12 米田さん
「ゲホッ、ゲホッ。これやったん誰や」
「ごめんなさい。私です」
「みかんちゃん、前も言ったけど、ドア壊すな。これ直すの時間かかるねん」
「まあまあ、落ち着いてくださいよ」
私たちの前に現れた男は、髭を生やしワイルドな雰囲気を醸し出している。
この人が米田さんだろうか。
「それでどうした?みかんちゃん」
「米田さんって、別世界から来た人に詳しかったよね」
「ああ、何人かそういうのに会ったことあるからな」
「それでお願いがあってきたの、彼女たちは別世界から来て帰りたがっているの」
「ん?そのちっこいやつと、でかいやつのことか?」
ちっこいの……。私は柚季を見る。それと同時に柚季も私を見た。
「かわいいね」
小声で柚季はささやく。突然気にしてることを言われて、少し傷つく。
「米田さん。そういうこと言わない」
みかん姉さんは、頬を膨らませ、注意する。
「すまん、すまん、許してくれ」
「わかりました。許してあげます」
謝るなら私たちじゃないのと思ったが、それよりも異世界から戻る方法を教えてもらうことが先決だ。
「それで別世界に戻りたいんやったな、俺が聞いた話だとこの先にあるベアーズタワーに手がかりがある、いうてたのがおったわ。ほんまかわからんけどな」
「では、そこに向かってみません」
柚季が提案する。それに反論する人はいず、私たち4人はベアーズタワーに向かった。