チャラ男は子供向けアニメを好む
アニメ研究部?高舘はこの見た目でアニメが好きなのか?いや、人は見た目で判断してはいけない。今ではチャラチャラした見た目の奴でも深夜アニメを見ているご時世だ。大抵にわかだけど。
緊張の趣でドアに手をかけ、ゆっくりと開けるとそこは別世界。まだ見ぬ景色と言ったところか。壁には一面アニメのキャラクターのポスターが貼られており、机の上にはフィギュアが何十体も置いてある。きっと全部合わせるとかなりの値段がつくのであろう。
しかし、これらの物よりも目立っている物がある。それはコスプレの衣装だ。
有名どころからマイナーな物まで結構な種類が揃っており、アニメをあまり見ない俺でも興味がわく。
「あらら、諸君らは見学者の者達ですかな?」
声をかけられた方に目を向けると、金髪のウィッグを付けた見るからにキモオタの姿がそこにはあった。
「そうだけど、ここはお前だけか?」
辺りを見渡すと、キモオタ以外人がいない。もしかしたら一人でやっているのだろうか?いや、一人じゃ部活は廃部になるだろうから、他の人達はまだなのだろう。
「仮にも僕は先輩ですぞ!敬語を使いなさい!しかし、まぁ...いいでしょう。他の者達は買い出しに行ってますぞ」
「「買い出し?」」
「いかにも!今週発売の週刊ジョンプと、今月発売のラノベを買いに行ってもらっているのです!....そうそう、後コスプレを作るための材料ですかね」
まさかコスプレするための服を自分たちの手で作っているとは思わなかった。って事は、コスプレイヤーが自分で作るのは珍しくないって事なのか!?一体その技術をどこで学ぶんだ?
「わざわざ来てくださった訳ですし、コスプレして行ったらどうですかな?待っているのも暇でしょうし」
コスプレか...先輩の家でメイド服を着て以来だな。後、先輩とデートをした時も...あれはコスプレじゃなく女装か。今思うと先輩の前でしかしてないな。
高舘は多分嫌がるだろうし、一応断った方が良いのだろうか?
「すいません。コスプレは止め「おーーーい琴岸~~」
高舘に限ってそんな....
「じゃーーん!怪盗武勇伝タケルのコスプレ!!どう?ねぇ、どう?」
似合わない。これが素直な感想だが、それを言っちゃうと多分泣いちゃうだろうから黙っておこう。
「子供向けのアニメのコスプレをしてはしゃぐチャラ男ってシュールな絵だな」
「子供向けだからって馬鹿にするなよ!視聴率は毎回20%を優に超える超超超面白いアニメなんだからな!何て言ったって、今俺が持っているこのステッキは第6話で大活躍するんだ」
「詳しいですなチャラ男殿。私も第6話には大興奮しましたぞ!!何て言ったって王妃の涙を盗む時に初めて言った決め台詞!!」
「「華麗な盗みで貴方のハートも盗むでござる。........かっこぃぃぃいいいいいい!!!!」」
こっちは二人の空気に魂盗まれそうだよ。