不幸の兆候
こんにちは、山椒です。
この小説を暖かい目で見て貰えたらと思っています。
まだ開ききってない目で外を睨みつけ、俺は不快感を露わにする。
「今日も雨か…」
ここ最近は雨ばかりだ。神無月はもう過ぎ、文月に入ったというのにまだ降っている。
天気予報でも、これからまだ降ると言っている。
「なんか嫌な事でも起こんのかな…」
こんな雨でも、俺達学生は学校に行かなければならない。
鏡の前に立ち湿気で曇った鏡を手で擦る。
「ホント変わってるな。この髪の毛。」
俺の髪色は前髪の一部分が緑色になっている。
理由は父親がデイマンだからとかなんとか。
デイマンというのは剣や槌といった武器の扱いに長けた髪の毛が緑色の種族だ。
最も、会ったことが無いからよく分からんが。
なんやかんやで朝の支度を終え、学校に行こうと靴を履いていると、
「おーい龍クンやーい、学校の時間だぞぉー」
「早く起きないとお部屋入っちゃうぞー」
やってきたのはバカクラスメイト二人。
菜条敦也と根本冬樹だ。
「もう起きとるよ…」
「そんな無理矢理起こされた二等兵みたいな顔すんなって!ほら!さっさと学校行こうぜ!」
「敦也の言う通り、結構時間ヤバいぜ?」
「おっと、早いとこ行きますか。あと、俺は二等兵じゃない。」
「例えよ!例え!!」
そんな意味の無い会話をしながら、俺達は三人揃って見事に遅刻した。
俺達が先生に怒られ、教室に帰ってる途中、一人の少女が前に立ちはだかった。
黒髪のポニーテールに透き通る様な白い肌、モデルの様な体型に細い腕と脚。なんともいやらしい体である。
「あなた達はそれでもこの学校の生徒なの?二週間に1回は遅刻してるじゃない!」
そのいやらしい体つきの女子生徒、葛葉幸由里はいきなり俺達にそう物申してきた
「なんだよ!お前には関係ないだろ!」
「まあそうアツくなるなよ敦也、遅刻が多いのは確かなんだからさ」
「まあ、前の二人はいいとして、問題はあなたよ!快麻龍!」
「え?俺?」
「え?じゃないわよ!あなた快麻家の長男のくせして遅刻ばっかじゃない!同じ武士として恥ずかしいわ!」
「なら安心だな。俺は武士になんてならないから」
「あなた、そんなことがこの武ノ国の武立東橋高校で許されるとでも?」
"武士"それはこのヒューマンの惑星マロイドの半分を占める国、武ノ国で呼ばれているいわば貴族の事だ。
「まあでもあなたはハーフ、デイマンとヒューマンのハーフが武士なんて笑えるわね!あはは!」
「…何?」
「それは酷いよ葛葉さん…」
「にゃ、にゃによ…」
罪悪感を感じたのか、彼女はビビって呂律が回っていなかった。全く可愛くてけしからんいやらしい女だ。
「大丈夫だ二人とも。言われ慣れてるさ。」
俺の実家快麻家は武士の一族だ。
そんな武士の一族の次期当主がデイマンとのハーフなんて言うのはおかしいらしい。
だから俺は直径の長男でありながら当主は無理だと諦めている。
最も、現当主の母は俺を何が何でも当主にするつもりらしい。
「しかしひでえな!あの女!葛葉家の次期当主だからって威張り散らしやがって!」
「まあ、敦也の言い分も一理あるなぁ。俺としては、身分関係なく楽しく学校に居たいんだが。」
「だよな冬樹!龍はどうなんだよ?あんなに言われてさ!」
「え?ああ…」
「どしたよ?」
「いや、葛葉の言う通りなのかもなって…」
「それは無いぜ龍ちゃん、種族とかそういうの関係なく、強いやつは強いんだ。そんなのにこだわってちゃ、器の小さい男になっちゃうぜ」
「冬樹…」
「そう、だからこの俺は種族なんてどうでもいいと思っている。ニルフもクットーもヒューマンもレプタードもプリートもデイマンもサファルも、皆等しく俺は愛せる…」
「こんなバカは置いといて帰ろうぜ」
「だな」
俺達は、そんないつも通りのしょうもない話をしながら下校していた。
帰路の途中、俺は家の食材が切れていたことをおもい出した。
「あ、悪い俺買い物しなきゃいけないんだった」
「龍は一人暮らしだもんな〜いいな〜」
「じゃまた明日な」
「おう」
そうして二人と別れた俺はスーパーで買い物を済ませ、暗い夜道を歩いていた。
「随分長く買い物しちまったな…」
現在時刻は夜の九時、これから飯を作るには遅いので、弁当を買おうとしたら、思いのほか長考してしまった。
そんな事を考えながら歩いていると
「ーーべチャ」
目の前に死体が降ってきた。
「え…」
俺は、ただその場に立ち尽くしているだけだった。
いかがでしたでしょうか?
誤字脱字などを見かけた場合、声をかけて貰えたら幸いです。




