レッツゲーセン!
まさかゲームセンターに興味を持つとは思わなかった。てっきり、「そんな低俗な遊び場に行くと俺の名が廃れるわボケ!」とか言って怒ると思ったのに。
「何しますか?やっぱりマルオカートとか木魚の達人ですか?」
「そ、そそそうだな~やっぱりぃマルオカートは欠かせないよな~。あの爽快感?爽快感がたまらないんだよなぁ」
知ったかぶり乙とはこの事だな。
ゲームセンターに向かうため、俺はさらに手に力をこめエスコートする事にした。
5分後ゲームセンターに辿り着いた我々は、早速マルオカートに百円を入れゲームを開始した。
「おい!クラクションの部分がアイテムボタンとやらになってるぞ!何だこれは!?」
「あぁ、これはアイテムボックスって言うやつを取ったら使えるボタンです。とりあえず一回お試しプレイしてみましょ」
金持ちの坊ちゃんの新鮮な反応はやっぱり面白いな。色々教えたくなってきちゃうよ。
キャラクター選択は、家庭用ゲームの方でも使うキュッパを選択する。結構重量が重いから一回やられると立て直しが遅いんだよなぁ。
先輩は見た目に似合わず、コラボ中のEGGごっちのビーンズっちを選択。先輩の口から、「このキャラクター可愛いですね!」と気に入った様子。随分喜んでくれているので、こっちも嬉しくなってくる。
簡単なコースを選択し、いざレースの始まりだ!!
いい雰囲気でなによりだ。山垣先輩は気難しいと思っていたのだが、まさかあそこまで琴岸に従順とは。完全に惚れてるな。
「本当に傍から見たらイケメンと美少女だな。俺には釣り合わないや・・・・・」
拗ねてる見た目ヤンキーの高舘は目に涙を浮かべながら俯いていた。こいつの涙はいつ枯れるのだろうか?
「釣り合うとか釣り合わないとか、そんな事言わない方がいいよ?余計悲しくなってくるぞ?」
何も持っていない右手を高舘の目の前にもっていき、握りしめる。そして指ぱっちんを鳴らし、手を開けるとそこにはハンカチが現れる。ちょっとしたマジックだ。
「これで涙拭けよ。カッコいい顔が台無しだぞ」
「え・・・?カッコいい?」
「何度も言わせるな、恥ずかしいだろ」
「篠山・・・お前って奴は・・・・嬉しい事言ってくれるじゃねぇか!」
よし、煽てて泣くのを止めさせれたぞ。心にもない事を言うのは結構心に来るな。
私には琴岸ちゃんで頭いっぱいなのだ。こんなチャラ男相手にしている暇なんかない。誘った理由は、ただ一人だと話し相手がいないのが辛いのと、琴岸を好きな者同士で何かが生まれるんじゃないかという期待だ。
嬉し泣きでさらに顔面を崩壊させる奴を放置し、先ほどの位置より接近してみる。随分と盛り上がっている様子を、指を噛みながら我慢して見続ける。いつかは山垣の位置を私にしてやるんだから!
それと、私の手紙に書いてある事を実行してもらわないとね・・・楽しみだわ。