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Flavor Girl

作者: halyoshi2394

タバコに火をつけた

部屋中に広がる匂いに、少女は閉口した



少女、というのも変な話かもしれない

彼女の存在は微粒子レベルだ



「あのですね、論破されたからってタバコ吸わないでください!」

「今時喫煙者は部屋でしかタバコ吸えないんだ、いいだろ別に」

「私の存在感が希薄になります!」

「わかったわかった」



灰皿で火を消すと、少女は安堵の声を出した



3日前からの非日常

どうやら俺は頭がおかしくなったみたいだ

部屋には俺しかいない

なのに声が聞こえる

ほのかにGONESHの5番の香りと共に



「おまえ、なんなの?」

「見ての通り女の子ですが」

「見えねーし」

「奇遇ですね、私も自分が見えません」

「そうか

この甘い匂いもあんたなのせいか?」

「いい匂いでしょう?」



匂いってのは、目に見えない微粒子が鼻に付着することで感じるらしい

この匂いが、この少女の存在なのだろうか



とにかくタバコを吸えないなんてやなことだ

銘柄を変えてみよう

なるべく甘い匂いのやつに



「それはアウトです、ノーサンキュー」

「ちっ」

「なんですかこれ?Black stone?少女漫画の?」

「そうだ、厳密には葉巻だ」

「へぇ、そうなんですか、初めて見ました」

「その辺で売ってるぞ」

「見ての通りの女の子なのでタバコは詳しくありません」

「あぁ、そうだったな」



「それもダメですねー、アウトー!」

「またか」

「これはなんですか?Caster?」

「コンビニでも買えるぞ」

「知りませんよーっ」

「そうかい」



「あー、これはもう火をつけるまえからダメですー」

「なんでだよ」

「なんですかこれ、黒いですよ」

「Black Devilだ」

「もう匂いが出てます、ココナッツ臭!」

「タバコは諦めた方がいいのか?」

「いえ、そんなことは

でも私の存在に関わるので」

「めんどくさいな」



「そもそもだ、どうしてこの部屋から出ないんだ?」

「あなたが好きだからですっ」

「そうかい」

「あれっ、信じてないです?」

「信じるかよ、姿も見えないし、3日しか関わってないやつの言葉なんか」

「ですかぁ」



「あんた、実体があるときはどうしてたんだ?」

「ごくごく普通の女子高生でしたねー」

「どうしてそんな体になった?」

「なんででしょうねー」

「はぐらかすなよ」

「いいじゃないですか、それよりもうタバコ試さないんですか?」

「あとはその辺で手に入るもんはArk royalくらいだが、あれは嫌いなんだ」

「へぇー」



話題がなくなったので音楽を流す

「これ、誰です?」

「女子高生には古すぎるロックだ」

「でもお兄さんも、そこまで年齢変わらないじゃないですかー」

「おまえ、いくつなんだ?」

「17歳ですっ」

「俺は24歳だ」

「たったの7つじゃないですかー」

「その7年で、どれだけ音楽聴けると思う?」

「いっぱい?」

「その通り」



昨日聴いた音楽で思いついたタバコを試してみよう

「なんですかこれー?」

「ゴロワーズ」

「読めませんっ」

「フランス語だからな」

「あれ?めっちゃくさいですねこれ!キャーっ」

「だろうな、でも俺はこいつが好きなんだ」

「なんですか確信犯ですかっ」

「それは使い方が違うぞ」

「どーでもいいですっ」

「そうかい」

「でもお兄さんが好きなら我慢しますぅ」

「最初から我慢しろよ」



さて、驚くことに、少女の姿が見えてきた

「どうなってんだ?」

「えっ、さぁ?」

「我慢したからか?」

「どうなんでしょうか?」

少女はセーラー服を着ている

まだ透けてるが、髪型はボブで身長は小さめだ

「どうですー?」

「なにが?」

「かわいいですか?」

「さぁ?」

「ぬー、これはもう少し実体化しなければなりませんね」

「そしたら俺が捕まっちまう

そうなる前に出てってくれよ」

「えー、やだー」

「勘弁してくれよ」



さて、確証は無いが、少女が実体化する条件は見えてきたな

しかしこれは、どうしたものか


「なに考えてるんですかー?」

「どうやって半透明のオバケを退治しようか考えてる」

「塩は効きませんよ?」

「だろうな」

「それに追い出すとか、お兄さんにはできませんよ」

「どうしてそう思う?」

「だってお兄さんですもの」



あぁくそっ、また実体化してきやがった

「わっわっ、濃くなりました!」

「良かったな」

「顔も見えます?」

「あぁ、見えるよ」

「ではでは自己紹介です!

私は爽やかな香りと書いてサワカともうします」

「そうかい、俺のことは好きなように呼ぶといい」

「えー」

「…これ以上、好きになるわけにはいかないんだよ」

「なんでですー?」

「俺が好きになるほど、あんたは…」

「サワカと申しますぅ」

「…サワカは実体化していくんだ」

「そうなんですかぁ」

「そうなるとここを出ていくしかないだろ

学校も家もあるだろ」

「そうですねぇ、むぅ…

てかお兄さん、私のこと好きなんですね!」

「そうだな、まだ本気じゃないが」

「それは困りますねぇ

好きになるほど離れちゃうんですかぁ」

「そうだ、でもそのうち出ていかないとまずいだろう」

「そうでもないですよ?我が家は放任なのでっ」

「限度があるさ」

「むぅ、でもでも、私が実体化してもここにいるって選択肢もありますよね!」

「それはないな」

「なんでですかー?」

「…婚約者がいるからな」

「そうですかぁ」

「俺はサワカが好きだ

でもどうにもならないんだ」

「わかりました」

「すまない」

「わっ、実体化しました!」

「もう行くかい?」

「最後にひとつ!質問があります!」

「なんだい?」

「私と婚約者さん、どっちが好きですか?」

「…サワカだ」

「えへへー、ありがとうございます!」

「…すまない」

「いいですよーっ

でも私はしつこいですよ?追っかけますよ?いいですか?」

「好きにしなよ」

「わーいっ

じゃぁ早速ー、えいっ!」

「…おい、何をした」

「えっとー、お兄さんを微粒子にしましたっ」

「おまえ、まさか自分で」

「ばれましたか」

「早く戻せっ」

「ムリですねー、婚約者さんが愛想を尽かすか、お兄さんが婚約者さんのこと嫌いになるまで解けません!」

「サワカ、おまえに愛想を尽かしそうだ」

「それは無いです、だってお兄さんですもの!」



end

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