17 二階の敵②
「梨里!」
柚季の声だ。目の前が真っ暗だから、彼女の顔が見えない。
「梨里ちゃん、もう少し待っててね」
これはみかん姉さんの声。少し声が弱々しい。
あいつが倒れてから、俺一人で紫頭とたたかっているが、相手の方が明らかに上だ。
「くそっ……」
右手から放たれる光線は、全て小型ナイフに弾かれている。
「はは……どうしたぁ?そんな光線全然きかねぇよ!」
あいつの言うとおり光線はきいていない。
あの三人は戦闘できない。
俺はこれ以外に攻撃手段を持っていないことを考えると、敗北は確実。
「それ、ずっと使えるのか?威力落ちてるぞ」
ヤバい。特大の光線に賭けてみるか。
「うおりゃああぁ……」
右手から射出された光線の影響で、身体の右側に強烈な電撃が走る。
「おっ!良いの打てるじゃん」
「でも……」
ナイフを器用にくるくると操ると、風を引き起こした。
特大の光線は、徐々に小さくなり、そして消えていった。
「そろそろ、おしまいにしますか」
ナイフの先端に紫色の光が集まり始めた。
それを俺に当ててくるつもりか。
「ちょっと待ってよ!」
「んっ、れもんちゃん何か?」
「ねぇねぇ、四人に質問!」
「なぜここに来たのかな、教えてくれない」
「それは……」
柚季がそのあとの言葉を言えずにいる。
「んなもの、教えねぇよ!」
りんごは教えるつもりはないようだ。
みかん姉さんは、たぶん私の治療で聞こえていないのだろう。
「あっ、そう」
れもんという子は、怒気を含んだ声でひとこと言った。




