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水着の破壊力は規格外のようです2

「イ、イイイイイイイイイイブ!!」

「誰その化け物」


 ソルは動揺し過ぎて呂律が回らなくなっていた。

 顔はタコも驚きの赤さで、イブの水着姿を周りに見せないようにあたふたしている。


「ソルいつものポーカーフェイス何処に捨ててきたの。待っててあげるから拾っておいで」


 イブは呆れた顔で手をしっしっと追い払うように振っている。

 すると突然、ソルが両手で顔を覆った。


「マジ無理。ちょっと待って、萌えて悶えて独占したくて死にそう」

「似合ってるってこと?」

「似合い過ぎてつらい。俺の心臓働き過ぎ。誰にも見せたくない。イブは俺を瞬殺できる。殺傷力高過ぎ」


 ソルはイブを上から覆い被さるように思いっきり抱き締める。


「ぬくいねソル。ところでそろそろ水に入りませんか?」

「このまま出よう」

「え?」


 ソルはイブを持ち上げて更衣室へ戻ろうとした。



「ちょっとちょっとお兄さん。それはないでしょ」


 ソルは後ろから声を掛けられ振り向く。

 ソルに声をかけたのは一人の青年だった。

 水色の髪に金の瞳の美形だ。


「誰だお前」

「僕はラン。観光客の案内をしているよ」

「興味ない。イブを見るな」

「独占欲強っ!てかなんか君血の匂いがする。怪我してる?」

 ランはイブに顔を近付けて匂いを嗅ぐ。

「?心当たりはないけど……」

「嗅ぐな」


 ソルはランの顔面をガシッと掴みイブから引き離した。


「はははマジで溺愛だね。イブっていうの?まぁそんだけ可愛いかったら無理もないか、俺も惚れそう」

「見るな。イブが減る穢れる腐る」

「僕は一体何なの?」

「害虫」

「初対面なのにこの言い(よう)……」


 ランは落ち込んだフリをしているがどこかで楽しそうだ。


「はっ!」

「どうしたイブ?」


「この()()()でも()()()(う)」

「イブうるさい」

「ごめんなさい」


「ははは君達面白いね。どう?僕を案内役に雇わない?今王位継承権争いの影響で観光客減っちゃって仕事ないんだよね」


 ランが笑いながら提案してくる。


「ふざけんな、お前雇うくらいならそのへんのドブネズミを雇うわ」

「流石にネズミよりはまともな案内できるよ?あんまり男がいないスポットとかプールに入れなかったこととか忘れるくらい楽しい所とか」

「雇おう」

「毎度あり♪」


「それじゃあイブ着替えておいで」


 ソルはイブの背中をグイグイ押す。


「私の意思丸無視だよね……行ってきます」


 抵抗しても無駄だと察し、イブはしぶしぶ着替えに戻った。



 二人になるとランが口を開いた。


「僕が言うのもなんだけどよく雇おうと思ったね。あんたはあの子に他人を近付けたくないタイプでしょ?」

「下心のある奴はな。」

「あんな可愛い()に下心がない人間なんて居ないでしょ。僕だって今ついつい声を掛けちゃったわけだし」

「嘘つきが。お前はねぇだろ」


 ソルは静かに断言した。

 ランの微笑みが固まる。


「………どうしてそう思う?」

「お前さっきの噴水の所からずっと俺達をつけてただろ。つい声をかけるならイブの見せ物が終わった時点で掛ける」


 ランは肩をすくめる。


「なんだ、気付いてたの。ずっとつけられるくらいなら見える範囲内に置いといた方が安心って訳ね」

「今のところそんな気配はないがな、イブに手を出したら二度と日の光を拝めないと思え」


 ソルはそれだけ言うと更衣室に入って行った。



 独り残されたランは薄く嗤う。



「安心しなよ。危害は加えない」




「一緒に遊ぼう、二人とも」



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