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勇者と真亡者の一つの約束  作者: 夜月 ノウ。
第0章 7年後の友達へ
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6."炎瀧の双剣士"ザウン・イグニス

魔法講習

〈魔法の詠唱について〉


魔法の詠唱には二つある。


一つ目、長文詠唱 長文の詠唱文を読み、

         その後魔法名(ネーム)を言い、

         魔法を放つ。

少ない魔力量で魔法を使えるが、時間がかかる。


二つ目、詠唱破棄 詠唱を読まず、

         使う魔法の魔法名だけを言うだけで

         魔法を使える。

魔力を少々多く使い、習得にも時間がかかるが、

短時間で魔法を連発できる。



多分誰も読んでやくれないだろうけど、一応書いときます。


おまけ

ザウンの親父は、シオンの試験官を務めてた

ザイニア・イグニスです。

ザウンのお袋は、

ウンディ・アクアです。

名前使う時用で書いときます。

《なんだ?これ、転移魔法か?》

さっきまでレインたちと一緒にいたはずなのに、気づいたら知らねぇ場所にいた。火山地帯のようだった。


周りにたくさん魔族がいた…

なら、やるこたぁ一つだ。


「おうおう魔族!お(めぇ)らを全滅させに来たぞ!」

俺はそう叫びながら、次々と魔族を切って回った。



「我は魔王軍戦闘部隊教官バーン!"炎の双剣士"ザウンなど、我々の敵でもな…」


「うるせぇどけ!」

何か知らん奴を切り飛ばして、俺はさらに切って回った。



しばらく切っていると、どこからか女の声が聞こえた。


「流石、"炎の双剣士"ザウンね…」

その女が声をかける。


「誰だ?お(めぇ)?」

俺が聞いた。

そいつは、体がマグマのように燃えていた…

魔族か…!


周りにいた魔族よりも高い魔力圧を感じる。


「魔王軍幹部"炎魔の双剣士"イフリードだ。」

双剣士?俺と同じか。

ということは…!


「双剣士!それはきっと強いな!」

俺の言動にそいつは少し驚いていた。

なぜだ?俺、何か間違ったこと言ったか?

俺が1人でちょっと考えていると、


「ふふ、まあいい、貴様のような奴の方が戦いやすい…」

イフリードが何か言っている…俺にはよくわからない。

その瞬間、イフリードが動き出した。



…瞬間、俺の眼前に禍々しい黒剣が突きつけられた。

《危な!》

俺がギリギリで剣を交える…


「…双剣魔法(そうけんまほう)


そして、イフリードが詠唱を始めたと思うと、


炎魔交叉(ブレイズクロス)


魔法名(ネーム)を言い終えたと同時に、

イフリードの剣が炎で染まる…


それを俺はまたギリギリで避ける…


「詠唱破棄…!まあ暴者ともなると妥当か。」

相手は暴者、一応舐めちゃぁいけねぇな…


「そう言う貴様こそ、できるのだろう?詠唱破棄。」

イフリードが聞く。


「そりゃどうだろうな!」

イフリードにそう返した後、俺も魔法名(ネーム)を叫んだ。


双剣魔法(そうけんまほう)炎遠双牙(えんえんそうが)!」


イフリードが避けたが、

《遅い!》


俺の炎遠双牙は、炎の2連斬撃が遠方に飛んでいく魔法。

避けても無駄…

そう思っていた…


《炎が吸収された!?》

俺の炎遠双牙がイフリードに吸収された…


「炎、効かねぇのかよ…!」


イフリードが不適な笑みを浮かべる。


「このイフリードに、水以外は効かぬぞ?」


〈水〉


それは、使わないと決めた…

どんな状況でも、お袋は裏切れねぇ…


「知っているぞ。貴様、水が使えないのだろう?」

イフリードが勝ちを確信したように言った。


知られてるなら…

もう、勝てねぇじゃねぇか…


「双剣魔法…」

それでもイフリードは続けて魔法を使おうとした。


炎魔交集(ブレイズコンバージ)


「っがは…!」


収束された奴の炎と、

重なった双剣が、

風を切る音もなく俺の右胸を突いた。


「双剣魔法…!炎閃迅(ほむらせんじん)!」


音速を超える炎の2連突き。


これが俺の最高速度!

これなら、少しくらいダメージを…!


ブスッと鈍い音がした。刺さった!

だが、当の本人は特に痛くもなさそうだった。


イフリードの余裕そうな笑みに俺が絶望の表情を浮かべていると、

次にイフリードは、俺を蹴り飛ばした…


岩壁にぶつかり、ドンと鈍い音とともに、

体中を刺すような刺激が襲う。


俺は剣を地面に突き刺し、どうにか立とうとしたが、もう一方の剣を落とした。

そのまま岩壁にもたれ、ギリギリで倒れるのを防ぐ。


頭…腕…胸…

俺の体の至る所から血が流れ落ちている…


奴に開けた穴も、既にマグマで再生していた。


今の俺じゃ、魔王どころか、こいつすら倒せない。

あれからの7年で、俺は強くなった気でいたが、

結局俺は、あの日から何も変わってねぇ…


それどころか…

お袋が死んだあん時から、何一つ変わっちゃいねぇ…


戦闘中だったが、あん時のことを思い出してしまった。






「…ザウン。」

優しい声が俺を包みこんだ…


お袋は生前、水理学者だった。


「水はね…火と同じくらい大事なのよ。」


あんときの俺はまだ、水を憎んじゃいなかった。

なんなら、水も使う気でいた。


「お父さんは炎しか使ってないけど、ザウンは両方使えるんだから…」


お袋の声は不思議だった。


「その力で、みんなを守んなさいよ。」


「うん!母さんもみんなも、俺が守る!」


何の根拠もなかったが、なぜか信じれた。

信じられる気がした。


「だってただの酸素と水素の化合物なんだから!」

俺のお袋は少しズレてた。


それでも、俺のことを全力で愛してくれた。


お袋が死ぬ、あん時までは…




「ウンディ…すまない…」

親父がそれだけ言って膝をついた。


それしか言ってなかったのに、

そん時はなぜかわかってしまった。


お袋はもういない。


〈洪水で死んだ〉それだけだったはずなのに、

母も大丈夫だって言ってたはずなのに、


どうしても使えなかった。

〈水〉を使う気になれなかった。

それは、〈水〉のせいで死んじまったお袋を、

裏切ると思ってしまったから…






お袋は、『心配しないで。』と言うはずだ…

それでも俺は、"その言葉"を聞くことができない…

できないせいで、信じることができなかった…



「もうダメだ。やっぱ水なしは無理があったんだ…」


別の属性を使おうともした。

だが、"炎の剣士の父"と"水の学者の母"は、あまり相性が良くなかったらしい…

俺は炎と水以外の属性が使えなかった。


《すまねぇな…レイン。》


もう俺が1人で諦めてたとき、眼前にお袋が見えた。

淡い光を放ちながらただ立っていた…



「すまねぇお袋、俺もう無理だ…」


久しぶりにお袋の姿を見て最初に言うことが『すまん』か…

まあそうだ。もう勝てねぇんだから…

それにこれも走馬灯てやつだろ…

俺死ぬのか…


勝手に1人で負けを確信していると、それまで見ているだけだったお袋が口を開けた。


『…もういいのよ。』


…無理だ。

俺にはお袋を裏切るなんて…

できねぇ…!


それでもお袋は口を止めない。


『裏切るなんて思わないで…みんなを守るんでしょ?』


それでも覚悟ができねぇ…

わかっていても使えない。

体がそうとしか判断できねぇ…


『〈水〉を使って…』

その声は、まるで最後の願いを言うようだった。


『私は…水が好きだから。』


『心配しないで。』


《…んなの、ずりぃだろ。》


言い切るお袋の姿が何かでボヤけてよく見えなかった。


《何泣いてんだよ…!》


俺の顔は涙でびしょびしょだった。


お袋の最後の願いだろ!

最後くらい…叶えさせてやれよ!

俺!!



涙を拭い、俺はゆっくり立ち上がる…

まだ終わっちゃいねぇ…!


イフリードが茫然(ぼうぜん)としていた。


覚悟が決まり、魔力がみなぎる…


見ててくれ、お袋…

いや、母さん…!!



空気が止まったような気がした。



「待たせたなぁ…!」

覚悟の決まった俺の左目は碧く光り輝いていた…

そして表情は、笑っていた。


空気が揺らぎ、マグマが震えている。


「双剣魔法…」


イフリードが危険を察知し、剣を構える…

だが、今の俺にそんなことは関係ねぇ…


「左剣ーー炎閃迅(ほむらせんじん)

「右剣ーー水廻斬(ウンディスパイラル)


音速を超える炎閃迅で即座に近づき、

水廻斬でイフリードの体をえぐり裂く。


俺は絶対、みんなを守る…!


「貴様は水を使えないはずだろ!なぜイフリードを切れる!」

イフリードが混乱しながら言った。


「…ついさっき、使えるようになってよ。」

そんなイフリードにも、俺は冷静に返す。


「双剣魔法、合剣!

 水廻斬(ウンディスパイラル)!」


最後の一撃がイフリードの右胸を貫いた。

風を切る音もしなかった…


ただ一つ、イフリードがドサッと倒れる音だけが、

…響いていた。



「なぜ…水が使えた…"炎の双剣士"…?」

イフリードが聞いてきた。


「ここの枷が外れたんだよ。」

俺は胸を叩いて言った。


「俺はもう"炎の双剣士"じゃねえ…」


俺は決めた。水も使う、お袋の想いを受け継ぐと、


「"炎瀧(えんろう)の双剣士"ザウン・イグニスだ!」

俺は堂々と言い放った。


「…(わっぱ)が、」

イフリードはその言葉を最後に、息絶えた。


それとともに、俺は剣を地面に突き立て、膝をついた。


頭が痛ぇ…体も重ぇ…

使ったこともねぇ水を、詠唱破棄で使い続けるもんじゃねえな…


俺はそう思いながら、再び立ち上がった…


戦ってんのは俺だけじゃねぇ。

レインたちと合流しなきゃだよな…


俺は剣を鞘に納めて、歩き出した…

あの巨大な城に向けて…



お袋、今まですまねぇな…

今度こそ、本当にみんなを守る。

だから見ていてくれ…



《母さん》

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