13 タワー
私たちはベアーズタワーに向かうことになったが、そこがどのような場所かわからない。
「この道をまーすぐ行って、突き当たりのところを右に曲がったら、塔が遠くの方にあったはずや」
米田さんの道案内はざっくりとしていて、わかりづらい。
この話を信じるしかない。
言われた通りに米田さんのいた小屋からまっすぐ歩いている。
「そういえば、お前たち武器や技持っているか?」
「持ってない」
「持っているわけないでしょ、異世界に来たばかりなのに」
「そうだよな。いやさっきベアーズタワーに行くと言っていたけど、武器や技を持っていないのに行くと、モンスターが出たときたたかえないなと思って」
「大丈夫、大丈夫。みーんなりんごがやっつけちゃうから、心配しないで」
「ああ、何言ってるんだよ。俺一人で倒せると思ってるのか?」
「思ってるよ、なんたって私の弟だよ、最強に決まってるじゃない」
「おおぅ……」
りんごは頬を真っ赤に染めあげ、果物のりんごのようになっていた。
「まあ、しょうがねぇな」
りんごは渋々と承諾した。
米田さんの説明はあっていたようで、タワーが目の前に見えてきた。
ベアーズタワーは私が想像していたものと違い、かなり古い感じが出ていた。
てっきり港町のタワーみたいなものかと……。