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5-1 短剣-Dagger-

 ファンは後悔していた。


うっかりコボルドの巣に踏み入れてしまったことを。


王都からすぐ近くにある小さな山の麓に、

小さな洞窟があることを発見したファン。


いつもなら、そのままスルーするところを

好奇心に駆られて入っていってしまった。


洞窟はまっすぐ伸びていて、奥には悪臭が漂う。


暗い洞窟だが道がまっすぐで平坦だったので進むには

苦労しない。

いつしか洞窟の突き当たりにたどり着いていた。

漂う悪臭と散らばる骨。

明らかにその場所は何かが住んでいるような形跡が見られた。


「あ!ここ・・」


コボルドの巣だ、と気づいたときにはもう遅かった。


振り返ると入り口から何匹かのコボルドの甲高い鳴き声

が聞こえてきた。


いつもは夜行性のコボルドがこんな日中、しかも王都から

近い場所に巣を張り、外に出ているなんて。

このままではこの洞窟の奥で鉢合わせになる。


ファンは自分の不遇を呪ったが、今はこのコボルド共を

切り抜けなければならない。


だんだん鳴き声は近づいてくる。


手持ちの武器は護身用の短剣のみ。


以前、コボルドと相対したときは戦斧で、しかも油が

あったから切り抜けられたものの、今回は短剣のみで

しかも数が結構いるような気配がする。


まともに真正面からぶつかったのでは、いくら敏捷な

ファンとはいえ、夜目が利き数のいるコボルドには

圧倒的に不利だろう。


コボルドの数次第だが、もうコボルドの集団の中を

突っ切っていくしかないように思える。


護身用の短剣を握り締める。鋼に新種の金属を混ぜた

刃先の鋭い短剣。マールが特注で作った短剣である。


「マール・・守ってね・・」


コボルドの鳴き声がさらに甲高く響く。

匂いで気づかれたに違いない。


ファンは意を決して、コボルドの集団のいるだろう

洞窟の入り口向かって駆けていく。


絶望的な戦いが今始まった。



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