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05. 焚火の前のおはなし

うまいもの食うとテンション上がるな!


用意されたシチューなる料理は非常にうまい。食べたことなかったそれだけでめっちゃうまい「食パン専門店」というパンも半端なくうまかった。

食事も大分切り詰めていたからな、5皿くらい、パンも3枚くらい食べてしまった。

一応ロクもガンガン食べてたから独り占めはしていない、はず。


満腹の後は何もせずに焚火を眺めるのだ。白湯を飲み一息ついた後これからを思った。うまい飯は食べられたが、それまでだ。

やることは多く、やれることは少ない。月も大分上に昇ったし相談の時間かな。


「ねえ、ペルくん」


おっとあっちも同じ考えだったか。


「これからのことか」


「うん、そう」


白湯をゆっくりあおり唇を潤した。


「寝る場所はある。酷く原始的で雨風を凌げるくらいだがこれ以上は無理だ。後は食物だ、これはどれくらい作れるんだ」


「作るっていうか、出すだけならできる。でもあまりできるものでもないから、食事だけにリソースは使いたくないかな」


「私が狩りに行くか?森も近い、獣や鳥も探せばいるだろう」


「ううん、しばらく僕の手伝いをしてほしいんだ」


ほー手伝いと来たか。


「僕が前いた場所では人が生きていくうえで大事なものは衣食住っていってたんだ」


「着る、食べる、住むか。なるほどな」


「住むはもう後回しにして最優先は食べる、次は着るだと思う」


「着物の作り方なんて知らないぞ。綿花か獣を狩ってその毛皮を利用するかだが、私はなめし方も綿花の紡ぎ方もわからん」


「実は僕も。もう少しいうと畑の作り方もわからない」


そうかい、それは困ったもんだな。


「ううん、魔法の力で作物はどうとでもなるんだ。ただそれやると疲れるから食事は一日一回になっちゃうけど」


うーん、いいよとは言い難いな。しかし何かしら犠牲にしないといけないのか。


「あとね、僕は戦えないから猛獣とか魔獣にあったら多分死んじゃう」


なるほどね。


「それは私がどうにかしてやろう、ある意味そのために来たようなものかもしれないからな。それ以外は任せてやる、相談には乗ってやるがな」


彼がぽかんとした顔をした。


「いいの?もう少し意見が違くなると思ってたよ」


「どっちにしろ食事関係はお前に任せない限り安定しないだろ。狩りもまだ何がいるかわからないからな。どこかで行くにしろ今ではない、罠くらい仕掛けておくのはいいかもしれんがね」


ありがとうと言った後ロクは少しだまってまた話しかけてきた。


「ね、どんなもの作りたい。建物でも食べ物でも」


「食べ物ではないかもしれないが酒の類は作りたいな」


「お酒か、いいね。やっぱり文化とアルコールは切り離せないね。僕はね、すごい建物!いつか世界中からそれを見に来てくれるような世界的な遺産になるような建物!」


随分きらきらとした目で語るんだな。


「でかいとか、きれいとか。どんな感じがいいんだ」


「まだわかんない、この場所にあったものの方がいいだろうし。あと畑もいっぱい!果物も好きなんだ、果樹園もいいね」


「おいおい、話が飛びすぎだぞ」


笑いながら注意した。こいつが妙にやる気だったのは目標とも言えないこんな夢があったからなのだろう。こいつの人生がどのようなものは知らないがこの場でここまではしゃげるのか。

こんな人もいない森の境目でこんなに将来を楽しみにできるのはある意味才能だ、私はそんな才能に乗っかってみようとおもった。


「任せたぜ、まずは目指せ村長だな。何人くらいほしい?」


「たくさん!」


それはもう町じゃないか?まあ正確な境目なんてわからないが。

ふふふと笑いが出た。


森の奥からは鳥か獣の声が聞こえる。そうだな、そっちはお前らの国だな。

ならばこの揺らめく焚火が照らす範囲は人の国だ。

出てくるなよ、悪いが姫様からの命令関係なくこいつの行きつく場所を見てみたいんだ。

まだあやふやな未来への思いを私に懸命に話す言葉に耳を傾けながらそう思ったのだ。

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