1話 始まりのベル
はじめての投稿です。
おかしな部分だらけだとは思いますが、楽しんで読んでいただければ光栄です。
本の世界の中は自由だ。何が起きてもフィクションで済ませることができる。だが、現実で起きたとしたら、それはフィクションではなくなり、頭にノンが乗ることになるだろう。
だが、そのフィクションがノンフィクションになったら、人間はどうなってしまうのか。自分の力に希望を抱き、英雄への無謀な道を進んでいくのだろうか? それとも、それから目を背けて苦しみながら暮らすのだろうか? 人間は普通その2パターンに分かれるだろう。だが、その2つにも属さない人がいるとしたらどんなものだろうか?
俺はそんな事を考えながら、学校からの帰路を一人で歩く。本を読みながら。そんな俺を周りはどんな風に思っているのだろうか? 俺の先を歩いている同じクラスの山本は何度か振り返って俺を見てくる。なんで後ろを歩いてくるんだよ、とか考えているのだろうか。それとも、あいつ誰だっけ? とか少し気になって見ているのだろうか。だが、どちらにしろ関係ない。俺はそのくらいのクソ陰キャの人間に過ぎないだろう。
昔からそうだった。俺は本が好きで友達との関わりをおろそかにしすぎていた。友達がいたことなど、この人生で一度もない。まぁ、まだ俺は17年しか生きてないが、わかっている。この先も友達と言える存在ができないことに……
別に友達なんて欲しくない、と思っているわけではない。むしろ、本の事を語り合える存在がほしいほどだ。だが、できない。それは俺の容姿が悪いからできないのだろうか?
風がふき、ページをバサバサと無造作にめくる。それに苛立ちを覚え、風が吹く左側をにらみつけるように振り向くと、トラックが俺の方向に突っ込んで来ていた。
はじめてだ、俺が蔑みの視線以外を向けられたのは。トラックの運転手は驚愕していて、周りの通行人たちは哀れんだ目で見てくる。
──あぁ、死ぬのか俺は……
別に死というものに恐怖心は抱いていなかった。むしろ、好奇心があった。いろいろな本で「死」というものが題材となっていたからだ。だが、死というイメージは人それぞれ違うのだろう。だから、俺は興味があった。自分の死というものに。
俺の人生に終わりを告げる衝撃がくる。だが、すぐに次の人生のベルが鳴る。
チリーンチリーン
俺は目を開ける。いや、多分開けたわけではないのだろう。なにか不思議な力によって見せられているのだろう。俺には体というものはなく、意識しか存在しなかった。そんな意識にどこからか話しかけている人がいる。
『あなたは死にました。ですが、あなたはまだその生涯を終えることはできません。あなたはまだ終えるほどポイントを得ていません』
まるでピントがあってないかのように、白いものがぼやけて見える。多分そのなにかが話しかけているのだろう。返事をしたい、だが、声の出し方がわからない。ポイントとは何なのだ? 知りたいのに、知る手段が1つもない。
『あなたにはまだその人生を続けて頂きます。しかし、元の世界ではポイントを貯めることはできないでしょう。ここで私から救済措置を与えましょう。あなたには他の世界に行ってもらいます。その記憶をのこしたままでです。ですが、そのポイントについては教えられません。ですが、きっとあなたなら気がつけるでしょう。あなたは頭が良い子です。期待していますよ』
その白い何かは、一方的に話を終え、白い光を弱めていく。その消えていく姿に話しかけたくて俺は頑張るが、この世界では報われない。完全に光が消えたとき、俺は世界から引き剥がされた。強制的にだ。そのまま、俺の意識は消えていく。何か優しいものに包まれたように。
気づいたときには真っ暗な世界にいた。この世界では自分の身体というものはしっかりと存在している。そんな目を開けているかもわからなくなる世界に1つの青い光が見える。わけもわからずそれに手を伸ばす。いや、俺がそれを欲しいと思って伸ばしたわけでは無い。無意識にそれに手がいっていたのだ。まさに運命というものなのだろうか。だが、それに不安などなかった。
その青い光は俺の一部になるように右手に入り込んでいく。そうして、一体となる。ずっと前からそこにあったように馴染んてくる。その後は……
意識があったのはそこまでだ。そこからは何があったのかわからない。だが、決して悪いものではなかった気がする。気がするだけだがな──
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