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2話 ステータス

2話になります。お楽しみください!

 俺は新しい世界で目を覚ます。ひと目でわかるほど、俺のいた元の世界とは異なっている。まずはじめに、今森の中にいるのだが、耳が長い金髪の男性に囲まれているのだ。いわゆる、エルフという種族の人たちだ。


 「おい起きたぞ! 警戒を怠るな!」


 俺を囲うようにエルフたちは厳しい眼差しで各々武器を突きつけてくる。長剣や短剣、槍や銃など様々だ。しかし、1つとしてデザインが同じ武器はなかった。


 「名前はなんだ! どこからこの森に来た!!」


 名前なんて元の世界ではあったが、この世界にはない。それに、元の世界のことを言ったことで信じてもらえるはずがない。ここは、あやふやにして流すか。


 「名前はカイ。どこから来たのかわからないんだ。多分頭を打って、記憶がないんだと思う」

 「記憶がないだと!? そんなの信じられるかっ!! 人間はすぐに嘘をつくという。こいつを拘束しろ!」


 俺は反論の余地もなく、無理やり拘束される。手を身体と一緒に縛られ、ひとりの男性に引かれながら森の中を歩かされる。俺は抵抗しなかった。もし、抵抗した場合、殺されるかもしれない。ひとまず彼らに従っておこう。

 道中、何度も質問をされたが、俺は知らない、分からないとしか答えなかった。それしか答えることができないのだからしょうがない。


 1時間くらいだろうか、俺は引かれながら歩き続けた。歩いても歩いても、森の中だったが、森の中にその景色に似合わない建造物がいくつか見えてきて、近づくにつれてその大きさというものに驚きを覚えた。大都市と言ってもさしつかえないものだ。これがエルフの国なのか。


 「ボーッとするな! さっさと歩け!」

 「すいません」


 俺はエルフの男の指示に従いながら引かれていく。街の中に入ると、俺は蔑んだ目で見られる。ヒソヒソと俺のことを話す声が聞こえる。なんでここに人間が? そんな会話が俺の耳に入った。やはりエルフは人間という種族に敵意を持っているのだろう。

 俺は街の中を歩かされ、この街で一際大きい城まで連れてこられた。その道中ではずっと蔑んだ目を向けられた。だが、そんな目には慣れていた。だから苦しむことはなかった。この世界も結局は元の世界と一緒なのか。俺は心の中にある苦しみが爆発しないように鎮めた。


 俺はその城の中の、いかにも王様がいそうな部屋に連れて行かれた。これからどうなるのだろうか? 死刑になってまた死ぬのか? それだったらあの白い何かが俺をここに連れてきた意味がなくなってしまう。ということはまた違う世界でやり直しだ。それだけは絶対嫌だ。痛い思いまでして、死ねないのは勘弁だ。絶対生き延びてやる。


 「ゼラフ王、この森に人間が侵入しておりましたので、連行して参りました」

 「なんだと!? この森に人間が入るなど、とんだ馬鹿者がいたものだな。おい! すぐにステータス公開の魔道具を持ってこい!」


 やはり王様だった。しかし、王様はとても若そうに見える。本で読んだことはあるが、エルフの寿命は人間より遥かに長いらしいが、本当だったようだ。

 ステータス公開の魔道具。この世界では自分の力というものがステータスとして表示されるのだろう。ゲームに近いな。もしその魔道具を俺に使われたら俺が嘘をついていることがバレてしまう。どうにかしないと……


 「王様! 持って参りました!」


 そこに持ってこられたのは、ただの紙だった。これが魔道具なのか? 俺は驚きのあまり、抵抗することを忘れていた。そのせいですんなりと魔道具が使用されてしまう。


 「《ステータス》」


 その言葉が魔法のキーワードなのだろう。その紙にズラズラと俺の情報が書かれていく。俺の個人情報が見えてくれるに連れ、王様たちは驚愕を隠せないでいる。


 〜ステータス〜

 カイ=アルスエル   男   17歳

 レベル1

 職業 サムライ   出身 不明


 HP 450/450   MP 600/600

 筋力 300

 耐力 300

 敏捷 500

 魔力 500

 魔耐 400

 器用 500


 技能 ────



 俺の能力が紙にすべて映し出されると、王様は血相を変え、俺に判決を告げる。死刑でなければ何でもいい。だから頼む!


 「こいつを牢屋に入れておけ! このカイというものは危険すぎる。警戒度最大の最深部に入れておくのだ!」


 王様の命令とともに二人の兵士が俺のそばに立ち、牢屋に連れて行く。俺がこの城まで来たときと同じエルフではあったが、先程までとは態度が違う。怯えた様子で早く俺から離れたそうにしている。

 なぜか? それは俺のステータスに関わっているのだろう。おそらくステータスが異常的な数値をとっていたか、名前に見覚えがあったかだ。しかし、俺はこの世界での基準もわからないし、有名人物もわからない。推測するのは困難そうだ。兵士に尋ねようと思ったが、恐怖からか聞く耳をもってくれなかった。


 俺は地下5階の牢屋に連れてこられた。地下が全部牢屋になっていて、猛獣の鳴き声や、人間の嘆き声などが聞こえてくる。だが、階が下になっていくほどその声は小さくなり、静けさが際立ってくる。

 最深部5階。それが俺の入れられる牢屋の階層だった。そこには牢屋が1つしかなく、ちっぽけな場所だった。俺はその部屋に入る前に、服を薄っぺらい奴隷服と呼ばれる物に着替えさせる。そして拘束を解かれるかわりに、右足に足かせをつけられる。


 「暴れるような真似はやめろ。そんなことするとすぐ死刑になるからな!」


 俺は最後に念を押されて、牢屋に押し入れられる。そこはいかにも牢屋で、トイレと寝るための布しかなかった。いや、1つだけおかしな点があった。それは一人の男性が同じ部屋にいることだ。金髪の毛が伸び、ボサボサで顔がよく見えない。少し怪しい雰囲気がある。


 「僕はハク。1年前からここにいるんだ。 君は誰なんだい?」

 「俺はカイ=アルスエル よくわからないがこの牢屋に連れてこられたんだ」

 「アルスエル!? それは昔話に出てくる王族の名前じゃないか! どうして君が??」

 「俺に聞かれてもわからないんだ。ステータスにそう書かれているだけで、俺は何も知らないんだ。それにステータスも見られて驚かれるし、もう何が何なんだか……」

 「ステータス?」


 俺は自分のステータスについて語った。そして、自分のステータスは誰でも使える《ステータス》という魔法で知れることを教えてもらった。使ってみると目の前にステータスが写ってくる。だが、それは周りには見えないらしい。

 俺のステータスは平均を大きく上回っていて、いわゆる騎士になりうる素質があるらしい。そして、職業サムライというのは、この世界には存在していないとのことだ。

 俺は色々な事をハクに教えてもらった。俺の素性は教えないのに、ハクはひとつひとつ丁寧に教えてくれる。信頼していいな。そう思わせる存在だった。


 「あのさぁー。そのくらい俺が強いのなら、俺がこの牢屋を壊せばいいんじゃないのか?」

 「いや、無理だよ。右足を見てみて、その足かせにはステータスをすべてないものにする能力がついているんだ。ここからの脱出は不可能と言ってもいいだろう」


 俺は脱出したい。このままこの牢にいたところでポイントはたまらないだろう。だから出てみせる。

 俺はハクとの話を終えて床につくが、それからも脱獄について考え続けた。出たい。ただのその一心で──

読んでいただきありがとうございました。少しずつ登場人物を増やしていこうと思いますが、少し増えすぎたなと感じたらキャラをまとめて紹介する話も作っていきたいと思います。

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