14 ライトアップ
「港町のタワーがライトアップされて、きれい」
「そうだろ」
私とお兄ちゃんは、二人で港町のショッピングセンターに寄った帰り、タワーがきれいだから見ていこうとお兄ちゃんの提案によってタワーに訪れることになった。
タワーは、キラキラと輝き、その後ろにある街といい効果を生んでいた。私は田舎では見ることのできない景色に感動した。
「……梨里」
「梨里」
柚季の声がする。私ははっと意識を現実に戻し、辺りを見渡した。
三人が心配しているような顔をしている。
「大丈夫、何か考え事?」
柚季が声をかけてくる。
「ちょっとね」
私は曖昧な返事をする。三人には、心配をかけすぎたくないという気持ちがある。
とくに柚季には。
「疲れたら言ってね」
私の言葉に何かを感じ取ったかもしれないが、柚季はひとこと言うと優しく微笑んだ。
ベアーズタワーにつくと、瓦礫が辺り一面にあり、人を拒むような雰囲気を漂わせている。
私たちはベアーズタワーの入口と言っていいかわからないが、人が一人通れるくらいの穴から中に入った。
中は真っ暗で何が出てくるかわからない。
外は太陽がギラギラと輝き、暑かったのに、少し肌寒い。
「りんご、真っ暗で何も見えない。いつものやって」
「はぁぁ、わかったよ」
りんごは手のひらから光の玉を出すと、上空に投げ飛ばした。
それは風船のように膨らみ、部屋一面に飛び散ると、真っ暗だった場所は一気に明るくなった。
「何これ、すごい」
柚季は目をキラキラとさせ、感動していた。




