間、部屋中にいたスライムがリアムの言葉に従い、ぐにんっと頭(?)をへこませた!

 こ、これは……!?



「こいつら、人語を理解しているの? しかも言うこと聞くの? 雑魚な上に低能とされるスライムなのに?」


「スライムディスるな脳みそにスライム植え付けるぞ!!!!」


「ひえっ!?」



 こいつこわーい! できればプライベートで関わりたくなぃいいいいい!



「ふぅーー……まぁスライム検定五級もない一般人の意見だからな、ここは聞き流してあげるとしよう」



 スライム検定ってなに!?



「まぁレイテ様の言うとおりだ。たしかにスライムは低能とされている。というか脳がないからな。反射で動いていると言ってもいい」



 だがッ、と。リアムはスライムを高らかに持ち上げ、



「だからこそ! 生まれた瞬間から徹底して命令と報酬の餌やりを行い続ければ、三年ほどして簡単な指示が聞けるようになるとわかったのだあああああ!」


「お、おおおお……!」


「スライムは最弱だからこそ、魔獣だというのに人を襲わない! 先に述べた学習能力と合わせれば、家来として扱うことも可能じゃあないのか!?」



 たしかに、それはいけるかもしれない。

 単純で単調な軽作業。やれば簡単だけど、それでもやるにはちょっとの労力と時間を消費する仕事なんかを、スライムに任せることが出来たら。



「地味に、生活に革命がおきちゃうかも……!」


「そう!!! スライムは素晴らしき存在なのだあああああああ!」



 おお~。アズに続いてリアムってやつも、狂ってるけどやるじゃない。



「スライムを出し物の従業員に使うの、ありね!」



 ちょうど人手が不足してるし、うちにとってはうってつけかも!



「スライムの素晴らしさが分かって何よりだレイテ様! 死んだら、俺と一緒にスライムに食われてスライムに転生しような!!!」



 それは絶対にしないけどね。


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