二人を見つめる二人の眼光
何とか気を落ち着かせた先輩は、自販機でお茶を買い即行飲み干す。何に焦っているのか俺には分からないが、この恰好が気に入らなかった訳では無さそうなので一安心だ。
早速ショッピングセンターに足を踏み入れようとした時、先輩の足元に違和感が。
「先輩、靴紐ほどけてますよ。踏んで転んだりしたらダメなので直してくださいね」
靴紐を結ぼうと先輩がしゃがんだ時に、風で勢いよくスカートが捲れ上がる。突然の出来事で反応が遅れてしまい、1、2秒ほどパンツ(黒のレース)が周囲に晒された。
「「・・・・・・・・」」
無言で見つめ合う俺達は、ただ頬を赤らめる事しかできなかった。
柱から琴岸の醜態を鋭い眼光で見つめる二人の猛獣が口を揃えて思わず口走った。
「「可愛い・・・」」
可愛いロリロリの感じの服装のくせに、黒のレースのパンツを穿いていると言うギャップ。一切取り乱さず、もじもじ見つめ合うイケメンと美少女(男)。謎の初々しさを醸し出しながらもどこか探り合う両者。見ていて飽きさせない!!
「そうだろ!?高舘!?」
「あぁ・・・・最高だよ・・・・本当に・・・・」
高舘の額に伝う涙は何を意味しているのだろうか。悔しいのだろうか。羨ましいのだろうか。それとも純粋に混ざりたいのだろうか。
「篠山。ありがとうな、誘ってくれて。今度何か奢ってやるよ」
「そんなのいらないわよ。お礼だけで十分」
自分が善意でやった事にたいしては見返りを求めない主義なので、お礼だけで十分とかっこつけて言ってみたけど、ちょっとかっこつけ過ぎたかもしれない。
自分のセリフの余韻に浸っていると、二人は手を繋ぎながら歩き始めた。
「て、手!?俺には無理って言ったのに!?どうしてだよ・・・俺じゃ不服なのかぁぁあああ!?」
とうとう大粒の涙を流し始める。見ていて何か不憫になってきた。
あまりの号泣に周囲からの目線も痛くなって来たので、高舘の頭を撫でながら一時作戦中止する事にした。流石にこれ以上周囲に騒がれるとばれてしまう。
「一先ず退散だ。行くぞ高舘!」
高舘の手を取り、その場からそそくさと退散した。
何だか外が騒がしいがまぁいいだろう。それより今は先輩を楽しませることだけを考えないと・・・
映画もいいし、服を見に行くのもいいし、CDショップに行って好きなジャンルの話で盛り上がるのもいいしなぁ。それか先輩の見た目的に本屋か?読むとしたらきっとミステリー小説とか、エッセイとかだろうな。
よし、どこに行きたいか聞いてみるか。
「「・・・・・・あの!」」
言うタイミングが被ってしまった。これは気まずい。
「先輩が先にどうぞ」
「そ、そうか?じゃあ言うぞ。ゲームセンターとか言う所に行ってみたいのだが・・・・・」