12話 テンドン
さて、フェンリルとの死闘を制し、そのまま奥までやってきた俺達だが、目の前には豪華な扉があった。
「ここからはアラシ殿しか入れませぬ。
どうぞお気をつけて。」
フェンリルが頭を下げて俺に言ってきた。
『おう!それよりこの先何があるか知ってるのか?』
「ワシには分かりませぬ。小さい頃にここに連れて来られて、この扉を守るように言われたので。」
『誰に言われたんだ?』
「母上です。母上は誰かに言われたようですが、ワシにはその方が誰なのかは教えられておりませぬ。」
『そうかー、うん。分かった。ならちょっくら行ってくるなー!』
俺は扉に向かおうとしたが
「ちょ、ちょっと待って、アラシさん。
私もここで待つの?この大きな魔物と?」
『うん?ああ、ゴメン、ルビィさん。
こいつは俺のペットだから大丈夫。言葉も分かるし、話でもしながら待ってて』
「え?でも、さっきからガウガウ、ワンワンしか言ってないけど・・・」
『えっ!?』
「アラシ殿、多分ですがスキルによるものだと思いますじゃ。」
ああ、そういえばあったなー。そんなスキル。何で超級なのか意味が分からんかったが。
『ゴメン、ルビィさん。でもこいつは俺のペットだから襲わないし安心して。
お前もルビィさんを襲うなよ。お座りして待機!!』
そう言って俺は扉を押した。
でも開かなかった。
・・・・うわー。かっこわる!
めちゃカッコよく行こうと思ったのに
「アラシ殿、ワシと戦った時の神力をお使いください」
『ん?神力?ああ、あの体から温かい何かが出てくるやつか!あ、あれって神力なんだ。ふーん、なるほど』
俺は扉の前で集中する。
そうすると体の中から神力が出てきて、
俺を包み込む。
『おおー、これってあの時のか!
なるほど、光ってるねー!
すんげぇ力が湧いてくるなー』
俺はそのまま扉を開けて中に入る。
中に入るとそこは庭園だった。
草木が綺麗に並び、噴水から水が流れ、小さな川もあり、鳥もさえずっている、
その中央に少し丘になっていて大理石の柵で囲まれた場所があった。
近づいてみると、柵に囲まれた中央に天使の銅像があった。その銅像はまるで生きているかのように、そして光り輝いていた。
俺は神力をまといながら銅像に触れた。
「良く来てくれました。勇者よ。
これよりは私のスキルをあなたに授けます。善行に使用してください。」
銅像から光の玉が浮かび上がり、そのまま俺の中に入ってきた。これ前もガチャガチャの時にあったなー、と思いつつ
次の言葉を待った。
「これで私のここでの役目を終わりました。あなたの事をこれからは見てますよ」
ん?なんか引っ掛かるな。
ステータスで確認したが、またいつもの?????????としか出てこない。なんなんだろうなー??
『すみません、出来ればどんなスキルを教えてほしいんですが・・・』
「ええ、それではお教えしましょう。
そのスキルは・・・」
『そのスキルは・・・』
「ミッシェナビゲートです。」
『え?それってどういうスキル・・』
「このスキルはこの私、ミッシェがあなたのそばで、色々と教えちゃうぞ!ってスキルです。現実には居ないので、頭に直接語りかけちゃいます。」
うわー、すごく真面目な人だと思ったのに、これはアレだ。ちょっとヤバいやつや。しかもずっとつきまとわれるなんて。
もうそれはストー〇ーやん。
嫌だ!絶対に嫌だ!!
(大丈夫ですよー。嫌ならオフにしてくれればいいですからー!!)
うわっ!?もうすでに使ってきてる!!
あ、でもオフに出来るのであれば良いか、でもどうやってやるんだろ??
(それはですねー、ステータスからスキルを選択して、オフにすれば良いんですよー)
なるほど、なら早速。ステータスを開いてスキルを選択っと・・・
あのー?すみません、
?????????ってなってて
選択出来ないんですけど・・・
(ええ、そうでしたねー。私とした事がその事を忘れてました。テヘペロ。
ならば仕方ないので、このままで。)
ノォォォーーウ!!これ絶対に確信犯だろー!!しかもテヘペロって!絶対にヤバいやつや!!ヤバいストー〇ーやー!
(ううっ、そんなひどい、私はアラシちゃんの事を思って覗こうと思っているのにー、心も体も全て・・・)
終わった、俺の異世界生活がここで終わった。ジンよ、すまん。会えそうにない、俺はここで試合終了だ。
(諦めたらそこで試合終了ですよ、なーんて冗談ですよ。必要な時にしか私はナビゲート出来ませんので。しかも優秀ですよ、証明を集めるんですよね?あなたがこれから行く場所も分かりますから。)
お、それはかなりおいしいな。それならばかなり良いスキルと言える。
ならこの先どこに向かえばいいのか
教えてくれ。
(ふふっ、任せてアラシちゃん。これからあなたが向かう先は・・・・・後ろを向いてそこの扉を出る事です!!)
やっぱり役に立たんクソスキルだぁー!!
俺は扉を通って、ルビィとフェンリルの待っている場所へとたどり着いた。
「あ、おかえりなさい。アラシさん。」
「良く戻られました、アラシ殿」
『ああ、ただいま』
「それで中には何があったんですか?」
『ゴメン、言えないんだ。言いたくないんだ・・・』
俺は遠くを見つめ、涙を流した。
「ま、まぁ、とりあえず戻りましょうか」
そう言ってルビィは俺の腕を掴み転移陣へ向かう。
(オイ!!!このくされビ〇チ!!私のアラシちゃんに何してくれとんねん!!今から現実に現れて天誅くらわせるぞ!)
やっばりねー、そう言うと思ったよ。
俺はヘトヘトになりながら転移陣の前まで進んだ。
『そういえばフェンリル、お前はその姿だと、外に出たら大騒ぎになるな。どうする?このままここで待機してるか?』
「大丈夫です、アラシ殿。ワシのスキルに姿変化がありますので、今から変わります。」
そう言ってフェンリルは光に包まれた。そうしてそこから出てきたのは、
人の姿をした美少女・・・・ではなく、フェンリルがそのまま小さくなった姿だった。サイズ的には小型犬の少し大きいくらい。
クッ、期待した俺がバカだったさ。
(アラシちゃん、そんな都合・・・)
この時点で俺は自分の力でミッシェをオフにする事に成功したのだ。
まぁ、簡単に言うと無視なのだが。
『まぁ、その姿なら街にも入れるか。
良し、なら戻るか。』
そう言って俺達は転移陣に乗り、1階層に戻った。
兵士が現れて
「おおー、10階層のボスを倒されたんですね。おめでとうございます。これでしばらくはこのダンジョンも安心でしょう。
所でそちらの女性はチームで入られましたが、もしかして亡くなられましたか?」
『「あー!!忘れてたー!!」』
昨日と同じようになってしまった。
これを世間ではテンドンと言う。




