3話
―未来堂に着いた。
―カランコロンッ
「こんちはー」
―相変わらず、この本屋は不思議だ。
「いらっしゃい、千代君」
カウンターには仁美さんがいた。
「希望!千代君来たぞ」
「うん、分かってる」
―大変だな。
―トトトッ
「千代兄ちゃん!」
菊間の妹の椿ちゃんだ。たしか…小3だった気がする。
「椿ちゃん、大きくなったな」
「えへへ。でも千代兄ちゃんの方が大きいじゃん」
―そりゃそうだ。この歳で小3より小さかったらおかしいだろ。
「でも、コイツ妹に身長負けてんだろ?」
―何故それを知っている?誰にも言ったことねぇんだけど。
「でも、2㎝だけだろ。すぐ抜かす」
―ガタンッ
『仁美さんこれ…お願いします』
―千咲は、目を見開いて驚いていた。
「…よぉ、さっきぶり」
『仁美さん、“東のエデン”はどこにありますか?』
「こっちだよ、千咲さん」
―あの二人、仲良いな。
「こっち来いよ」
菊間に呼ばれて本来の目的を思い出した。
―そうだ、菊間に呼ばれて来たんだっけ。
また勉強or恋愛の話だろう。
「あ、千代君だよね。3年ぶり」
―これは何だろう。夢?現実?どうしてここに白雪先輩が居るんだ?
「兄貴に用があったんだってよ。せっかくだから先輩の話聞きたいなって」
―先輩は、俺らが中1の時に後ろから来た車に轢かれ、意識不明の重体になってしまった。
―俺らが卒業した翌年に退院した。
「お久しぶりです…白雪先輩」
―綺麗になったな、昔も綺麗だったけど。
『兄さん、先帰りますから。早めに帰ってきて下さいね』
「分かった、気をつけろよ」
―只今、時刻16:39。
「…あのさ、中原九音って子知ってる?」
―…そんな名前の奴居たか?
「えっ…と、緑のセーラー服着てる子なんだけど」
「あぁ、少し地味っぽい子?」
―なんか、くせ毛でフワフワした髪の毛の女の子だったと思う。
「そうっ!その子…なんか友達いないみたいなんだけど…あのね。その子と友達になってあげてくれない?」
「「「え?」」」
―マジで?俺の学校生活が思いやられるな。
続く。