番外編 君は誰? 前編
これもブログからの転載です。
もう外はすっかり闇に包まれみんな寝静まった午前3時。
私は魔王の寝室にある、大きなベットにしゃがみこみ頭を抱えていた。
誰この人――!!
さっきまで私が寝ていた所には、金髪の美青年がすやすやと眠っている。
しかもなぜか上半身裸。
下は履いているかは、シーツで隠れて見えない。
全裸かなんて確認なんて出来っこないし!!
ちなみに私はちゃんと寝巻のジャージを着用しているのは、さきほど確認している。
もしかして、魔王の知り合い?それでベット貸したとか?
でもそれだったら部屋余ってるのあるから、そっちを貸すか。
というか、そもそも魔王が寝室に人を通すわけないよね。私が寝てるんだし。
あ~。起きないで、ずっと眠ってればよかった……
私は起きてしまった事を激しく後悔していた。
さっきトイレに起きたんだけど、まったく最初わかんなかった。
てっきり魔王かと思ったんだもん。
あいつ、私の事抱き枕か何かのようにいつも抱きしめて寝るから。
何かいつもと違う違和感を感じ、月明かりをたよりに見てみる。
すると寝ていたのがこの青年だったのだ。
どうしよう……魔王呼びに行こうかな。
彼の姿はまだ寝室に見当たらない。
まだ執務室で仕事しているのかも。
私はなるべく物音をたてないように、ベットから降り扉へと近づいて行く。
そして金色のドアノブに手をかけた。
その瞬間、まだ力を入れてないのに扉が動いてしまった。
「あ。魔王」
「美咲?どうしたのだ?こんな夜更けに」
そこには片手で数冊の本を抱えるように持った魔王が立っていた。
私を見ると、目を細めて穏やかに笑う。
なんだろう?最近、魔王こんな表情見せるよね。
「え~と……――」
「眠れないのか?」
たしかにあんな光景見て、眠気はどっかに消え失せた。
「あのさ……」
言おうとしたら、ある事が頭によぎって言えなくなってしまった。
浮気してたって思われないよね!?
状況的にはそう思われてもおかしくない。
あ~。でも魔王は私の事好きとかじゃないから、そんな事思わないか。
なんて考えてたのを、数秒後に後悔した。
「美咲?」
ちゃんと言おうと口を開いた瞬間、まさかの人物に先をこされてしまった。
「――ん~……」
ちょい、待てっ!!お前はまだ起きるな!!
なんとさっきまでベットで眠っていた青年が、起きあがってしまったのだ。
まだ眠いのか瞼を擦っている。
っていうか、やっぱ全裸だったのか――!!
「みちゃきさま……?」
こちらを見ながら首を傾げるしぐさが、可愛い。
眠いのか言葉がちょっと赤ちゃんみたいだけど……
いやぁ~、これはかなり目の保養になるよ。
魔界の奴ら目の保養になるけど、あいつらかなり失礼だから。
それがマイナスすぎて、目の保養にはならない。
「――誰だ。お前は」
むしろ、貴方が誰っ!?
私はベットの上にいる人の事もそう思ったけど、今私の隣りにいる人もそう思った。
魔王の声と空気がまるっきり違う。
まるで冷たい氷につつまれているような感じ――っていうか、凍ってる!?
地面や壁が徐々に氷始め、部屋を浸食し始めている。
寒っ。下はまだ長ズボンのジャージだからまだ良い。
上、半袖のTシャツなんですけど~っ!!
両手をさすり、なんとか暖を取る。
「誰に許可を得てこの寝室におるのだ?しかもその格好。まさか、間男ではあるまいな?」
魔王が左手で何かを掴む素振りを見せると、細身の剣が何処からともなく出てきた。
ちょっ、マジで!?殺傷はマズイ!!