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プロローグ.魔王VS勇者

 かつてこの世界には魔王が存在し、世界は滅びの危機に瀕していた。しかし、異世界から召喚された勇者によって魔王は討たれ、世界には平和が訪れた。

 というのはもう100年も前の話。


「ジェード様、人間が現れました!」


 と、そう言ったのは歩くたびに大きな胸が揺れる、メイド服の少女だった。ただしその頭にはふわふわしたけも耳も揺れていたが。


 そう。彼女は人間ではない。


「わかっている」

 頷くと、ジェードと呼ばれた少年は立ち上がる。


 そして、その少年も、また。


 例えば、この世界に魔王が再降臨したとする。そうすれば世界はどうなるだろうか?


 魔物たちを従え、人間たちと全面戦争が始まったとしたなら――。


 今この世界には異世界から召喚された『勇者』はいない。いや、今後存在しえない。100年前当時、2000年の歴史を誇るプレーナ王国の神聖魔術によって勇者召喚は行われたのだ。しかし、門外不出のその術式は、今は歴史から姿を消した。プレーナは人間同士の戦争によって滅びたからだ。つまり勇者召喚の儀式はこの世界には残っていない。


 勇者が召喚されない以上、魔王側に勝機があるか?


 が、しかし人間の技術力はこの100年で驚くべきほどに進化した。軍事力、と言ったほうがいいかもしれないが。魔王亡き後、各国は領土拡大のため軍備を拡大し、そしてつい十数年前まで世界大戦が行われていたほどだ。


 人間たちの総戦力は100年前の比ではないだろう。だとしたら、勇者召喚の儀が失われていたとしても、魔王側の勝機は薄いかもしれない。


 などと、たまに考えてしまう。脈々と受け継がれた血筋がそれをさせるのかもしれない。


 ジェードは、魔王の血を引いている。

 先代の魔王はジェードにすべての夢を託し、逝ったのだ。


 王都アルヘナから少し外れた森の中にそびえる古城が今はジェードの住処だった。地下には先代の魔王が作ったダンジョンが広がっている。その唯一の入口こそが、この古城なのだ。そのダンジョンの中には数千を超える魔物たちが今か今かと出番を、……ジェードの一声を待っているのだ。


 ジェードは深くため息をつくと、仰々しい扉を開く。


「いらっしゃいませ。ようこそモンスター派遣会社『世界樹(ユグドラシル)』へ」


 様々な特性を持つ魔物たちを臨機応変に派遣し利益を得る、世界のなんでも屋さんこと、モンスター派遣会社『世界樹(ユグドラシル)』社長、ジェード・サーペントである。




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