49話ルビィの挑戦④
ルビィの2戦目が始まる。
相手はAランク冒険者で弓を持っている。
試合開始と同時にルビィが相手にむかついく。相手は3本の弓矢をルビィに打つ。
ルビィが3本の弓を前に進みながら回避すると、ルビィは何もない所で剣を振るった。すると弓矢が3本切られて下に落ちた。
なるほど、スキルか、そういう弓か。
ルビィはそのまま相手に近付く、すると相手はルビィの後方に向け、3本の弓矢を放ち、その後短剣を構えてルビィを待ち構える。ルビィは突っ込み剣を振るう。
1本の剣は短剣で何とか防いだが、その後に短剣はヒビが入り壊れる。
もう1本の剣が肩に傷を負わせて、そのまま斬れば勝負が決まる瞬間、ルビィは剣を引き、横にヒラリと動いた。
すると後ろからルビィに飛んできた3本の矢はそのまま相手に突き刺さる。相手は倒れて勝負あり。
弓は自動追尾の矢だったらしい。
凄い歓声を受けながら、ルビィは笑顔で手を振っている。何かファンクラブの奴が増えてないか??
俺はルビィとハイタッチし、
ルビィに見えない矢と追尾の矢の事を聞いた。
見えない矢はまったく見えないのではなく、よく見れば見えるとの事。集中してれば問題なかったらしい。
追尾の矢は以前冒険者が使っていたのを見た事があるらしい。
タネさえ分かれば、風の音もするし、位置は分かるそうだ。そしてギリギリにかわした。
なんか常に一緒にいるとわからんが、離れて見ると、凄い子なんだなーと思う。
そして準決勝の前に休憩を挟む。
外に出るのも面倒なので、外にいる兵士に頼み、リンとフェンリルを控え室に呼んで貰った。
俺は控え室で料理を作り、それをみんなで食べた。リンに話を聞くと、今の所ルビィの人気が凄いらしい。ファンクラブがドンドン増えてるらしい。
俺は伝説になる男と言われてるらしい。
伝説の戦いが見れると期待しているので
1戦目は良かったが、2戦目が地味だったので、盛り上がりに掛けたと周りが言ってるそうだ。
だからそこそこの反応だったのか。
賭けも大盛り上がりらしい。
俺は始め3.6倍だったが、今は1.1倍だそうだ。
ルビィは3.2倍が1.5倍。
前回優勝者が1.3倍
フード男が2.2倍だそうだ。
次か準決勝なので、倍率が下がるのは分かるが、もう本命になってるようだ。
フード男は次が俺との対戦なので、倍率が高いらしい。
少し話をして、リンとフェンリルは兵士に連れられ貴族席へ。
俺とルビィは控え室で少し体を動かし、
俺の準決勝が始まる。
「それでは、お待たせしました!!」
準決勝第1試合を始めます。まずはこの男!伝説になる男・アラシ。今日の大会を見に来た者達が伝説の証明者だ!!
伝説の試合をその目に刻め!!
続いて全てが謎の男!分かっているのは名前のみ!その名はダークスナイダー!
相手を恐怖に落とすその戦いが伝説の男に恐怖を与える事が出来るのか。
俺は仕込み杖を持ち相手に鑑定をかける。ほう、なるほど。そういう訳か。
「それでは準決勝第1試合、始め!」
俺はすぐにハイバリアー掛け、その後ウォーターボールを10個出す。その後ウォーターボムを3個出した所で相手の魔法が発動する。
俺はウォーターボールを自分の周りに集めると、俺の下から半径5メートル程の炎が巻き起こる。超級火魔法のヘルフレイムだ。俺はすぐに周りのウォーターボールを割り、さらにウォーターボムをヘルフレイムに向けて落とす。するとヘルフレイムは消え去り、俺はプレスウォーターを3本を相手に打つ、すると相手はダークホールを出し、俺のプレスウォーターを飲み込む。
さらに俺は10個のファイアボールを出し、相手に向かって次々と打つ。相手は回避しながらこちらに向かって来るが、火がフードを焼き、男の姿が現れる。男は剣を抜き、体にやけどを負いながら俺に向かって来る。俺はあえて距離をおき、ハリケーンカッターを3個出し、相手の逃げ場を塞いだ。
相手はあえてハリケーンカッターに突っ込み
全身に傷を負いながらも、それでも俺に突っ込んでくる。俺はサンダーボルトを3本相手に打ちつけ、男はひざをつく。
その時、観客から
「おい、アイツ!頭に角が生えてるぞ!」
「しかもあの黒い肌は魔族だ!!」
「魔族が襲ってきたぞー。」
「アラシー、殺せー!!」
会場は殺せコールの大合唱だ。
俺はそんな中相手に近付き、声をかける。
『おい、お前。何しにこの大陸に来た?』
「お、お前魔族の言葉が喋れるのか?」
『そんな事はどうでも良い。早く答えろ』
「俺は魔族を捨てて旅をしてきた。敵対する人族や獣人族がそれほど悪い存在なのか。それを確かめる為、この国にやってきた。弱い存在である人族がどれ程の物か確認する為にこの大会に出た。まぁ、旅をする為に金も必要だったしな。」
『ほう、それでお前が見た感想は?』
「正直ここまで発達しているとは思ってなかった。しかもフードを被り話せない俺に人々は優しく接してくれた。人族も獣人族も魔族に伝わっているような悪い存在では無かった。それが俺が旅をして感じた感想だ。」
『ならもうひとつ。初戦で最後相手を殺そうとしたろ?あれは何でだ?』
「試合だろうが何だろうが、全力で戦うのが普通だろ?相手にも失礼だ。だから全力で戦っただけだが?」
なるほどな。俺との試合を見ても分かるが、コイツは戦闘には全力を尽くす。それがコイツの流儀だろう。
「魔族は嫌われているようだな。言葉は分からんが、殺意は感じる。なぁ、アンタ。名前を教えてくれよ。全力で戦った相手に負けて、殺されるなら悔いはない。せめて俺を倒した男の名前だけは知っておきたい。」
『俺はアラシ。冒険者のアラシだ。』
「アラシ。そうか、アラシ。ありがとう。最後にお前と戦えて嬉しかった。さぁ、一思いにやってくれ。」
そう言ってダークスナイダーは首を俺に出てきた。
観客席からは殺せコールが鳴り響く。
俺は審判に
『おい、勝敗は決した。早くコールしろ』
「な?何を言っている?相手は魔族だぞ?それどころでは無い!!」
俺は正直ムカついていた。
俺は服の中からメダルを取り出し、魔力を込める。するとメダルから王家の紋章が浮かび上がり、観客席も審判も全員が跪いた。
『おい、審判。俺はコールしろと言ったんだが?』
「はっ、勝者、アラシ様!!」
『おい、観客共!!お前らはこの神聖な王国主催の武闘大会を血で染めろと言うのだな!!そんな奴は王の代理人である俺が許さん!!文句がある奴は許可する。今すぐに闘技場に降りてこい。俺が根性叩き直してやる!!』
すると観客席の奴らは誰も出てこない。
『人にも良い奴、悪い奴がいるだろう。犯罪を犯した奴に罰を与えるのは良いだろう。
しかし、コイツはお前達の誰かを傷付けたのか?コイツは罪を犯したのか?魔族に知り合いを殺されたから魔族を殺す?なら人に殺されたら人族を全員殺すのか?』
『だから俺はコイツを殺さない。もちろんコイツが罪を犯せば、当然罰を与える。だが何もしてないコイツに何かすれば、俺がそいつに罰を与える。コイツは俺が預かる事とする。以上だ!面を上げよ!!』
静まる闘技場で俺はダークスナイダーにハイヒールを掛け、そのまま俺達の控え室に連れて行く。
「なあ、アラシ?どうなったんだ?俺は処刑されないのか?」
『ん?お前は処刑されるような事をしたのか?』
「いや、してないが。でも魔族は恨まれているんだろう?」
『そんなもん知ったこっちゃないんだよ!
そんな事言ってたら戦争は無くならないし、全員死んで終わりだ。どこかで妥協するしかないんだよ』
「そうか。アラシは良い奴なんだな。」
『バカ、俺は納得出来ない事が嫌いなんだ。俺を論破してくれる奴がいれば、言う事聞くのにな』
「観客の顔を見れば分かるよ。アラシの言ってる事が正しいんだろう。でも頭で理解しても心が納得してない感じだな。」
『おい、シュナイダー。お前凄い事言うな。正にそれだよ。ああ、あと、とりあえずお前は何にもすんな。落ち着いたら逃がしてやるから。スマンがそれくらいしか出来ん。もし危害を加えられそうなら反撃しても構わん。俺が判断してお前が悪くなきゃ助けてやるから。』
そう言って俺はシュナイダーを連れて俺達の控え室に連れて行く。
『ルビィ、コイツを少しの間、預かる事にした。良いか?』
「良いよー!なかなか強いねー。私も戦ってみたいよー。」
俺はシュナイダーにルビィが言ったことを伝える。
シュナイダーは笑ってアラシの周りは変わった奴しかいないのかと言ってくる。
うるせー、俺達が普通なんだ!!
普通だよな??
普通じゃないかもしれない。
まぁ、覚悟はしておこう。普通じゃない。
とりあえずスナイダーを座らせ、休ませる。
そして、会場が少しづつ落ち着いて来たので、次の試合が始めるようだ。
『ルビィ、済まないな。会場の雰囲気をこんなに感じにしちまって。』
「え?なんの事?アラシがやった事は正しいんでしょ?私はアラシを信じるし、味方だよー!正しい事をした時は謝っちゃダメってお父さんが言ってたよー。だから胸を張っていつも通りの態度でいなよー。」
『ふっ、そうだな。ルビィ頑張ってこい』
「うん、楽しんでくる。勝って戻ってくるから待っててねー。」
そう言ってルビィは闘技場に向かって行った。




