18 二階の敵③
「なすや、つまんない奴だったから殺して」
「了解」
紫頭はニヤリと笑い、紫色の光を放つナイフを俺に向けた。
「ぐさり……」
次の瞬間には、耳元で囁く紫頭。
俺の脇腹から血がじわりと染みだしていた。
「ああああああああああ!!」
脇腹から来る痛みが徐々に全体に広がる。
いや、これは?
「気づいたか?」
「ゲホッ、ゲホッ。毒か……」
「そうだ。それは徐々に体力を奪い、死に誘う効果をもつものだ」
クソ……紫頭のヤロー。
「姉さぁあん。毒と傷と土の薬を」
「わかった。投げるからちゃんと取ってよ」
姉さんは、小さな透明なビンをコントロールよく俺の手に投げた。
「正確すぎだろ」
まずはこの毒の効果を薄める薬を飲む。
相変わらず、苦いな。
傷を治す薬をかけるが、完全に治らない。
後で姉さんに見てもらうか。
そして、最後のビンを地面に垂らす。
地面からは断末魔のような叫び声が聞こえると、地が大きく割れ、二階の床が液体を溢した場所から無くなっていく。
俺は脇腹を抑えながら、三人のもとへ向かうと、一目散にこの場から離れることになった。
二階がなくなり、一階には俺とれもんちゃん、そして──
「ガガガギィィィ……」
「なんだこいつは?」
妙な液体から巨体のモンスターが現れた。
「これはゴーレムだろうね」
れもんちゃんは巨体を見上げ呟いた。




