表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

そのいちっ


「ほら、出番だ。出ろ」

「…………」

「次はこちらの商品でござんす」


 今日は奴隷オークションの日。

 ここは所謂社会の闇だ。


 ここのオークションで買われたモノは奴隷として購入したヒトに尽くすことになる。

 買われるモノの多くは女の子であり、その使い道は様々だ。


 重労働を課せられるモノ

 肉体的精神的にダメージを与えられるモノ


 しかしその多くは、主人の性の処理だろう。


 私もそろそろその仲間入りの頃だ。まさに地獄のような日々。

 私もそんな生活に耐えていかなきゃいけない。


「まずは五千ドルから」


 商人がそう告げると、続々と声が上がった。

 どんどん値段が上昇していく。


 自分の値段は憶えていない。

 私が分かったことは、誰かに買われた。ただ、それだけ。





 今日僕は、奴隷オークションに来ていた。もちろん奴隷を購入するため。

 僕は奴隷を買ってからしたいことがあった。


「次はこちらの商品でござんす」


 そう商人が言うと、一人の女の子が壇上に上がった。


 カタログに載っているプロフィールを見てみると、まだ十四歳だ。

 名前は杏里あんり

 ボロボロの布を着せられているが、肌は綺麗に見える。

 髪は比較的綺麗で、そういうことに使われるのだろうと容易に想像できる。


 そして何よりも目に留まったのはその女の子の目つきだった。

 まるで生気を感じないその瞳は、何も映していないかのように思えた。


 そうして僕は心に決めた。


 どんどん値段が上がる中、僕は叫んだ。


「百万ドル!」


 もう杏里は僕のものだ。





 ご主人様の家に着く。

 ご主人様の家はとても立派なお屋敷だった。


 今日からここで奴隷生活。

 一体どんな命令が待っているのだろうか。


 私は、不安だった。





 タクシーに乗り、自分の家に着いた。


「ただいま」

「おかえりなさいませ」


 メイドが迎え入れてくれる。

 僕のお屋敷には、メイドが一人働いている。

 そこそこ広い屋敷に住んでいる僕だが、このメイドはどうやって管理しているのだろう?僕もちょっとわからない。


「杏里でいいんだよね?」

「はい」

「とりあえず、お風呂に入ってくれる?」

「はい……」


 肌とかは綺麗だけど、その着てるボロボロの布も変えてあげたかったのでお風呂に入ってもらうことにした。

 優しく声を掛けたつもりだったけど、奴隷と言う身分、不安で不安で仕方ないようだった。

 メイドさんに案内を任せて、僕は道具を片づけるために一旦部屋に戻った。





 久々にゆっくりとお風呂に入ることができている。

 あそこにいた頃は時間が決まっていて、とてもゆっくり入ることなんてできなかった。


 一体どういうことなのだろう?

 体を綺麗にしたらいよいよ……ということなんだろうか?


 私にはどんな命令が待っているのだろう。

 不安で仕方がない。

 お風呂に入っているとやっぱり考えてしまう。


 精神的にはあまりゆっくりできなそうだ。





「お、似合ってるね」

「……ありがとうございます」


 お風呂から上がってきた杏里はうちのメイドが用意した服を着ていた。

 と、言ってもこの子用に服を用意していたわけじゃないので、メイドさんが持っている服から着れそうな物を選んできたらしい。

 ごめんね、そしてありがとうメイドさん。

 ちなみにメイドさんの名前はララっていうんだけどね。そう呼ぶと怒るの。怖いよね。


 それはともかく、メイドさんが用意した服はフリッフリのドレスのような服だった。

 白を基調としていて、ベルトに黒いリボンが使われている。

 ちょっと子どもっぽいかな?


「お腹すいてるでしょ?うちのメイドさんが作ったから食べよ?」

「あの……」

「ん?どうしたの?」

「私が作らなくてもよろしいのでしょうか……?」

「あ、うん。うちにはララ……メイドさんがいるからね」


 殺気を感じた……。


「ついてきて」

「はい……」


 なんか杏里がすっごく怖がっているような気がする。

 料理とか自分がするものだと思ってたのかな。

 うちは完璧スーパーメイドさんがいるからなぁ。


 そんなことを考えている間に、ダイニングルームに着いた。


「そこ、座ってくれる?」

「え……」

「どうしたの?」

「ご主人様と同じものを食べるのですか……?」

「そりゃそうだよ」

「そんな!私は奴隷ですよ!?」

「その考えは捨てちゃっていいよ。ただ、一緒に暮らしたいだけだから」

「で、でも!」

「いいの。主人が言ってるんだったらいいじゃんそれで。気にしない気にしない」


 杏里にはうちでまったりと暮らしてもらう。

 奴隷?そんなの関係ないね。

 この子は今日から僕のうちの子だ。


 僕と同じあたたかいご飯を食べて、ゆっくりとお風呂に入って、ふかふかのベッドで眠る。

 そんな生活をさせてあげたい。


「わ、わかりました……」

「まだ警戒してるな?大丈夫だって。君が思っているようなことは何もしないから」


 そう、杏里が思っていることは何もしない。


 ただただ、僕やメイドのララさんと一緒にまったりと過ごしてほしい。それだけ。

次回の更新は、5月29日の21時~22時の間です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ