1-1 両刃剣-Sword-
「まずは『両刃剣』からね」
ファンがマールに何種類かの剣を見せる。
見れば剣にもいくつか種類がある。ファンはその1つ1つを丁寧に布でぬぐいながら
説明を始めた。
「『剣』と言ってもいくつかの種類に分けられるのね。両方に刃のついているものと
片方にしか刃がついていないもの。剣身がまっすぐなものや曲がっているもの。
それぞれ特徴が異なっているから、陳列するときもその特徴ごとに陳列しないと
いけないのよ」
「まずは一般的な小剣-Short Sword-と長剣-Long Sword-ね。
どちらも両刃剣に属していて、材質は安価な鉄がよく使われるわ。
値段も当然安いんだけど、鉄だから錆びやすいのがデメリットかな。
両刃剣は、斬るよりも、『叩き切る』って感じの使われ方をするから
体重の軽い人には向かないってのもあるわね」
「本来『剣』は騎士が敵の甲冑ごと叩き切ることを目的に使われているから、
冒険者で持つなら短い小剣の方がまだ向いてる。でも斬ることには向かないから
刃こぼれや調理、木を切るなんかの用途には全然向いてない。冒険者向きじゃない
ってことね」
「へ~じゃあ僕には何が良いの?」
「あわてないあわてない。マールが冒険に出るなんて、ホント当分先の話だから
少しずつ武器の特徴を覚えていくのがいいわよ」
「はぁ~い」
小剣と長剣を陳列棚に収めていく。おっともう1度だけ棚を拭いておこうかな。
マールは剣を収めながら、棚を丁寧に拭いていく。
いつか自分でもこの剣を操るときが来るのだろうと妄想していた。