alone
なにかしたいことがあるわけでもなく
なりたいものも、何も無い
だからといってそんな自分や世の中を
嫌いな訳でもないのだ
ただ空虚で無意味な
私は、空っぽの抜け殻だったのかもしれない。
学校はいつものように、チャイムがなり
紺碧の空は海に映る
私、梅花 朱音はこの学校では
いわゆる不良やヤンキーって言われる人種だ
確かに気に食わないことが多いとは思うし
部活や学校行事なんかは、興味が無い
私はあまり周りに感心を抱けないのだ。
学校では、ほとんどの授業に出ない
勉強が嫌いな訳ではないけど
ただ、教室に馴染めないし教師も私に一線引いる。
原因は1年の時に教室で暴れて停学になってから
私が周りのヤツに一線を引かれるようになった、
それからは屋上だとか学校の裏とかで時間を潰す毎日
あの日もいつも通り授業サボって
校内をうろちょろしてた
そして旧校舎の鍵が開いていたから
おもむろに入った…
窓も木枠で廊下も木で出来てる
「ここ、いつからあんだよ…」
1歩踏み出す事にギシギシと木が軋む
上に上がる階段をゆっくり上がっていく、
二階の廊下の一番奥の教室
私は何かに引き寄せられるように
扉を開けた…
大きなピアノに白い布がかけられ
ホコリが被っている
そして、布が被せられた大きな何かが
壁に立て掛けられている
「これは…鏡かな。」
自分より大きな鏡と大きなピアノ
あとは何も無い奇妙な教室だけど
授業をサボるにはとっておきの場所かもしれない
街が一望できる窓を開けると
緩やかな風がはいって来る
「いい場所みっけ!」
私は落ち着けるいい場所を見つけて
心から嬉しかった。
学校が終わり、夕暮れの帰り道
「おい」
「あん?」
同じ学校の不良女子共
森本と林田あと男子に負けないぐらい
でかい図体の持ち主、山田。
「あんた、梅花 朱音だね」
「ちょっとつらかしてよぉ」
「なに、あんたら…友達になりたい訳でも
なさそうだね」
「この前、私の彼氏にちょっかいかけてくれた
みたいだねぇ」
「か、彼氏?…ちょっかい?」
あぁ、この前の不良共の事か
優等生の変なやつカツアゲしてた奴ら
でも、女に負けて女が仕返しに来るとわ…
正直、女々しすぎて話にならない。
路地裏に連れて行かれ
今にも襲いかかって来そうな殺気の山田
「前からあんたの事気に食わなかったのよね」
「とりあえず…しねぇやぁあ!!」
山田は拳を強く握り締め次の瞬間には
大きな右腕を振り下ろしてくる。
「遅い!」
持ち前のスピードで振り下ろされた拳を
左に流し、そのまま右脚を重心に体をねじる
左脚が地面につくと同時に右脚を空中に
山田の顔面に目掛けて蹴りを的確に入れる
クリーンヒット。
山田は見事に左に吹っ飛び
コンクリートにめり込む勢いで、ぶつかり
気を失った。
「……」
「おい、あんたらもやるか?」
「ご、ごめんない!」
「ごめんなさい!」
林田と森本は戦意喪失。。。
こんな感じに
私の高校生活はどうしょもなく無意味で
何も生まない青春を過ごしていた。
気持ちのいい晴れた朝
テトラポットが並ぶ防波堤の上を歩き
波の音と、潮風の匂いを感じて
学校に登校する、ちなみにもうとっくに
遅刻だ。
教室の扉を開けても
誰も何も入ってきてないような
そこに誰もいないような
クラスの連中は勉強や黒板に集中して
担任の先生ですら、私には話かけてこない
窓際の一番後の席に腰掛けて
窓から外を見ながらぼーっとする。
それが日常だった。
風が心地よく
カーテンを揺らし、夏の匂いを運んでくる
午後の旧校舎
大きなピアノと鏡がある教室
二つとも大きな白い布をかけられて
実物自体は見たことの無い。
最近はここで授業をサボっている。
「見つけたよ…」
この前の3人組が
これまた殺気をおびながら教室に入ってきた
「はぁ…」
私は心底腹が立った
せっかく誰も来ない、いい場所を見つけたのに
よりによって、こんな馬鹿どもが来るとは
想定外でものすごく腹立たしい。
「ねぇ、迷惑なんだけど。」
「この前の借りは、返させてもらうよ!」
「はぁ…」
山田との2ラウンド目が始まってしまった。