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16 二階の敵
二階は思っていたものと違い、天井はなく、青い空が見える部屋だった。
よく確認すると、おそらく昔はそれがあったのだろう。
ところどころにその痕跡が残っている。
「君たちはここに何のようがあるのかな?」
声のする方を見ると、そこに二人の人がいた。
一人は紫色の髪の男。もう一人は黄色の髪の女の子。
「あー、久しぶり」
今度は先程よりも甲高い声が空気を切り裂くように聞こえてきた。
バラバラバラバラバラ……。
背後で壁から細かな石がこぼれ落ちる音がした。
壁には何かで引っ掻いた後が残っている。
「ごめんごめん。驚かせちゃったかな。それ壊したの私だよ」
笑みを浮かべる私よりも小さな子。この子には見覚えがある。
私たちが異世界に来て、はじめてあった子。
「ちょっと突然攻撃しない……でよ」
私が言いきる前に小型のナイフらしきものが顎に触れる。
「れもんちゃんに偉そうな口を利くな」
顎をそれでぐっと持ち上げると、次の瞬間には左脇腹に鋭い激痛が走った。
私はそのまま壁に激突。
動けなくなった……。