41話 王都への道③
『次は奴隷の罠の件だが、これは俺が接触する最短時間と同じだったので、俺は最初から疑っていた。そして、女性の悲鳴の後の冒険者の報告。まるで俺達が通るのが分かっていて、まるで仕込まれたタイミングだった。』
もしあれが本当に盗賊が現れて、女性を襲っていたとしよう。だが通るのが、5分前後するだけで遭遇しなかった。
そんな偶然が俺が最短時間と定めたタイミングで起こるだろうか。もしそれが起こるなら、その確率は天文学的な数字となるだろう。
『だから俺は冒険者を疑い、盗賊を疑った。そこで俺の秘密の話になるんだが、俺は探知スキルと鑑定スキルを持っている。しかも鑑定スキルは、かなり高いランクのものだ。』
やはりロメロは驚いているな。予想はしていたが
『俺はまず探知スキルをかけた。すると明らかに逃げている反応とそれを追っている反応の距離が常に一定だったんだ。
これは俺達の到着を待っていると考えた。まぁ、狩りを楽しんでる可能性も少しあったが。』
ルビィとリンとロメロがのめり込んでいる。唾を飲み込む音が聞こえる
『そこで盗賊に鑑定をかけた。これで完全に確定した。鑑定をかけた盗賊の職業が辺境伯兵士となっていたからな。そして冒険者が得物を抜かずに、そのまま女性達を助けに行った時点で冒険者の裏切りが確定した。盗賊が10人いて、武器も抜かずにそこに突っ込むなんて有り得ないからな』
俺は自分を棚に上げ、さも当たり前のようにいってやった。
『相手が辺境伯兵士の時点で俺は全員に武器を抜くのを禁じた。攻撃もだ。何故なら相手が罠を仕掛けてきてるんだからな。冒険者が盗賊を切らずに女性の所に行った時点で、俺は伯爵の兵士か俺に辺境伯兵士を切り付けてほしいのだろうと考えた。しかも盗賊が武器を抜いていないのだから、正当防衛も言えないしな。しかし、そうなったとしても女性を助ける為なら正当性が出てくる。なら当然その正当性を消しにくる。ならどうすれば良いか?女性達が悪で、辺境伯兵士が正義になればいい。』
俺はここで1度言葉を切って紅茶で喉を潤す
『そこまで分かった時点で俺は女性に鑑定を掛けた。いや、正確に言うと女性の首に鑑定をかけた。巧妙に隠されていたが、そこにはやはり奴隷の首輪があったよ。しかし、女性が犯罪奴隷なのか一般奴隷なのかは分からない。だからここで考えた。どっちがロメロを嵌めるのに都合が良いか?殺したら罪になる一般奴隷と最悪殺しても罪にならない犯罪奴隷。どっちを守る為に兵士を切り付けたらよりロメロにダメージを与えられるか。答えは簡単だ。犯罪奴隷に決まっている。』
『相手の筋書きはこうだ。犯罪奴隷が罪をおかし逃げた。それを辺境伯兵士が捕獲する為に後を追う。殺す予定は無く、捕らえる予定なので、武器は抜かず素手で犯罪者を追いかける。しかし、いきなり現れたロメロ伯爵の兵士又は関係者が確認もせずに何故か犯罪者を庇い、辺境伯兵士に斬りかかってきた』
「く、確かにそれならこちらが悪者になるな」
「で、でもアラシー!あんな格好で、あの状況なら許されるんじゃ??」
『ルビィ、それを判断する人はその状況を見てないぞ、必要なのは結果なんだ。ロメロの関係者が犯罪者を助ける為に辺境伯兵士を斬った。この事実は変わらない。それが結果だ』
ロメロは隣でウンウンと頷いている。
『感知でこちらから見えない位置に大人数待機してるのが分かった。こちらの誰かが辺境伯兵士を斬った時点で乗り込んでくる予定だったんだろうな。』
それが今回、辺境伯軍師ショカッコウが思い描いた筋書きだろう。全く厄介なやつだ。
まぁ、全部防いでやったけどな。
「ご主人様、その後に辺境伯軍師が出てきて、色々条件の話をされていましたが、何故相手の条件を飲まなかったんですか?」
『俺の知ってる兵法には己を知り、相手を知れば勝利するだろうってのがあるんだ。だから俺は相手が何を知りたいのか?どうして知りたいのか?次に何をしてくのかを知りたかったんだ。そして相手も同じだった。だから俺は自分の事を話さなかった。』
「それで何が分かったのですか?」
『まずあの軍師は思考型だな。しっかりと考えて策を練る。そして相手の立場にたって考えるんだ。だから俺が何を考え、どうしてそうしたのか考えた。そして自分の考えが正しかったのかの答え合わせがしたかったんだろうな。だから俺は自分の考えを俺と言う情報を相手に与えなかったんだよ。それと相手の事前に準備してた罠はこれだけだよ。だからあの場に軍師がいたんだ。他にあればそれの準備をする為にあの場にはいなかっただろうし。』
俺は相手の情報を少なからず引き出した。
相手は俺の情報を必死に集めるだろう。
『今から罠を考えて準備するには時間がかかる。だから急いで王都に向かうんだ。だけど王と会う時には必ず仕掛けてくるな。確認の為に王都でって言った時反応したろ。』
「あの短い時間でそこまで考えて痛んですね。ご主人様が味方で本当に良かったです」
「ああ、俺もそう思う。今回アラシが付いてきてくれなかったら、これで俺は足をすくわれていただろう」
「ねぇー、アラシー、眠くなってきちゃった・・・zzzz」
もう寝とるやないかい!
自由だな。ルビィは。そこがいい所でもあるんだが。
俺達は夜通し馬車で危険をおかしながら走り切り、朝に王都に到着した。王都に入る際に俺達は貴族専用の門より入り、馬車でそのまま王城へ向かう。何度か検問で止められたが、王城まで辿り着きロメロは馬車を出て、王城へ進んで行った。謁見の約束をしに行ったんだろう。俺は城も街にも興味があったが、少し眠かったので、ロメロが帰ってくるまで、馬車の中で寝ておこう。
「アラシー!起きてよー!」
俺は体を揺さぶられ、深い眠りから覚めた。
「アラシ、謁見は明日の昼に決まったぞ。
頼むぞ。アラシ!!」
ん?
『俺は謁見には行かないぞ?』
嫌だよ、王と謁見だなんて!絶対めんどくさい事になる。
「ダメだ、もう謁見のメンバーに名を入れておいた。これで来なかったら下手すりゃ逮捕だな。」
ニヤニヤ笑ってやがる!!
これ確信犯だなー!!
おっしゃーー!!
出るとこ、でてやんぞー!!
ボン!キュッ!ボン!!
言いたかっただけです。ごめんなさい。
「とりあえず伯爵の王都別邸があるから、そこに向かうが、良いのか?アラシ。」
『王都の中での戦闘は基本禁止だろ?
なら大丈夫だ、そこまで相手はバカじゃない。』
「分かった、それでは向かう、そこに着いたら冒険者達は依頼達成だな。」
ああ、そうか。俺はそもそも王都のギルド本部に行く予定だったんだな。すっかり忘れてた。だが、今登録するとショカッコウに色々と情報を与える可能性もあるし、とりあえず辺境伯との騒ぎが終わってからにしよう。
王都を満喫するのはそれからだ。
『ロメロ、とりあえず俺はギルドの登録は明日以降にする。飯を食ったら寝たいから、宿を紹介してくれ。』
そう言うとロメロは少し悲しそうに、
「俺はお前と親友になりたいと言ったよな?なら当然俺の所に泊まるだろ?飯もウチで最高の物をだしてやる!」
『ああ、そうだったな。ありがとな、ロメロ。それとルビィとリン、フェンリル。お前達はどうする?王都を満喫してきて良いぞ。俺はちょっと明日に備えて寝たいからな。』
「ご主人様、私も馬車移動で疲れているので眠いです。」
「アラシとリンちゃんがいないならつまんないから、私もみんなといるー」
「ワシも特に行きたい所はないのじゃ。腹いっぱい飯が食えればそれでいいでのじゃ。」
みんなも休むか。良し、それなら寝るかー!
俺達は飯を食って、その後直ぐに寝た。
翌日、俺達は朝食を食べ、広い風呂に入ってから、伯爵の用意した服に着替える。この格好でバック背負ったら可笑しくね?バックは馬車に置いとけと言われた。王城の中なら絶対に安心だそうだ。
謁見の時には武器の持ち込みも不可らしいので、どっちみち持ち込めない。
出発まで時間があるので、ルビィとリンは謁見の場でのマナーを学ぶそうだ。俺はそれより作戦を考えねばならん。
なので、俺はロメロと作戦を煮詰め、ジョイナフにも協力してもらう。
謁見に行くのは、俺、ルビィ、リン、ロメロ、息子、ジョイナフの6名だ。途中の追加は王が良ければ、招いて良いらしい。
あとは、貴族同士が揉めた場合の解決方法や過去に出ている王命等色々と聞いていたら時間となった。
それではいざ行かん!!辺境伯との決戦へ




