3.あの日の名前は、ノイフスだ。
ザウン・イグニス
年齢:27歳
職業:剣士
使用者がほとんどいない双剣の使い手。
赤髪ミディアム。身長180cm。
情熱の赤色の瞳。
勇者パーティ〈ノイフス〉の剣士。
その高い機動力で敵を次々と打ち倒す。
父親も剣士として活動していた。
とにかく熱血で、脳筋バカだ。
その一方、仲間のことをよく見ている。
特にシオンのことを考えるレインを…
バカだけど…
バカだけど、仲間思いのいい男。
僕とシオンがコンビを組んで数週間。
「今日もたくさん依頼受けようね!」
シオンが満足そうにコロッケを食べながら言った。
「そうだね。」
そう返した僕の手にも、コロッケが握られていた。
僕たちはすっかりあのコロッケ屋…じゃなかった、肉屋の常連になっていた。
依頼後に通うと言っていたが、こうやって依頼前に行ってしまうこともしばしば…
そして僕たちは、今日も依頼を受けにギルドへ来ていた。
「そろそろきついな…」
コンビを組むのは、基本剣士と魔法使いだ。
つまり僕たちは、あまりよくない例だ。
それでも…
「私はAランクになる!」
シオンが止まるはずもなかった。
でも、僕たちの目的は魔王を倒すこと…
やっぱり最初の目標は、Aランク…
そのためにはパーティを組んだり…
僕が思考を巡らせていると、
「すげぇな、あんたら。」
誰かが話しかけてきた。
背中には双剣を背負い、腕を組んで立っていた。
「誰ですか?」
シオンが尋ねた。
すると、
「ザウン、待ってよぉ…」
「お前…もう少し落ち着いて行動できないのか。」
後ろの方から2人の冒険者らしき人が追いかけてきた。
「お前らが遅ぇんだぜ!」
ザウン?という人が悪びれずに言った。
僕は一瞬で理解した。
シオンと同じタイプだ…
「俺たち、お前らの試験見てたんだけどよ。」
ザウン?という人が続けて言った。
「俺たち、さっき試験合格して冒険者なったんだけど、実力者と組みたいんだ。でも俺らみたいな新参者、誰も相手してくれなくてなぁ…」
「で、私たちに声をかけたの?」
シオンが尋ねた。
「そうだ!お前らの強さに惚れたんだ!頼む。俺たちと組んでくれ!」
どうしよう。
確かにパーティを組むのは、魔王を倒すのに必須…
でも、知らない人ととなると…
僕がまた1人で悩んでいると、
「私に勝ったらいいよ!」
シオンが自信満々に言った。
「いや、大丈夫なの!?」
僕が驚きながらシオンに聞いた。
「大丈夫!私強いから!」
シオンがまたも自信満々に言った。
心配だ…
フラグにしか聞こえない…
しばらくして、試験会場を貸してもらえることになり…
「俺はザウンだ!よろしく!」
「私はシオン。どうぞ、よろしく!」
「それじゃ…開始。」
僕が合図を出す…
同時に2人が剣を持つ。
重剣士のシオンも、双剣士のザウンも、どちらも珍しい剣士。
どちらが勝つか、予想もつかない。
重い大剣と素早い双剣。
力と速度のぶつかり合いだ。
剣と剣がぶつかると、ザウンは横からもう一方の剣で追撃する。
それをシオンがひょいと跳ねてかわす。
最後にシオンがザウンの頭に一撃入れて、
「…終了。」
「はやぁ…」
「まったくだ…」
見ていた僕たち3人が呆れていると…
「あなた強いね!パーティ組もうよ!」
「…は?」
シオンの言葉にザウンが混乱していた。
「大剣は一撃が重いけど、外したら意味がないし隙もできる。それに対して双剣は、速いし隙もあまりない。今この力が出せるなら、きっとあなたの方が強くなる。」
珍しくシオンがもっともなことを言った。
「…いいのか?」
ザウンが尋ねる。
「いいよ!私もパーティ組みたいし!」
シオンが答える。
「ほんとにいいの?」
後ろにいた女の人が僕に尋ねる。
「いいですよ。こうなったら止まらないし…」
「うちのもそうだよ…」
僕たちが呆れていると、
「じゃあ、よろしくな!」
ザウンがうれしそうに笑いながら言った。
「うん!よろしく。」
シオンも言った。
それから自己紹介が始まった。
「改めて、俺はザウン・イグニス。12歳、剣士だ!」
「俺は、クエン・イージス。12歳の守護者だ。」
「私は、ロアン・アルカナ。14歳で魔術師をしています。」
「すごいですね。その年で皆さん上位職なんですね。」
双剣士、守護者、魔術師、それぞれが上位職だ。
「みんなそれしかできないだけよ。」
ロアンが謙遜して言った。
「それじゃあ次は私!」
シオンが元気に言った。
「私はシオン・フォアバー!10歳で剣士!」
「僕は、レイン・アンリミト。10歳で弓士です。」
僕たちも自己紹介した。
「よろしくな!じゃあみんな名前呼びで!」
ザウンが急に言った。
「流石にまだ早いだろ。」
すかさずクエンが突っ込むと、
「いや、早いに越したことはないでしょ!」
「おぉ、シオン!わかってんじゃねぇか!」
シオンとザウンが名前呼びにしようとしている。
「もう、ダメだ…」
僕たちは、諦めた。
そして、パーティを組むことが決まり、僕たちはパーティ名で悩んでいた。
「…パーティ名どうしよう?」
僕がみんなに尋ねる。
みんなが悩んでいる。
沈黙が続いた中、シオンがポツリと呟いた。
「…ノイフス、とかどう?」
「ノイフス?」
シオン以外のメンバー全員が知らない言葉を言い出した。
「…ノイフス、古代語で〈誓い〉ですね。」
受付さんが教えてくれた。
「そう!私たちは魔王を倒すと誓った。だからノイフス。」
シオンが理由を話した。
「それはいいわね。」
ロアンが肯定した。
「俺も異論はない。」
クエンも問題ないようだ。
「レインは?」
シオンが聞いた。
「シオンの言うことだ。異論なんてないよ。」
僕がそう返すと、
「じゃあ決まりだな。」
ザウンが言った。
「では、パーティ名は〈ノイフス〉で、パーティを組むときは、例外なくZランクからのスタートになります。」
受付さんの説明に僕たちは返事をした。
「はい。」
大きな返事だった。
これ以上に、ないくらい。
僕たちが決めた名前。
あの日の名前は、ノイフスだ。
「でも剣士が2人っておかしくないか?」
クエンが尋ねた。
確かに5人パーティで剣士は2人もいらない…
そう考えていると、
シオンが少し考えた後、手を挙げた。
「じゃあ、私が転職する!」
シオンが言った。
「いいのか?」
「うん、私回復とか補助の魔法も練習してたから!」
ザウンの問いにシオンが答えた。
「私はみんなを守るって言ったから。」
シオンが呟いた。
みんなはあまり分かっていなかったが、僕だけには分かった。
だけど言わなかった。あの日の約束がかなったときにでも言おうと思ったから…
これからはこの5人で進み続ける。あの誓いにかけて…
「…これが僕たち勇者パーティ、〈ノイフス〉の始まりだよ。」
「かっこいい。」
「僕も早く冒険者になりたいなぁ…」
「私も私も!」
子供たちが次々に言った。
「冒険者は楽しいことだけじゃないんだよ?」
「それでも僕たちはノイフスみたいになるもん!」
子供たちのまっすぐな瞳に、僕は圧倒されていた。
「レインー。そろそろ行くぞー!」
ザウンが呼んでいた。
「…今行くー!それじゃあ、頑張ってね。」
立ち上がった僕は、子供たちにそう返して、歩みを進めた。
もう、戻ることができないから、僕たちは前を向く。
進み続ける。あの日負けた。あの地に向かって…
「そういえばなんでシオンは〈ノイフス〉の意味知ってたんだ?」
ザウンが不思議そうに尋ねた。
「シオンはあんなだったけど、お母さんが古代語学者だったんだ。よくそういうのを聞いてたらしいよ。」
僕がそう答えると、
「そうか、やっぱレインはシオンのこといろいろ知ってんだな!」
ザウンが分かったように答えた後、
「じゃあ、シオンがわざわざ大剣使ってた理由も知ってんのか?」
ザウンがまた、尋ねる。
「あれは、おじいさんの形見なんだって、シオンのおじいさん、Aランク冒険者だったから。」
僕がそう返すと、ザウンがさっきと同じように答えた。
「そういう"炎の双剣士"ザウンさんが、炎しか使わない理由も僕はいつか聞きたいな。」
僕が何気なく尋ねると、ザウンは黙ってしまった。
まあ、無理に聞く気もないからいいかな…
僕たちは、家に帰った。
本当の最後の戦いに備えて。
準備をするために…
3話だ…!3話まで来たぞ!
エピソードタイトル考えるのが一番ムズイ(揃えたいせいで…)
ここまで読んでくださりありがとうございます。
この先もよろしくお願いします。




