ファンクラブ設立(前編)
窓から外を見ると、空はすっかり夕焼けになりオレンジ色に染まっている。そろそろ帰る頃合いだろう。
「なぁ、琴岸。二人っきりだな・・・・・」
夕焼けに照らされ少し哀愁の漂う高舘は、ゆっくりと手を伸ばし俺の腕を掴む。この展開は一体何を示しているのだろうか?
「琴岸。俺はお前に言わなきゃいけない事があるんだ」
え?本当に想像通りの展開!?しかし、高舘は前俺に怒られて分かったはずだ。
「実は・・・お前の・・・・」
「止めろ!聞きたくない!!」
掴んでいる腕を振りほどこうとするが、掴む力が強すぎて逃げることができない。
「痛いよ!離して!!」
暴れてみるが、非力なため無意味。おとなしくしているのが一番だろう。
自分を落ち着かせ、話だけは聞くことにしてみるが、不安と怒りが心を充満している。やはり俺にたいする高舘の感情は、親友としての好きじゃなくて、恋している方の好きなのだろうか。
「落ち着いて聞いてくれ。お前の・・・・」
やっぱり事実を聞くのは辛い。目を閉じて現実逃避をしようと試みる。
「お前の・・・・・・・ファンクラブを作りました」
そうそうファンクラブ・・・・・・ってええええ!?ファンクラブ!?俺のファンクラブ?
「え?でも俺のファンクラブとか入る人いるの?」
「ん?一応会員は№236まであるぞ?俺は勿論1番だ!」
嘘だろ。嘘だと言ってよ高舘!!
「じゃあ高舘が会長ってこと?なら安心かな?えへへっ」
「ん?俺は1番だが会長では無いぞ。副会長だ」
え?
「会長は~・・・・・」
ガラッ
「ハイハイ!私よ!篠山よ!」
勢いよくドアを開き目の前に現れたのは、久しぶりの登場篠山さんだった。