5◆新聞報道
小さな頃から、人に見えないものが見えていた自分。周りから変に思われるのがイヤで、見えないフリを続けていたが、ある朝…。◆ブログからの転載です。
僕はその日、
大きく新聞に載った…
僕は小さい頃から
他の人には見えないものが
時々見えていた。
それは、いわゆる
「霊」と呼ばれるもの
であったり
強い思念が見せた
過去の映像だったりしたが
昔は、僕にしか
見えてないことがわからず
周りの人に
必死に説明しようとして
親からも「嘘つき」と
言われたり、
また
少し大きくなってからは
死体を発見したと思い込み
慌てて警察や救急を
呼んだものの、
悪質な悪戯と思われ
補導された なんてことも
あった。
「ちょっとオカシイ子」
というレッテルを
貼られ続けて
さんざん嫌な思いを
してきたせいで、
最近はもう
何か気付くことがあっても
自分からは、絶対に
何も言わないように
していた。
行動を起こさなければ
見えていないのと
一緒なんだ。
僕だけが「オカシイ」と
言われることはないんだ…
そうしてやっと近頃は
静かで安穏な生活を
手に入れていたんだが
今日、通学途中に
久しぶりに、見てしまった。
歩道に横たわる
血まみれの女性。
僕の通う高校は
駅からオフィス街を
通り抜けた先にあるため、
通学路には学生の他に
サラリーマンやOLなど
たくさんの人が
行き交っているが
テナントビルの玄関近く、
という目立つ場所に
倒れているにも関わらず、
誰ひとりとして
その女性に注意を払う
者はいない。
学校や仕事先に向かって
黙々と歩く人たち同様、
僕も 何も見えていない
フリをして
横を通り過ぎる。
ほら見ろ、
誰も気付いてくれない
じゃないか。
アンタ達に関わったって
いいことなんか何も
無いんだ。
僕はもう警察に呼ばれたり
したくない。
アンタは今
ここに居ないんだよ…
そう考えながら
その女性の真横を
通り過ぎようとした瞬間、
女性の姿は、スーッ…と
消えてしまった。
ほらな。
やっぱり関わらなくて
良かった。
もう僕の視界に
入ってこないでくれな。
しかし
そんな願いもむなしく
「彼女」は、
翌日もその翌日も
それからずっと毎朝
現れ続けた。
その時間に
決まって現れるのか、
それとも僕が来たら
出てくるのか
理由はわからなかったが
校舎を目と鼻の先にした
その場所で
通学路や電車の時間を
変えるのも
今さら面倒だったので
僕は、ひたすら
無視を決め込んでいた。
ピクリとも動くことなく
ただ、血まみれで
歩道に横たわる女性。
そして、僕が近づくと
スーッと消えていく。
そんなことを何度
繰り返しただろうか
彼女がそこに
横たわっている風景が、
当たり前に感じるように
なってきた頃…
ある朝、不意に
彼女は現れなかった。
あれ… 。
ふうん、やっと
諦めてくれたのかな。
今までは、立ち止まる事も
注視することも避けていた
その場所。
何も現れなくなってから
初めて、
僕はその場所に
近づいてみた。
普通のアスファルト、
特に変わった所もない
こんな場所に
何故、彼女は毎朝
倒れていたんだろう…
そう思いつつ、
その場所を離れようと
体の向きを変える直前。
遠くから
「キャーッ!」という悲鳴。
そして突然 体に走る
致命的な激しい衝撃!!
…あ…、そうか…あれは、
霊でも過去映像でもなく
初めて見る
未来予知の映像だったのか…
そう理解した数秒後、
僕は、その場で
息絶えた。
〈翌朝の新聞見出し〉
【飛び降り自殺女性に巻き込まれ、下敷きの高校生死亡】
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