恐怖のダンボール
翼が何を思ったのか私達の荷物を投げ捨て、どこかに行ってしまった。さすがに怒ってしまったのだろうか?
今すぐにでも追いかけて謝った方がよさそうだ。あそこまで動く翼は初めて見た。余程な事がない限りあんな激しい動きはしない。
俯く美雪の顔を覗くと、この世の終わりの様な表情で涙をこぼしている。やり過ぎた事を悔やんで泣いているのだろう。
「ね、ねぇ。やっぱり謝った方が良いよね?」
返事は無く、ピクリとも動かない。それほど落ち込んでいるのだろうか?
「由香ちゃん。私....私....」
ようやく口を開くが震えている。さらに拳を握りしめ、唇を噛み締めている。
「私...私....」
「うん。大丈夫だからね?そんなに....」
「私の買ったフィギュアが翼のせいで壊れたぁぁぁぁぁぁ!!」
あれから翼を追いかける事を止め、美雪を慰めながら部室に戻る事にした。時間は7時を越えている為、少しばかり急いで戻らないといけない。
廊下を小走りで走っていると、部屋の電気が点いたままになっている。もしかして彼らがまだ待ってくれているのだろうか?だとすれば申し訳ない事をしてしまった。
怒らないか不安になりながらドアに手を掛け、ゆっくりと覗く。
「あれ?」
私達の集めたグッズや、ポスター、コスプレ衣装が全てなくなっている。その代りに、琴岸君のポスターが一面に貼られていた。
「何これ?どう言う事?」「私達のコレクションは?あれれ?」
混乱していると、部屋の奥から謎のうめき声が微かに聞こえる。
「由香ちゃん。幽霊かな?」
「そ、そんな訳ないじゃない!この世に幽霊何て....ゴーストバスターじゃないんだから....本怖じゃないんだから....」
強がりで振る舞うが尋常じゃない程怖い。下手したら失禁しそうだ。
「由香ちゃん、きっとあれだよ。あの中から聞こえてるよ」
美雪が指す方に目を向けると、一際不自然な段ボールが置かれている。
これは、開けなければ話が進まないのだろうか?でも、このまま放置して明日明るい内に確認する手もある。
しかし、どのみち確認しなければいけないんだ。いつ開けても一緒だ。なら、今見てしまおう!!!
「せーので開けるよ?」
「う、うん」
一呼吸をして心を落ち着かせる。
「いくよ!.....せーの!!!!」




