9 りんご
白い髪が太陽によって照らされ、キラキラと輝いているように見える。雰囲気から考えると、年上のように感じる。
「おい、俺が倒してやったんだから感謝のひとことぐらい言えないのか」
「ありがとうございます」
「ありがとう、助かったよ」
私と柚季はそれぞれ感謝の言葉を言う。
「ねぇ、この近くに傷を治してくれるところはないの?」
柚季は急いでいるように言う。 私の腕から出る血は先程に比べると、ましに思えるが、すでに大量の血が出ていることを考えると、危険な状態だろう。
「それなら、薬収集の姉に見てもらうといい」
「どこにいるの、その人は?」
「俺の後ろにいるはずだけど」
彼は木が立ち並び、真っ暗になったところを見た。
げほっ、げほっ、誰かが咳き込む音と、かざがさと草の擦れる音が聞こえる。
「りんご、歩くのはやいよぉ」
「うるさいな、お前がトロトロ歩くのがいけない」
「うぇぇえん、りんごが怒った」
女の人は泣きはじめた。それは誰が見ても、ウソ泣きだとわかる。
ただ目の前に立つ男は違うようだった。チラチラとこちらを見て、どうすればいいんだと目で訴えてきている。
柚季はため息を吐いた。
「お姉さん。ウソ泣きはやめて、はやく梨里の傷を見てくれませんか?」
「ばれちゃったかぁ、その子の傷を見せてちょうだい」
柚季は私の腕を彼女に見せた。
「なるほどね、これは赤の薬が効果がある」
ガサガサと茶色の鞄の中から、赤い液体の小さなビンを取り出すと、蓋を開き、私の腕にかけた。
すると、みるみるうちに血はとまり、傷のあとが全くわからないようになった。