攻撃的ヤンでる少女
ドン引きをする事早2分、廊下に倒れている男子達の周りには人だかりができ始めていた。
「篠山さん。どうしてこうなったんですか?もしかして、危害でも加えられたんですか?」
傷一つ無い篠山さんの姿を見て、何故その質問が浮かんだのかは定かでは無いが、念のために聞いてみた。
「いいえ。貴方に会いに来たからボコボコにしてやったのよ」
もし、お笑い芸人のケンコバがこの場にいれば、一言正気ですか?と言っているだろう。
「貴方の事を、やらしい下心丸見えの目で見ている様なゴミクズ当然の肉塊を貴方に会わせる訳にはいかないもの。貴方の目が穢れると同時にあいつらに汚染されるに違いないわ!だから今からこいつらを片付けてくるわ。待っててね」
やばいやばいやばい。俺はきっと昨日何かを目覚めさせたに違いない。目がいつもと違うし、篠山さんの中で何かが覚醒したのだろうか。
この、重く気味の悪い空気をクラスメイトの女子達は全部俺のせいにするのだろうか?事の発端は全部俺だからしょうがないのか?
この空気をヒーローなら助けてくれるのだろうか?
ガラッ
「琴岸!会いたかっ....」
「死にさらせぇぇぇぇぇええ!!!!」
「ギャァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!」
何も知らず入ってきた高舘は、猛スピードで篠山さんにアッパーをくらい地面に倒れた。一瞬ヒーローかと思ったけど見当違いだったようだ。
「篠山さん!高舘に何をするんだよ!!」
勢いとはいえ親友を殴られたら流石に気分は良くない。だからと言って、倒れてる人たちは別にどうでもいいと言う訳ではない。
とりあえず親友だけでも保健室に運ぼうと体を持ち上げる。が、目の前に篠山が立ちはだかる。
「貴方は私じゃ無くて高舘を選ぶの?嘘よね?」
こんなにも夢オチであってくれと切に願ったのは初めてだ。悪い夢ならばそろそろ覚めて欲しいものだ。
打開策を見つけるためにあたりを見渡すが、頼れる物や人は何一つない。もしこの場に先輩がいたら解決してくれていただろうに...
この危機をヒーローなら救ってくれるのだろうか?
ガラッ
「呼ばれた気がして...」
「ホモは消えろぉぉぉぉぉおお!!!」
「ギャァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!」
グーパンが完全に先輩の顎をとらえ、気絶してしまった。
スローモーションの様にゆっくり崩れ落ち、高舘の上に重なるように倒れた先輩の懐から写真が一枚、ひらりと宙に舞う。
「あら、何かしら?」
床に落ちた写真を手に取った篠山さんは、次の瞬間鼻血を吹きだしながら失神する。
「失神する程の写真って一体何だよ...」
興味本位でその写真を手に取ると、俺も驚きのあまり脳内が真っ白になってしまった。
まさか...先輩が俺の女豹のポーズの写真を持ち歩いているなんて....!!