部活見学
ひらりと舞い落ちる一枚の写真。そこに写る美少女と思われる人物は、目の前にいる少年。何故だろう?何故先輩が淫らなポーズをとった彼の写真を持っているのか?もしかしたら、二人はそういう関係だとでも言うのだろうか?薄れる視界の中嫌な予感を巡らせる。
彼を守れるのは私だけだと思ってたけど、本当は山垣先輩だったなんて....
「完敗だぜ....」
あんな写真見せられた時点で負け決定ですわ。
朝から酷い目に合わされた訳だが、先生が来る前に皆の意識が元に戻り、怒られること無く放課後を迎える事ができた。(写真は何故か篠山さんが回収し、俺の手元に戻って来ることは無かった)
溜息をつきながら玄関で靴を履こうとした時、肩に軽く手を置かれる。
「高舘?どうした?」
「いや、お前さ部活見学とか行かねぇの?確か中学の時部活入ってなかったんだろ?」
「まぁ....学校もあまり行ってなかったしね。...あれ?でも何で俺が中学の時、部活入ってなかったの知ってるの?俺達が離れ離れになったのって十年前だよな?」
疑問を問いただしてみると、どこか焦りの表情を浮かべながら言葉を詰まらせている。
光の反射で更に茶色く光る髪の毛から汗が滴り落ちる。額からも尋常ではない量の汗が噴き出ている。絶対何か隠してるだろこの反応は。
「ねぇ........な・ん・で・?」
「あの、それはその、えと、えと...そっれは、えとえと..........そ、そんな事より部活見学に行こう!それが良い。よし決定!!」
強引に俺の腕をつかみ歩き出す。震える手で部活案内の紙を握りしめているが、そこにも汗が染みわたっている。どれだけ焦ってんだよ!と、ツッコみたいがそれを我慢し、高舘に着いて行く事にした。それにしても、ぐちゃぐちゃの部活案内の紙を頼りにどこに行くというのだろうか。
できればあまり動かない文化部がいい。でも、きっと高舘の事だから運動部だろう。昔ジュニアサッカーチームに入ってたくらいだからな。
そう考えると何故俺は高舘の様なモテる要素しかないリア充と一緒にいるのだろうか。見た目は少しチャラくイケメンで高身長。運動神経も良く、友達思いの優しい奴。俺とは釣り合わないんじゃないか?俺には勿体なすぎる友達だ。だから、自分の元から消えて違う友達の方へ行ってしまうのが怖い。俺には唯一の友達でも、高舘にとっては数いる中の一人。あぁ...そんな事を考えると胃がキリキリして来る。
でも本当に高舘がいなくなると、俺はまた前の状態に戻るだろう。
「高舘...」
「な、なんだ?」
「俺と居て楽しい?嫌々とかじゃない?」
泣きそうな顔を必死に隠しながら聞いてみる。あまりにも不安になったためだ。
「楽しくなかったら一緒にいねぇよ。逆に聞くけどさ、俺といて楽しい?」
何故か高舘も不安げな顔で聞いてくる。
「うん。大好き」
「うぇ!?」
思わず凄い事を口から滑らせてしまった!慌てて弁解しようとするが、頭が働かず言葉が出ない。軽くパニック状態に陥っていると、どうやら目的の場所に着いたようだ。
「ここだ。今日の見学はアニメ研究部だ」