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老人が弟子達と2つの世界で色々やらかしますよ  作者: シンカイシン
一章 現代世界の弟子
1/6

01. 工藤 葉根一(クドウ ハネイチ)

 誰かが言った

世界の半分が刈り取られた

 誰かが呟いた

それが世界の為なのだ

 誰かが叫んだ

世界は1つで無ければならない

 誰かが笑った

結局は――


  ()()()()()


――――――――――――――――――――――――――



 まずは自己紹介から始めたいと思う。

と、()()()()()()()()()そう響いた。

 その声で、日曜日の安眠に耽っていた俺は目を覚ます。

 ……えっーと、、状況を整理しよう。

 ベッドの横に置いていたスマホを見る。

 時刻は14時。

 常識的にはバリバリの稼働時間だが、俺基準では(日曜日は)まだまだ睡眠時間である。

 昨日はゲームを明け方までして寝た。

 ただ、それだけだ。

 こんな黒い球は断じて無かった。

 ――聞こえてるか?

 また黒い球から声。

 取り敢えず無視しよう。

 ――変だな?聞こえてない?まぁ、いい。緊急事態じゃから要件だけな。あぁ、その前に自己紹介しとくか。ワシの名前は()()()()().()()()()()、ワシオウと呼んでくれな!


 ……黒い球から、ナイスミドルな声が響く。

 えっ?本格的にわけわからんよ?

 朝、黒い球に起こされて、その黒いのから自己紹介?

 ……ある意味、とてもシュールだ!!


 ――聞こえてると判断してワシ会話続行しちゃうけど、いいよね?いいかな?まぁ、大丈夫じゃろ。で、緊急事態なんじゃけど、君、ワシの()()()()()()()()弟子に任命したから!サチヒト君と、イルガ君から推薦もらってさ!その2人はワシのいる世界に1ヶ月前に転移して来てさ。そっちだと時間経過ズレとるかも知れんが、その2人が君なら大丈夫と太鼓判でさ。あぁ、ワシだけ話して申し訳ないが、とにかく、そういう流れだから。あっ、ステータス見れる様になってないか?


 ステータス?推薦?転移?

 どうしよう?頭ん中絶賛パニック中なんだけど!

 これ、あれか?遂にファンタジー小説でありがちな展開が俺に訪れたのか?

 うわぁ、、実際、意味不明な展開に置かれると全く有り難みを感じないっすね!!!


 と、その最中、轟音。

 そして振動。

 俺は咄嗟に音の方向に目を向ける。

 視線の先には乱暴に壊されたドア。

 その上に一匹の、、

 一匹の――獣が居た。

 色は黒く、犬の様なシルエット。違うのは目が3つ。そして大き過ぎた。172センチの俺より大きい体躯。

 獰猛な息遣い。

 瞬間。

 黒い獣が、俺に向かって跳ねる。

 口を広げ、牙をむき出しにして。

 刹那で理解する。

   俺()()()()()()()()

 ベッドから半身をよじって何とか回避する。

 牙が脇腹を掠る。

 激痛。

 回転しながらベッドから落ちる。

 床に背中から叩きつけられる。

 視界には追従してきたであろう獣の大きな口と鋭い牙。

 喰われる!!

 生存本能が理性より先に働き無意識に首をひねる。

 肩に激痛。

 牙が食い込む音が体内から聞こえる。

 同時に耳元から荒い息遣いも。

 肩が熱い。牙は更に深く、俺の中に侵入してくる。

 死ぬ!!

 ガチで死ぬ!!!!

 嫌だ嫌だ嫌だ、死にたくない。

 俺はこんなとこで死ねないんだ!!


 生への渇望が、その感情が、循環し、爆発する。

 生きたい。ただその衝動が、俺を行動させる。

 その本能に従って、

 俺は獣を()()()()()


 正確には獣の首を絞める様に、

 獣に噛み付かれたまま、

 全身の力を総動員して、抱き締める。

 獣の牙が更に更に深く突き刺さる。

 だが、()()()良い。

 抜かれて、再度、噛み付かれたらアウトだ。

 このまま絞め殺ろす。

 絞め殺してやる。

 絞め殺す。生きたいと渇望した俺が本能で選んだ行動だったが、俺はその選択を信じる。自分の生きる力を信じる。というか、ただ死ぬのも嫌だ。


 足掻いてやる。

 足掻いて足掻いて、最悪道連れにしてやる。

 俺の意図に気付いたのか、獣が牙を抜こうとしてくる。

 そんな事はさせない。

 俺は力を緩ませない。

 激痛。

 締め上げる。

 激痛。

 絞め殺す。

 激痛。

 締め続ける。



 ……そして、どれぐらいの時間が経過したのかは不明だが、獣の動きが鈍くなった気がした。

 一瞬の静寂。

 その後、唐突に脳内に声。



「50ポイントの経験値を獲得しました」


 無機質な女性の声はそう告げた。











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