10 みかん姉さん
「腕の傷が全くわからなくなっている」
「私の作った薬はすごいでしょ」
彼女は、胸を張り、堂々としている。
「あーそうだ。名前を教えてなかったね。私の名前は仲村みかん、それで柄の悪そうな人は、弟のりんご」
「勝手に名前を教えるな」
弟のりんごは、みかんお姉さんを注意する。
みかん、りんごという名前は、かわいい感じがして、私は好きだなぁと考えてしまう。
私も二人に向かって名乗る。
「私は湖山梨里」
私に続いて、柚季も名乗った。
「私は戸村柚季だよ」
「名前はどうでもいい。おまえたちはどこから来た?」
彼は私たちにそう問う。
どう答えるのが正しいかわからないが、
「私たちは別の世界から来たの」
素直にそう答える。これを聞いて、どう思うだろうか。
「そうか、別の世界から……」
それから彼は何も言わなくなった。
一方、お姉さんの方は別の世界というものに興味があるのか、やたらと絡んできた。
その後、私たちは光の街を訪れた。ありとあらゆる場所に、小さな電球が付き、田舎で暮らす私にとって、それは眩しいと思うほどだった。
「みかん姉さん。別の世界から来たと言っている、こいつらどうする?」
りんごが言う。
「そうね。まずは米田さんに会わせようと思ってるけど」
「米田さん……。まああの人に会わせるべきか」