アルベリヒside
最近笑うことの無くなった息子のためとはいえ60歳の幼児に任せるのは酷な頼みをしたなと今更後悔した
テオフィオスが自宅に戻ってから約30分ほど経過した
やはり説得に難航しているのだろうか……
まあ早くてもあと二時間ぐらいかかるだろう
それまで仕事でもしているか
そんなことを考えていると部屋の前にテオの気配を感じた
いくらなんでも早くないか?
ガチャッ
「陛下ギルベルトを連れてきました」
あまりの早さに驚いているとテオフィオスが入ってきた
その後ろにはテオフィオスの膝以下の身長しかない双黒の幼児がいた
……やはり幼すぎる
人族の一歳程の容姿
つい最近人化出来るようになった幼児だから当たり前か……
はぁキチンと喋れるかすら心配だ
先程の自分の無謀な頼みに苦笑が出て思わず髪をかきあげる
確かに魔力は申し分ないんだがな……
観察をしていると目があった
「御初に御目にかかります陛下
コルネリウス家長男ギルベルト・ロマーヌス・ルーヘン・コルネリウスと申します」
幼児はその途端完璧な王宮作法で挨拶をしたのだ
なんだコイツは!?
大の大人だって間違えてしまうほど複雑な作法を自然にやってのけたのだ
「て、テオ?
お前の息子本当に60歳だよな!?」
あまりの出来事に茫然として幼児に挨拶を返さずテオフィオスに話しかけてしまった
「はい、そのはずなんですが……」
奴も驚いているらしい
それもそうだ
龍族はまず卵からかえって50年は本来の姿だ
その頃はまだ自我が未熟で本能で行動する
個体によって差があるが50から大体60ぐらいの間で人化出来るようになる
人化が出来るようになると言っても中身はまだ幼いため喋ることもましてや歩くこともできない
それなのに喋り、歩き、あげくの果てには王宮作法
規格外過ぎる
そうしているとまた幼児が口を開いた
「陛下時間の無駄です
早くしてください」
冷めた目こちらを見つめながら会話を止めてきた
「ギルベルト!!陛下に何って口を___」
テオフィオスがその態度を叱ろうとすると幼児は真剣な顔をして言葉を被せてきた
「父上時間は一刻を争うのですよ
無駄な話をしている暇などありません」
何をそんなに心配しているのか気になって神経を尖らせてみた
すると離れの使用人の瀕死な魔力と息子の濃密な魔力を感じた
テオフィオスも気がついたのか瞬時に離れの部屋に向かった
0~50 龍体
~100 人化(幼児)
~150 人化(青少年)
150~ 人化(青年)
150から魔界にある学園に入学するのが決まり
つまり義務教育