48話 ルビィの挑戦③
今日は武闘大会の本戦が始まる。
俺とルビィが出場する。
今日も騎士が馬車で送ってくれる。
そのまま王城の門をくぐる。
凄い人達が門に並んでいる。
俺達は貴族専用門から中に入った。
王城の闘技場へ進む。城の城壁の横に設置された闘技場だ。城から離れた場所だ。俺とルビィは控え室へ。
リンとフェンリルは観客席に移動する。
「頑張ってくださいね。私、頑張って応援しますので!」
リンとフェンリルは貴族専用の席で見る事になるらしい。王の代理人の連れだからだ。
控え室は1人一部屋与えられる。
俺とルビィは同室にしてもらった。
何とこの控え室。闘技場が見える。周りを囲うかべの一部が控え室になっている。例えるなら野球場のベンチがある位置だ。そこにガラスの様な物が張ってあり、闘技場を横から見る事が出来る。
その横に扉があり、そこから闘技場に向かうスタイルらしい。
観客がドンドン入ってくる。5万人くらいいるな。多種多彩な種族がいる。貴族席も同様だ。他の大陸からも来ているのだろう。
しばらくしてから、控え室に箱を持った騎士が現れ、数字の書いてある玉を取る。それから少しして
「皆様、大変お待たせ致しました。本日はキングセンチュリア王国が開催します武闘大会にお越しくださいまして誠に感謝致します。それではまず最初にアーセル=キンセン王より皆様にご挨拶です。」
観客席や貴族席の全員が跪き、王の言葉を待つ。大臣が皆を立たせ、王が発言する。
「皆の者よ、本日は王国主催の武闘大会に来てくれて感謝する。ワシはこの武闘大会は毎年楽しみにしている。皆の者も同様だと思う。今日はぜひ楽しんで行って欲しい。あまり話すと興奮を覚ましてしまうな。それではこれより武闘大会の開始を宣言する。」
うおおおおぉぉぉーー!!
観客の大歓声が闘技場を揺らす。
そしてそのまま試合が始まる。
皆の見える場所に大きなボードがある。
そこにトーナメント表が浮かび上がる。
まだ何も書かれていない。
司会者が言うには、最初は王が箱から玉を引き、出た番号の者が対戦する。
俺は1番、ルビィが15番の数字の玉を持っている。
王が引いた数字が1と8だ。
おっ、初っ端俺か。
俺は扉を出て闘技場に向かう。
「第1試合のカードは、王の推薦枠での出場!Sランク冒険者でチームストーム(仮)のリーダーで王の代理人でもある冒険者アラシ!」
うおおおおぉー!!
歓声が轟く。
「対するは予選大会より勝ち上がってきた魔導士バンチャス。不利と言われる魔法を操り、堂々本戦まで勝ち上がってきた!!このまま快進撃を続けるか?」
うおおおおぉー!!
歓声がうるさい。
お互いに闘技場の上に立ち向かい合う。
審判が中央より
「それでは試合始め!」
その瞬間バンチャスは魔法を詠唱するが、俺は既にファイアボールを10個頭上に待機させながら、ウォーターボールも10個出している。
始まる前に鑑定したが、
レベルは31
上級火魔法Lv.1
初級土魔法Lv.2
初級風魔法Lv.4
その後俺は相手が魔法出すまでに
ファイアボール10個、ウォーターボール10個、アースボール10個、ダークボール10個を出して待機する。
この時点は観客席はどよめいているが、気にしない。
相手はファイアボムを打ち出してきた。
だろうな。俺はプレスウォーターを相手のボムに打ち込む。すると相手のボムは爆発することなく、消滅する。
俺のプレスウォーターの威力が高すぎたらしい。
「へぇ?」
バンチャスは情けない声を上げて驚いている。
俺はファイアボール1個を俺とバンチャスの間に打ち込む。
ドーーン!!
激しい音と共に俺のファイアボール青い炎が柱となって燃え上がる。
俺はバンチャスに聞こえるように
『さて、バンチャス。今俺の頭上にある魔法を全て使わせたらお前の勝ちにしてやるよ。しっかりと受けるなり避けるなりしろよ。魔道具の力があっても死ぬぞ。よし、じゃあまず、これからだ』
「こ、降参する!!助けてくれー!!」
そう言ってバンチャスは赤ちゃんの様にハイハイしながら闘技場を降りていった。
「勝者、アラシ!!」
あれ?歓声が聞こえないな?
俺は出した魔法を消滅させながら、観客席を見る。
観客の目が点になっている。
あちゃー。やり過ぎたか。
「お、俺達は幻を見たのか?」
「バカ、もしこれだけの人数に幻を見せられるならそれはそれでやべぇぞ」
「それならありゃ、現実か?」
「昔の大英雄の賢者様が10個の魔法を同時に出した伝説があるがそれとは比較に何ねぇぞ。」
「おい、俺達は今、すげぇもん見てんじゃねーのか?」
「伝説になる男の試合を見てるってことか?」
ー「そうだ。しかも王の代理人だぞ。もう何十年といなかった、あの伝説の王の代理人だぞ。」
「伝説尽くしじゃねーか!うわー、俺今回のチケット買えて良かったー!!」
俺が闘技場を降りて控え室に戻る途中で
アラシー!アラシー!アラシー!
いつの間にか、アラシコールが鳴り響く。
なんじゃー!?あれ!?これ、気持ちいいぞ!?癖になりそうだ。
俺はそのまま控え室に戻る。
本当は観客に向かって手を振りたいのだが、ここにきてやはり、最初の設定が邪魔をする。クールな男・アラシ!やめときゃ良かった!!
その後2試合目、3試合目と続いて行くのだか、4試合目に入った時、
『なんだ、あれ?』
俺は1人の男の違和感を感じた。距離がある為、鑑定は出来ないが、明らかに異質だ。その男はフードを深々と被り、右手に剣、左手に杖を持っている。
その者の試合が始まる。
フード男はまず魔法を詠唱していた。
なかなかのスピードでバリアーをかける。いや、ハイバリアーだ。
相手の予選上がりの大男が斧をフード男に振りかぶる。しかしハイバリアーに阻まれ、大男はよろめきながら、後ろに下がる。その瞬間フード男のハリケーンカッターが大男の体を包む。
魔法短縮詠唱を持っているのか!?
大男の体が風の刃で切り裂かれている。
審判が試合を止める直前にフード男はファイアボムを大男に打ち込み
そこで審判が試合を止める。
しかしファイアボムは大男に向かって行く。観客も目を背けて悲劇が起こる事から目を逸らす。
しかし爆発は起こらず、フード男はこちらを見つめている気がした。
結局、フード男の勝利で終わった。
ちなみにファイアボムは俺のダークホールで異空間に飛ばした。飛ばした後にすぐにダークホールは消した。観客のほとんどが目を逸らしていたので、あまり気づかれてはいないが。
このまま行けば、俺と準決勝で当たるのか。
少しは楽しませてくれる奴がいて、少しだけテンションが上がった。
第5試合にルビィの出番がきた。
「続いて第5試合だぁー!!予選大会より圧倒的な実力で既に今大会の台風の目と言われているSランク冒険者でチームストーム(仮)のメンバーで、速隼斬道場の娘であります。既にファンクラブも出来ています」
え?そうなの?まぁ、確かにルビィは可愛いし。ファンクラブが出来るのはしょうがないか。
「対するは前回大会の準優勝者であります、獣人族のチターレだ!鋭い爪で相手を切り裂き、素早い動きで相手を翻弄する。翻弄されたい客の多くがファンクラブを作っている、こちらもグラマラスな女性戦士だぁー!」
おいおい、今までで1番盛り上がってるぞ。
なんか、羨ましいな。
でもルビィには名声を上げる事が目標だし、いい事だな。と自分を納得させ試合を見る。
ルビィは今回、既に剣を抜いている。
試合開始と同時に両者が動く。
ほう、相手のスピードもなかなかだ。
相手の両手の爪とルビィの両手の剣がクロスする。徐々にルビィ剣が相手を押し込む。
チターレがふと両手の力を抜き、回し蹴りを放つ、それをルビィは横に回転しながら、剣で切りつける。ルビィの剣が相手の肩を軽く切り付け、チターレが後退する。すぐにルビィが間合いを詰める。
チターレは爪斬撃を放つ。
距離を詰めにいったルビィに4本の爪の斬撃が襲う。しかしルビィは素早く双烈風斬を放ち、両者のそばで斬撃がぶつかり合う。2本の双烈風斬が4本の爪斬撃を打ち破り、チターレは自ら烈風斬に突っ込み、両手をクロスして突っ込んだ為、両腕に浅くないキズが出来、血を流している。
もしチターレがかわすなり、その場で受けていたら、ルビィの剣が首に付けられ勝負が決まっていただろう。
ルビィはそのままチターレに突っ込み、両手に持つ剣で、チターレを攻撃する。チターレは回避と爪で攻撃を受けるが、そのうちつめが剣で切られ、体にも傷を負い出した。
血も流しすぎている為、チターレが一瞬よろめいた瞬間、ルビィの剣がチターレの首に当てられ、そこで試合終了。
ルビィが勝ち上がった。
お互いの健闘を讃え、両者が抱き合う。
そこで割れんばかりの拍手が鳴り響き、今日1番の盛り上がりを見せた。
ルビィとチターレコールが鳴り響く中、ルビィは笑顔で観客に手を振りながら控え室に戻ってくる。
そう、俺がやりたいのはそれなんだよ!!
ルビィに少し嫉妬しながら
『ルビィ、お疲れさん』
「凄い楽しかった!!あんな強い人と戦えるは最高に気持ちいいね!」
いや、そんな強い人に圧勝したルビィの方がかなり強いと思うが。実際半分位の力で戦ってたろ?しかもスキルほとんど使ってないし。実力的には2割程だろう。
その後、6試合目、7試合目も特に目立つ奴はいなかった。
8試合目に前回優勝者が出てきた。
何と獣人族の王子らしい。
長剣と盾を使い、力も強く速さもあり相手に何もさせずに圧勝していた。
おお、強い奴はいるんだな。見た所辺境伯よりも断然強いな。
続いて俺の試合が始まった。
相手は暗殺者スタイルで短剣を持ち、スピード重視の戦闘をしかけてくる。
俺はミスリルの聖杖で相手の短剣を防ぎ、スピードでも相手を圧勝する。
暗殺者の短剣には毒が塗ってあるが当たらなければどうにもならない。
暗殺者は両手で8本の短剣を投げてくる。
俺は両手の指の間で受け止め、相手に投げ返す。暗殺者は横に飛び避けた時に俺はすぐに相手の短剣を奪い、相手の首に少し切りつけてやる。相手はすぐに降参した為、俺はキュアを掛けてやった。
そこそこの歓声を受けて控え室に戻る。
さて次はルビィの出番だ。




