腐女子大歓喜
怪盗武勇伝タケルのコスプレで盛り上がる二人をよそに、自分は帰る準備を始めていた。置いて行かれた瞬間に予想はしていたが、これ程に二人が盛り上がるとは思っていなかった。
今日発売の漫画でも買って帰ろうかとドアに手をかけた時、買い出しから戻って来た二人に出くわす。両手には大量の漫画とライトノベルが紙袋の中に詰まっていた。
「あれ?男装キャラとチャラ男の同人誌が二次の世界から飛び出して来たでありますか!?」
「うっはぁああ!!最高でありますな!てかこのキモ豚が視界に映ってる時点で萎えるww」
「おい!キモ豚とは人聞きの悪い!君らも同じ様なもんじゃないか!!この部活を一緒に、共に楽しんで歩んできたのにこの仕打ちは酷いでござるよ!!」
「必死過ぎww落ち着けよwww」
「逆にそこまで熱弁されると気持ち悪いwwww私達二人で勝手に歩んで行くからwwwお前は一人で歩んどけww」
女子と男子の口喧嘩だと女子が勝つのは明白な事実である。それが今目の前で起こっている。でもこれは口喧嘩なのだろうか?言葉の合間合間に謎のwがあるのだが、そんなに今の会話に必要であったのかは謎である。
「この二人は部活の見学に来てくださった方々でござるよ!後、この男装キャラは女子ではなく、れっきとした男子でござるよ!!拙者も思わず恋い焦がれる所でござったよぉ」
おいキモ豚、勝手に恋い焦がれるな。
「それは真か!?まさか三次の世界にこの様な男装...いや、男の娘がいるとは!も....持って帰りたい。超持って帰りたい!!」
「私も。持って帰って、なでなでもふもふしたい!!
嬉しいけど、もふもふする様な毛の量は無いぞ。
「おいお前ら、琴岸は俺の物だ。持って帰らせんぞ!!」
おい高舘テメェ調子に乗んな。
「「キャァァァァアア!!目の前でBLな展開が起こっているわよぉぉん!!」」
おい止めろ!決して俺はそんな性癖は持ち合わせていない!高舘も否定しやがれ!!後、腐女子も盛り上がるな!
「華麗な盗みで貴方のハートを盗むでござる」フッ
「高舘ぃぃぃぃ!!それ止めろぉぉぉぉおおおおお!!!!」
高舘の口を塞ごうと駆けだした時、床に積み重ねてある漫画に足を躓かせ、高舘の胸に飛び込んでしまった。思わぬ展開にこの部屋にいる全員が固まる。良い具合に抱きしめられ思わず...
「ふぇ!?」
実際にこんな声って出るんですね。勉強になりました。