40話 王都への道②
4日目の行程も微かに見えているあの街に着けば終了となる。
そうすれば明日の夜には王都に到着する。結局何もなかったなと思ったその時、馬車の右側から、キャーと言う女性の声が聞こえた。
すると右側にいた冒険者が馬車まで来て
「女性達が盗賊に襲われている!!」
兵士の1部とその冒険者、そして俺達は声のした方に向かって走った。
すると4名の女性達が服がビリビリに破れた状態で逃げていた。その後ろに10人の盗賊達がニヤニヤしながら女性を追っている。俺は探知を使い、周囲を確認。
その後に盗賊と女性に鑑定を掛ける。
ああ、なるほど。
俺は兵士に声を掛け、絶対に女性を助けるな。盗賊には指1本触れるなと伝えた。
兵士は最初、反抗しようしたみたいだが、俺が真剣な表情で考えていると、しぶしぶ了承した。
まぁ、目の前で女性が襲われているのに、助けられるのに助けないはさすがに嫌な気持ちになるだう。
俺はその一緒にきた冒険者と俺で女性と盗賊達の元に向かう。ルビィとリンには絶対に攻撃されても手を出すなと伝えてある。
冒険者の男が女性の前に立ち、俺は盗賊達に向き合った。
盗賊達は俺を見て
どけ、邪魔だ!など声を掛けてくるが、誰1人得物を構えず、おそっても来ない。冒険者の男は
「アラシさん、女性を守らないと!盗賊達をやっちまってください」
ああ、やはりな。
『何言ってんだ、手伝うならこの男達の方だろ??』
「な、何言ってんだあんた!?
気でも狂ったか??」
『いや、至って真面目なんだが?』
近くまで来ていた兵士も混乱の表情で俺を見ている。ルビィとリンは俺の事を信用している目だ。正直心が楽になる。
「な、なら俺がやる!!」
『ああ、それは構わない。しかし得物を抜く直前に俺はお前を切るぞ。』
「な、なんでなんだ、どうして仲間の俺に攻撃するんだよ??」
『そりゃ、そうさ。お前が得物を抜いた瞬間、ロメロが責任取らされるからだ』
冒険者の男は同様しながら
「な、なんで盗賊を攻撃したら、領主様が責任を取らされる事になるんだよ?」
『そりゃそうさ。罪をおかした犯罪奴隷を捕まえようとしてる辺境伯の兵士に得物抜いたらそうなるだろう。分かってるんだろ??辺境伯のスパイ君』
俺がそう言った瞬間に盗賊役の兵士達は真剣な表情になり、冒険者の男は体を震わせながら、焦っていた。
『だから辺境伯の兵士達よ。ロメロ伯爵の兵士並びに依頼を受けている冒険者達はあんたらに一切の邪魔はしない。もう邪魔するならこのSランク冒険者アラシが切り捨てよう。』
俺はそう言ってギルドカードを抱えた。
そして俺は奥に向かって大声で
『もう、バレてんだ。出てきたらどうだ!!』
するとしっかりと武装をしている兵士15人を引き連れて1人の男が姿を現した。
「これを気付きますか?凄いですね。」
男は拍手をしながら俺の前に進んでくる。
「申し遅れました、私はザイス辺境伯の軍師を務めております、ショカッコウと申します。」
『俺はさっき伝えた通りだ』
この男はヤバいな。一歩間違えたら間違いなく、ロメロは嵌められていた。
それは俺の考えうる限界ギリギリの状況で相手が来たからだ。
「所で何故私達が辺境伯の者であると気が付いたのですか?」
『俺がそれをただで話すと思うか?』
「ただでという事は見返りがあるなら話すとと言う事ですね、ふむ。」
ショカッコウは少し考え
「それならばロメロ伯爵が王都に入られるまでザイス辺境伯、並びにザイス関係者は一切てを出さない事を約束します。どうでしょう?」
『それは、こいつのような冒険者も当然関係者なのだな。』
「まぁ、そうなりますね。」
『断る、悪いが信用出来ん』
「ならばどんな条件なら?」
『そうだな、全ての辺境伯とその関係者が今から辺境伯領に戻り、15日間出ない事を約束出来るなら、手を打とう』
「つまり、話す気が無いと。」
『どう取ってもらっても構わんよ。しかし俺は条件を提示した。今選択権があるのはそっちだぞ。』
「分かりました、何故かは気になりますが、だいたい検討はついているので。答え合わせをしたかったんですがねぇ。」
『交渉決裂だな。ならば俺達は戻らせて貰う。それでは王都で会おう』
「ふ、ふふふっ、はっはははー!!
面白い、面白いですね、あなた。ぜひ辺境伯に仕えてほしいくらいです。ですが、こんなに面白い相手を仲間ではなく、敵として対峙する方が絶対に心躍るはずです!!」
そう言ってショカッコウは俺に背を向け
「それではまた王都で」
そのまま立ち去っていった。
辺境伯の兵士達も続いて去って行く中、あの冒険者が兵士にまとわりつき
「な、なぁ!なぁ!俺を辺境伯領に迎えてくれるんだよな!ついて行って良いんだよな?
そうだよな!?」
「うん?お前バカか?成功したら報酬とそれなりの待遇をしてやると言われてるようだが、お前成功したのか?」
「あ、ああ!!成功したじゃないか!?ここまで連れて来ただろう?」
「やはりバカだったな、成功はロメロ伯爵に罪を与える事だ!兵士が剣を抜くなり、雇われた冒険者が得物を抜くなりすれば成功だ!俺達に傷を付けさせれば報酬も上がったのにな。しかし、俺達から見ても今回はほぼ成功する任務だったが、運が悪かったな、諦めろ!!」
そう言って兵士は冒険者を蹴り倒し、女性の犯罪奴隷を連れて去っていった。
『良し、俺達も戻るぞ』
俺は冒険者を無視して、戻る。
仲間や依頼人を裏切る冒険者を俺は冒険者と認めない。そんな冒険者は信用を失い、この先どんな街にも受け入れて貰えないだろう。もう冒険者として終わりだ
俺達は馬車に戻り、ロメロと息子、ジョイナフと兵士、残った冒険者を集めて、今回の事を説明した。そしてこれよりは最低限の休憩だけとし、そのまま王都に向かう事に決めた。そして、冒険者は基本ずっと走る事になるので、交代制とし、安全よりもスピードを優先する事に決めたのだ。
そして俺は馬車の中に入り、ロメロの質問をされた。
「なあ、アラシ。何故今回の事が分かったんだ?」
『ロメロ、俺は答えを2つ用意してる。1つは真実を話す。1つは俺の隠したい部分だけ隠した真実を話す。どうする?』
「俺はお前の親友であろうと思っている。何度も助けられる、今回も助けられた。俺が受けてる恩はまだ返せないが、俺は絶対にお前を裏切らないし、全て墓場まで持って行く。頼む、信じて全てを話してくれ。」
『すまんな、ロメロ。お前だからこそ言うが、全ては話せない。何故なら今は時期じゃないからだ。しかし、話せる時が来たら全て話そう。それで良いか』
「おう、構わない。むしろ俺の事を信用してくれて感謝するぞ、アラシ!」
俺は今回の件を解いた内容を伝える。
『まず、1番最初に思ったのは、辺境伯が最短で俺達と接触出来るのはいつか?』
「それは・・・馬車で行くとセカンディアから王都が3日、王都から辺境伯領まで5日、往復で10日、合わせて13日だ。」
『俺もロメロからそう聞いて、なら今回は大丈夫だと思った。だが違うんだ。』
「そうか、馬車ではなく、馬単体であれば、もっと早い。王都まで2日、王都からは往復で7日か。合わせて9日か?」
『それも違うんだ。鳥を使うとか、犬を使うとか、色々考えたんだが、多分最短はこれだと思う。これは俺の知ってる兵書に書いてあるんだが、セカンディアから王都まで途中にある町で馬と人が入れ替わったら?』
「そうか!手紙を持たせて、最速で馬を飛ばし、疲れた所で乗り換える。確かにそうすれば王都までは1.5日で行ける。王都から辺境伯領でも同じ事をすれば、往復で4日か!」
『そうだ、その時点で5.5日だ。そして兵や策を仕掛けるのに0.5日、王都からここまでが0.3日、俺の考えうる最短での接触は、6.3日だったんだ。そしてロメロがバカ息子を勘当したのが出発の2日前の朝、今日が4日目の夕方。6.3日なんだよ。今が。』
全員が驚く。俺は続ける
『ここで問題なのは、俺が最短と計算した時間と全く同じ事なんだ。』
「え?どういう事??』
『例えるならば、ルビィならジョイナフを10秒で倒せると俺が判断している。だが実際は15秒かかってしまった。これはルビィが100%の実力と完璧な試合運び、完璧なスキル発動、それが出来てはじめて10秒なんだ。足の動かし方1つ間違えれば10秒以上かかってしまう。』
「「「なるほど。確かに厄介だ。」」」
「えー、どういう事ー??私間違えないよー!!10秒で倒すよー!!」
『要は馬を乗り継ぐ作戦も俺が最短だと判断した。でも相手がそれを使わなかったらどうする?』
「あ!このタイミングで来れない!!」
『そうなんだ。馬の乗り継ぎ作戦。奴隷を使った罠や兵士等の準備、ほとんど睡眠が取れない強行軍、俺達の進路予測、そのどれか1つでも、少しでも間違えれば、このタイミングで来れないんだ。』
俺はみんなの顔を見て続ける。
『要は相手はとんでもない化け物だって事だ。流石はこの大陸を国境で守り続ける辺境伯だな。最短で完璧に実行する。しかも大人数でな』
皆が暗い顔をする。
『まぁ、脅すのはこれぐらいで良いか。
大丈夫だ。こっちには誰がいると思ってるんだ?』
みんなが俺の顔を見て、眼を輝かせる。
『そうだ。俺がいる』
「そうだ!!こっちにはアラシがいる!」
『俺の考えた最短時間を超えてこれば、少しは楽しめたんだがな。正に予想通りってやつだ』
みんなのテンションが一気に上がった。
その為の秘密兵器も用意してるしな。
『さて、ここからは俺の秘密が関わる。悪いがロメロ以外は外してくれないか?』
ロメロ以外は奥の寝室に入ってもらった。
それじゃあ、続きを話しますか。




