mirror
僕はこの少女に
この町にこの屋敷を見た時から
何かに引っ張られて
まるで運命のようなものを感じた。
「藤木!」
(バン!)
先生が教科書で僕の頭を叩く
「授業中だぞー」
「す、すいません」
クラスの人達が笑う
僕は教室で寝てしまってたらしい
アニーと出会ったのが
夢のような気がした
「蒼汰ー」
「どうしたの?ハヤト?」
「何か面白い事ねぇーのかよー」
ハヤトがダルそうに
つまらなさそうに言った
「あー、あのさ…実は…」
「ちょっと!蒼汰!」
委員長のあやかが
怒った表情できた
「あんた、この前言ってた
あの屋敷にハヤトと2人で行ったそうね」
「え…あ、え」
僕はハヤトを見た
ハヤトはバレてしまったと
申し訳そうな顔で
手を合わせている
「あれだけ、行ったらダメって言ったのに、
それに蒼汰が女の子見たとかハヤトがゆうから
事故とかになったらどうするの!」
「あ…えっと、ごめん…」
「はぁ…で、何を見たの?」
なんだかんだあやかも
気になったみたいだった
「それが…いや、ハヤトを怖がらすために
作った話だよ」
僕はとっさに嘘を付いた
なぜかはわからない
でも、あの時のことが
夢や幻想になりそうで
「なーんだ、そんな事だろうと思ったわよ」
「蒼汰ーひどいじゃんかー、マジで怖かったんだぞー」
「あはは、ごめん、ごめんつい」
「こんにちはー」
「こんにちは蒼汰さん、アニー様に会いに来られたのですね」
クリスティが扉の前を掃除していたので
声をかけて門を入った
「アニー様ならいつものお部屋におられます」
僕は何も考えずにアニーの屋敷に来ていた。
(コンコン)
「アニー?開けるよー?」
扉を開けると
アニーは本を読んでいた
「蒼汰…こんにちは」
「こんにちは、本を読んでるの?」
「うん」
「いつも本、読んでるね、好きなの?」
「うん、すき…」
「そうなんだ、外なんかは?いかないの?」
「暑いからからでない…」
アニーはそう言うと少し
悲しそうに俯いた
「蒼汰、ついてきて」
「え、?」
椅子からたちあがり
扉を開けた
立ち上がったアニーは
とても小さくて
小学生ぐらいにしか見えない
アニーにつれてこられた部屋は
大きなクローゼットと白い布がかけられてるピアノ
それと、人二人がゆうにおさまる
大きな鏡があった
僕はその鏡の前に立つと
横にアニーが立って自分を見つめていた
「この鏡…なんだか不思議だね」
「うん」
アニーが頷く…
鏡に写った僕は
このままどこかに吸い込まれそうな気がした
「私はここから来たの…」
「??」
アニーが呟く
僕には意味がわからなかった
アニーは少し変わった子だから
きっとなにかのおとぎ話にでも
影響されたのかな?
そんな風に思った
アニーの部屋に戻り
クリスティさんが入れてくれた
お茶を飲む
アニーは真剣になにかの本を読んでる
時計の針の音と外の風の揺らぐ音が
心地よく聞こえる
僕はそのまま眠りに落ちた
「アニー…アニー?」
「…。」
彼女に声をかける
でも彼女はこちらに気づかない
彼女の頬がガラスのように剥がれ落ちる
振り向く彼女は
まるでガラス製のマリオネットみたいに
ゆっくりと粉々に割れて…
「はっ!ゆ…夢か…」
僕はアニーのベットで寝ていた
少し怖く寂しい夢だった
部屋を見渡しても
アニーの姿はない
外は夕焼けに照らされて
朱色の光が部屋に注ぎ込んでいる
部屋の外に出てみた
隣の部屋もその隣も
鍵がかかってあかなかった
鏡の部屋
開いたのはその部屋だけだった
僕は中に入って見渡した
「アニー?クリスティさーん?」
呼んでみても、なんの反応もない
鏡に僕が映る
僕は鏡に歩いて近づき
腕を伸ばし鏡に手を合わせる
「え?」
僕の腕は鏡にめり込み
そのまま引っ張られるように
冷たく尖った氷に包まれるような感覚で
暗闇の中に吸い込まれていった…
「あら、来てしまったの」
真っ白な光が目入り込む
僕はゆっくり目を開けた
クリスティさんが無表情で立っていた。
「鏡を通ってきてしまったのね」
「え?あ、あれ?」
僕は目の前の光景を疑った
さっきまで鏡の部屋だったのに
綺麗なグランドピアノがいつでも
弾けるように大屋根が開けられ
床には綺麗な赤の絨毯
まるでダンスでも踊る場所のように広々していた
「あ、あの…ここは?」
「蒼汰さん…」
クリスティさんは少し呆れた顔で続けた。
「こっちが本当のアニー様のお屋敷なのです」
「??」
僕は戸惑った…
変な夢をまだ見ているのだと思った。
「この鏡はこの世界とあの世界を結ぶ鏡……」