Beginning
この世界とあの世界を結ぶ鏡…
アニーのメイド、クリスティさんは
そう言った。
「ここは、リーリエ帝国第三皇女アニーチェ=リーリエ様のお屋敷でございます。」
何を言ってるんだこの人…
僕は戸惑いと一緒に
周りを見渡した
さっきまでの屋敷とは、まったく
同じ場所だとは思えない…
いつも通り無表情な
クリスティさんの顔を見て
少し落ち着いてきた
僕はあの大きな古い鏡で
あの古い屋敷からこの世界に
来たと
夢や幻想なんかじゃない
僕の五感と脳が全て
現実だと教えてくれた。
「僕が鏡を通ってこの世界に来たのは
分かったよ…」
「はい。」
「で…ア、アニーが皇女?」
「はい、アニー様はリーリエ帝国147代目、女帝ブランカ=リーリエ様の第3位即位者でございます。」
「な、なるほど…」
もう、何もかもが
いきなりで戸惑いの中の僕を一人のこし
クリスティさんの話だけが
前を進んでいく…
(ガチャ)
扉が開いきアニーが綺麗な碧眼をまんまるにして
一瞬立ち止まり何があったのかすぐに理解した
様子で入ってきた。
「そーた、一人で通ってきたの??」
「う、うん、なんか手をかざしたら吸い込まれる感覚で」
アニーがクリスティさんの方を見て
少し頷いた
「そーたは魔力…持ってる…」
魔力…?
僕は耳を疑った
さっきまでの話だけでも
追いつけないのに…魔力?
魔法があるってこと?
僕はアニーにそう問うてみた
「うん、魔力がなかったら…この鏡は通れないの」
「な、なるほど…」
「魔力?…ってたぶんあの魔力だよね
この世界には魔法があるってことか…
なるほど…理解できない。」
「屋敷…案内してあげる…」
アニーはそう言うと
僕の左手を掴み
「こっち!」と力強く引っ張ってきた。
「アニー様、今は物騒ですから、お気をつけませ
あまり遠くへは、おゆきになさらないでくださいね」
僕の住んでる世界の屋敷とは全然違う…
大きさや、内装の装飾
あの屋敷ではないのが一目で分かる
何より凄く綺麗だ
リーフ柄の彫刻や窓のステンドグラス
どこかの宮殿みたいだ
窓からは大きな街が見える
この屋敷は国の中でも高い位置にあるのか
街全体を見渡せる
僕は圧巻の風景に心がワクワクしていた。
そして、アニーが街を指さす
「あれが街だよ…」
「すごい、アニー、案内してよあの街」
「…」
クリスティさんがさっき言っていた
今は物騒だから…どうゆう意味だろう
ただ、アニーの悲しそうに困った表情を見れば
大体の想像いや、その事柄の候補が出てくる
アニーが第三位即位権を持っているとゆうことは
上はもちろん、第四位、第五位即位者も
いる可能性は大きい、即位争いでの危険もあるのかもしれない
候補はまだある、財政の悪化による帝国内の内乱
最悪の場合、帝国と別の国…近隣の諸国と戦争
なんかも有り得る…
僕は思考を許す限り巡らせあまり当たって欲しくない考えを頭の片隅に置き
答えを聞いてみた。
「何かあるの?この国、もしかしてアニー結構危ない感じなのかな?」
「うん…」
彼女はこの国の今を
幼いながらも理解し、それに対して向き合っていた
「リーリエ帝国わね、今両方から挟まれてるの…ローゼ王国と…」
少しためてアニーは、もう1つの国の名前を
言った
「冥府ピアニー…冥王が統べる国…魔族の国…」
リーリエ帝国は東にある国
ローゼ王国と西の海に浮ぶ国冥府ピアニーの
ちょうど真ん中に位置していて
女帝ブランカ=リーリエは今、どちらの国に
着くか決断を余儀なくされている状況らしい。
「な、なるほど…すごく緊迫した状況なんだね」
「うん…だから今はあまり外に行けない、だから
そーたの世界に行って身を隠したり、息抜きしてるの。」
「僕は元の世界に戻れるのかな…?」
僕は1番初めに考えなければ行けないであろう
自分の元いた世界、夏の日本に
帰れるのだろうか。
「帰れるよ、鏡を通れる魔力があればいつでも」
「えぇ!…そうなんだ」
今日一番びっくりしたかもしれない
普通、こうゆう世界に迷い込んだら
帰り方を模索して行くうちに
世界の争いごととか解決していく
パターンじゃないんだろうか。
帰れると分かったら
なんだか、気が抜けて急な事がありすぎたせいの
疲れか肩にズシッとおもしを載せてくると同時に
心の緊張はほぐれて楽になったみたいだった。
ただ、僕はまだ知らない
この世界がこの国がそして彼女の運命が
これから、始まる狂乱の物語の大きな歯車に
なっていくことを…。