始まり
やはり僕は360度女の子。低身長で声も高く、なよなよした性格で女らしい仕草。顔は、自分ですら「僕は実際女の子なんじゃ・・・」と思うほどの可愛らしさ。でも僕は女の子が好きだし、男子とは一緒にゲームやカラオケなどして遊びたい。でも、男子は皆下心無しでは僕に近づかない。そして、それを見た女子からは妬みや嫉妬で睨まれる。僕だって男友達が欲しいのに。僕だって彼女が欲しいのに。
本当に生きてて楽しいと思ったことなんて僕には無い。
中学の時点で半不登校ぎみだった僕は、勇気を振り絞って地元からなるべく遠い高校を選び、特色で受験を受けた。しかし、やはり見た目は女の子のせいか、男子の制服を着ている僕は別の受験者たちから好奇の目線でまじまじと見られる。それに耐えながらも受験は終了し、電車に乗らず親に迎えに来てもらい帰宅。
本当に高校でうまく行くのだろうか。不安に駆られ、毎晩枕に涙を濡らせた。
でも、泣いてばかりじゃ駄目だ。僕も変わるんだ。変わった姿を親に見せて喜んでもらうんだ!
まずは僕と言う一人称を変えよう。
「お・・・・・お、おお・・・俺・・・・」
鏡の前に立ち、頬を赤く染めながら練習をする。
これで、これで俺も変わるぞ!!!!
入学式当日。
やはり俺は好奇の目線で見られているようだ。「あそこの男?女?」「顔は可愛いけど制服が男の時点で察しろよ・・・」「に・・・俄かに信じれない」「何あの子。ちょ~ウケル~」
あちこちから俺に関する会話が飛び交うが、それくらい耐えて見せる。耐えなきゃ意味が無い!
見えない場所で拳を握りしめ、我慢をしていると新入生代表の挨拶の時間がやってきた。軽い足取りで横を通り過ぎて行った新入生代表の女の子は、黒髪ロングの清楚系。思わずじっと眺めてしまう。
マイクから聞こえる彼女の声はとても透き通った綺麗な声。アナウンサーに向いている。
「在校生代表、山垣 咲夜。前へ」
校長先生の太い声の後に、スラリと高身長イケメンが前に立つ。あまりにもオーラがありすぎて、在校生と新入生の女子からは歓声が上がる。
「静かに!」
ムスッとした校長先生はマイクに聞こえるか聞こえないかくらいの距離で鼻を鳴らす。嫉妬かな?
確かに世の男子なら嫉妬するレベルであろう。尚更俺みたいな奴からは、もっと嫉妬される。現に俺は嫉妬している。
「新入生の皆さん。生徒会長の山垣 咲夜です。先輩の僕たちが、手を引っ張りますので、これから楽しい学校生活を送ってください。以上です」
完全に女子全員の顔が乙女になってる!やべぇよ・・・この人最強だよ。目が合っただけで妊娠しそうだよ。
だって席に戻る後ろ姿でさへイケメンだから。どこからあんなにオーラを出してるんだ?
入学式も終わり、クラスの指定された席に座る。
しかし、案の定周りは女子だらけ。何故なら_____
ビジネス科だから!!