50話 ルビィの挑戦⑤
ルビィが闘技場に立ち、相手も立つ。
「それでは準決勝第2試合を始めるぜー。
さっきは色々あったけど、テンション上げていくぞー!!それでは今回の台風の目、双剣使いのルビィ!!既にファンクラブの人数は3千人を超えたらしい。人気、実力も持っている今人気ナンバーワンだー。続いて対戦相手は前回優勝者の獣人族の王子、ラリオン=マーだ!!
その実力は周知の事実!今回も優勝して2連覇なるか!?それでは試合開始です。
「それでは準決勝第2試合、始め!」
その瞬間、両者が消える。ルビィが2本の剣を巧みに操り攻撃を繰り出す。ラリオンは剣と盾を使いルビィの剣を防ぐ。
見てる者には激しい音と残像の様な2人の姿しか見えていないだろう。
ルビィの剣を盾で受け弾く。その瞬間剣が大きく弾かれルビィが体勢を崩しかけるが弾かれた方向に一回転し、2本の剣で同時に攻撃する。しかしそれを読んでいたラリオンが盾で再度シールドバッシュを2本の剣を弾いた。体勢を崩したルビィにラリオンが連続の突きを放つ。
スキル・乱れ突きだ。それをルビィは体勢を崩したまま回避する。回避出来ない突きは剣の腹に当てて防ぐ。
突きで服など切れているが、肌には傷はついていないようだ。相手の乱れ突きが終わったと同時二刀両断をルビィが繰り出す。上段から振り落とされる剣をラリオンは剣で弾こうとするが、剣が砕かれる。すぐに盾を構えてシールドバッシュを打つが剣に軍配が上がり、盾が砕かれそのままラリオンの左腕を深く切り裂く。剣も盾も失ったラリオンが深い傷を負っている。審判が少し動くも続行する。
ラリオンが大きな咆哮を上げ、全身から金色のオーラがラリオンを包む。ラリオンの左腕の傷が徐々に塞がり、ラリオンがルビィに向かい渾身の拳を打ち込む!
速い!?咄嗟にルビィは剣をクロスしてラリオンの拳を剣の腹で受ける。
そのままの姿勢で5メートル程後ろに押し出された。そのままラリオンはさらに渾身のパンチを打ち込みにいく。これを受けてしまうとルビィは場外に落ちてしまう。
ルビィはクロスしていた剣を今度は相手に刃を向けた。その瞬間、ルビィは消えた。2人は交差し、ルビィは剣を振り切った姿勢で、ラリオンは拳を突き出した姿勢でしばらく動かない。
次の瞬間、ラリオンは体に2本のクロスした傷から血が吹き出し、ラリオンは倒れる。ルビィがラリオンに向く。
ラリオンは立ち上がろうとするが、傷が治る前にラリオンのオーラが消えた。
そのままラリオンは気を失い
「勝者、ルビィ!」
うおぉぉぉぉぉーー!!
凄い歓声だ!
観客はあまりの速さに見えていない事も多かったが、だが見える部分も少なく無かった。さらに最後のシーンはどっちが勝つんだ!?そう熱狂せざるを得ないシーンだった。
最後にルビィが放ったスキルは二刀流上剣技で覚えた瞬歩双斬だろう。
あのタイミングでしかない場面できっちり決めてくるとは。正直震えたよ。
俺の件があって少し落ち込んでいた雰囲気が一気にボルテージが上がり、最高の状態だ。
ルビィは歓声を受けて、観客に手を振っている。いつも通りである。そしてリンとフェンリルを見つけ、両手を振って飛び跳ねている。リンも手を振っており、フェンリルも手を上げて応えている。あ、今回は寝てないのね。まぁ、見応えのある試合だったからな。
ルビィが控え室に戻ってくる。ここから少し休憩を挟んで、決勝だ。俺とルビィで決勝を戦う。まぁ、初めから分かっていたのだが、正直俺の優勝で終わる思っていたが、今のルビィなら間違いなく苦戦する。
下手したら負けるかもしれん。
俺達はハイタッチをして、喜びあった。
そこにリンとフェンリルが来て、一緒に喜んでくれる。ああ、コイツらと出逢えて本当に良かったなと思う。
するとドアがノックされて
「先程の対戦相手のラリオン様がルビィさんにお会いしたいそうですが、どうされますか?」
ルビィは俺の顔を見て、俺は頷く。
「ハイ、どうぞお通しください」
すると扉からラリオンが出てきて
「ルビィ殿、先程の試合、とても楽しかったぞ。いやー、久しぶりに負けた!!ガッハッハッー。俺はアンタに惚れた!俺の嫁になってくれないか?」
「え?ヤダけど?」
「何故だーー!?こう見えてもカッコいいだろ、ホレ!このたてがみ!!獅子族の中でもこれ程立派なたてがみを持ってるのは俺と親父くらいだ!!」
「え?だって私にはアラシがいるしー」
「何!?くっ!!アラシ殿、俺と戦ってはくれないか?決勝の後で構わん。勝った方がルビィ殿を貰い受ける。それでどうだろう?」
『うむ、断る!!』
「何故だー!?そうか負けるのが怖いか?
ルビィ殿を取られるのが嫌なのだな!!」
『おい、ルビィは物じゃないんだ。賞品みたいな扱いするな。あと、アンタと俺が闘っても確実に俺が勝つが?』
「そうだよー。私は自分の意思でアラシに着いていくって決めたんだからー!」
「くそう!しかし俺が勝てば見直してくれるはずだ。やはりアラシ殿、決勝が終わった後に決闘を・・・」
「コレ、見苦しいぞ、それにお主じゃアラシ殿と何度やっても勝てんのじゃ。何せワシに勝った男だからのう。」
「ん?なんだ?子犬か、ちょっとお前は黙って・・・・・」
「も、もしかして・・・・フェンリル様ですか!?こ、これは大変失礼な事を・・・」
ラリオンは飛び上がり土下座する。
おおーー!!ジャンピング土下座!!
初めて見た!!
「よいよい、分かれば良いのじゃ。」
「そ、それにしてもフェンリル様が勝てないなどとは・・・アラシ殿、アンタどんだけ化け物なんだよ!?」
『今なら普通にやって互角だよ。
普通じゃなきゃ確実に勝てるけどな。』
「いやいや、それだけでも大したもんだよ。
それよりそこに居るのは魔族だろ?」
『ああ、そうだ。今は俺が預かっている』
「そうか・・・。俺達獣人の大陸は人族と魔族の大陸に挟まれてるのは知ってるか?」
『ああ、知っている』
「今は人族と同盟を結んでるから、俺達は魔族との国境だけ重点的に守ってるんだ、だが魔族の力は半端ねぇ。そいつクラスの奴はゴロゴロいるし、冗談じゃねえ程強い奴もめちゃくちゃいるんだ。まぁ、唯一の欠点は数が少ないって事をぐらいだな。」
なるほど、そうなのか。魔族は数が多くないのか。
「でもよぉ、それでも奴らは半端ねえ程強いからな、いつ国境が破られ獣人国に攻め込まれるかわからねぇ。しかもこれまでの戦争で何人殺されたから数えられん程、殺られている。だからよぅ。あんたが言った事も分かるんだ。分かるんだがよぅ、何て言ったら良いんだ?」
『頭では理解しても、心が納得してないんだろ?』
「そう!それだ!アンタ上手い事言うな!」
『これは俺が言ったんじゃない。ここにいるスナイダーが言ったんだよ』
「やっぱりアンタ、魔族の言葉が喋れるんだな。」
『まぁ、な。コイツと言葉を交わし、拳を交わした俺だから言えるが、コイツは悪い奴じゃない、だからお前の言いたい事は分かる。でも俺の言ってる事も理解は出来るだろ?』
「まあな。だがアンタが思ってるより、この問題の闇は深いぞ。特に人族は大量に殺害されたり、誘拐されたりしてるからな。魔物族の大陸から何度かやられてるはずだ。」
『そうか、分かった。忠告感謝する』
「おう、実際俺も争わなくて良いなら、それならそれで良いんだ。お互い理解して歩み寄れればな。」
『そうか、獣人族はそう考える者はいるのか?』
「まぁ、少数派だろうな。今はまだ」
『なあ、スナイダー。魔族はどうして人族や獣人族と争うんだ?』
「そうだな。俺の個人の意見としてで良いか?」
『ああ、構わない。』
「俺がアラシに言った人族や獣人族が悪だと思ってるって言ったのは本当だが、これは2番目の理由なんだ。1番の理由は大陸の豊かさだ。魔族の大陸の半分以上は極寒の地だ。食物も育たず、生きていくのには厳しい環境だ。有るのは食えない鉱石とかばかりだ。だから、豊かな自然のある大陸を夢見る。
そこで悪と言われている人族や獣人族は昔に俺達の大陸を奪い、この地に俺達を追いやったと、それなら奪い返せば良いと思ってる」
ああ、なるほどな。そう言う理由か。奪われたなら奪い返せって事なんだろう。
俺は今聞いた事をラリオンに伝える。
「なるほどな。俺達が聞いてる歴史と違うんだな。」
『まぁ、それぞれの族が自分達に都合のいい様に伝えれば歴史なんて簡単に変わるさ』
俺はミッシェ先生に色々聞いて、色々尋ねた。なるほど、なるほど。
またやる事が増えたかもしれん。
まあ、今はこの後の決勝の事だな。
「そんじゃ、とりあえずルビィ殿の件は保留で。それと、フェンリル様の主人なら獣人国も大歓迎するぞ。暇な時でも遊びに来てくれ。俺の友だと言えばすぐに通してくれるだろう」
『いつから友になった?』
「今だよ、今!ああ、そうだ。友ならこれを渡しておく」
何かいつものパターンだぞ?
そう言ってラリオンは小さな箱を渡してきた。
「獣人族の獅子族王家の紋章の入ったメダルだ。王の代理人なら使い方は分かるだろ?」
俺は箱を開き、中を見る。
そこにはメダルの埋まったブレスレットがあった。
『使う時が来たら使わせて貰う。』
「ああ、また表彰式で会おうや!」
そう言ってラリオンは部屋を出ていった。
リンとフェンリルも貴族席に戻る。
俺は空いてる時間にスナイダーと色々話をした。ルビィは体を動かしている。
それから少しして、司会者からの決勝のコールが始まった。
これから俺とルビィの決勝が始まる!!




