14話 ライトニングミラージュ
第2章始まりました。
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ドレスの画像生成は挫折したのでXで、参考イメージを語れたらいいなと考えています。
「シューティングスター」での劇的な勝利から数週間。真夏の陽光が降り注ぐパシフィック校で、エリ・ホシノは学園生活を送っていた。以前とは見違えるほど自信をつけ、訓練にも積極的に取り組むようになっていた。日々の努力が、彼女の内側から輝きを放っているかのようだ。
そんなある日の午後、エリの元に、スポンサー企業「クサナギ重工」の開発局でミラージュの開発主任を務める母、サキコ・ホシノからの通信が入った。
「エリ、調子はどう?あなたの活躍、いつも見ているわよ」
「えぇ、ちょっと照れるな」
画面に映る母の顔には、柔らかな笑みが浮かんでいた。サキコはエリの「ニューオーダー」での冷静な分析や、海上プラントでのジャミングドローン対処における判断力とミラージュのセンサー能力が遺憾なく発揮されたことを、心から褒め称えた。
「あなたのコンペや実戦での運用データが、私たちの想定を遥かに上回る量と質でね。ミラージュの追加パーツ開発は、驚異的なスピードで進んでいるわ」
サキコの声には、研究者としての喜びと、娘への誇りがにじんでいた。
「近日中に、最初のアップグレードパッケージの試験運用をしたいの。日程を調整してこちらにきてもらえるかしら」
「わかったよお母さん。どんな予定があってもキャンセルして行くからね」
母の言葉に、エリの胸は高鳴った。自分が戦うことでミラージュが進化していく。その事実に、改めて大きな喜びと、そして重い責任を感じる。自分とミラージュは、共に成長し、世界の最前線へと向かっている。
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学園には束の間の平穏が訪れていた。しかし、その裏では、静かに、そして着実に新たな脅威が迫っていた。
その日、ナツメとシェリーは、入間基地で開催される大規模なプロモーションイベントに参加していた。華やかな展示飛行が行われ、多くのスポンサー関係者が訪れている。エリは、クサナギ重工の開発所で、ミラージュの「ライトニングパッケージ」最終調整をしているため不在であった。ナツメとシェリーは、「近いうちにあっと驚くことがあるから楽しみにしててね」とエリが外出前に珍しいほど浮かれていたことを思い出す。
イベントはつつがなく進行し、あとはナツメとシェリーの模擬演習を残すのみとなった。
突如、イベントの喧騒が悲鳴に変わった。
「敵襲!所属不明の航空機による襲撃です!」
会場のスピーカーから緊急警報が響き渡る。空に目をやれば、無数の黒い影が、まるで嵐のように押し寄せてくる。敵の戦力は空戦に特化しており、自衛隊の航空部隊も応戦するが、その物量と、予測不能な動きに苦戦を強いられているようだった。
「シェリー!行くぞ!」
「了解!」
ナツメのクルセイダーとシェリーのドレッドノートが、イベント会場を守るように立ちはだかる。しかし、陸戦ドレスであるドレッドノートは空中は砲撃支援くらいしかできることはなく、航続時間の短いクルセイダーでは、空戦特化の無人航空機の物量に対しては、じり貧になることは明らかだった。空を覆い尽くすほどの敵の猛攻に、戦線はじわじわと後退していく。
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クサナギ重工の開発所。エリは、ライトニングパッケージの最終試験を終え、データを確認していた。そこに、母が駆け込んできた。
「エリ、大変なことになったわ!入間基地が、大規模な無人航空機による襲撃を受けている!」
画面に映し出された基地の状況は、目を疑うものだった。空は敵機で埋め尽くされ、地上は破壊され、自衛隊のドレスや航空機が次々と撃墜されていく。以前の海上プラントでの襲撃とは、規模も、そして敵の殺意もまるで違うことを感じ、エリは息を呑んだ。仲間のナツメとシェリーが、あの中で苦戦している。
「お母さん!私を、ライトニングパッケージで出撃させてください!」
エリはいてもたってもいられず、母に懇願した。娘が、今まさに「戦場」と化した場所へ赴くこと。そして、まだ試験段階の装備を、突発的に実戦投入すること。サキコの表情には、開発者としての抵抗と、母親としての深い懸念が浮かんでいた。
「エリ……しかし、この装備はまだ……」
「私を信じて!」
エリの瞳は、これまでにないほど強い意志に満ちていた。別人のように成長した娘の姿に、サキコは言葉を失う。唇を強く噛みしめた後、深く頷いた。
「……わかったわ。必ず、勝って帰ってくるのよ!」
「うん!必ず!」
エリは力強く返事をし、ライトニングパッケージを装着したミラージュへと乗り込んだ。
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入間基地の空は、無数の無人機によって埋め尽くされていた。ナツメのクルセイダーとシェリーのドレッドノートは、すでに疲弊の色が濃い。自衛隊の装者が駆るドレスも、次々と小破して後退していく。
その時だった。
空に一筋の山吹色の閃光が走り、敵の群れの中を切り裂いた。
「な、なんだ!?」
シェリーが驚きの声を上げる。圧倒的な速度で敵機を撃墜していくその機体は、まるで彗星のようだった。
「まさか、エリなのか!?」
ナツメは識別信号から、それがエリであることを瞬時に察した。その声には、驚きと、そして安堵が入り混じっていた。
空戦と電撃戦を想定したライトニングパッケージは、登場とともに目覚ましい戦果を上げる。その最高速度は他の追随を許さず、レールガンが火を吹くたびに敵機が空中で爆散した。エリは、これまで苦戦していた仲間たちの窮地を、進化したミラージュの力で次々と救っていく。
エリの参戦によって、ナツメは燃料の温存を考慮する必要がなくなった。クルセイダーは一気に加速し、その真価を発揮する。シェリーのドレッドノートも再び勢いを取り戻し、敵を着実に減らしていく。チーム「エクリプス」は、エリのライトニングパッケージという新たな光を得て、反撃を開始した。
残る敵機もあと数機となったところで無人機は基地の設備をめがけて次々と墜落していく。
極力情報を私たちに与えないつもりか。基地の惨状を目の当たりにしながら、エリは未だ正体のつかめない敵に意図に思いを馳せる。久しく感じたことのない憤りがエリの胸中を占めていた。
機体名:ミラージュ:ライトニングパッケージ
装者:エリ・ホシノ
メインカラー:山吹色
スペック:攻撃性能8、防御性能6、運動性能8、継戦能力4、技術的特異性9、運用難度8
武装:スナイパーライフル、レールガン2門、マイクロミサイルポッド、機銃
特徴:ミラージュの第一弾追加パッケージ。ミラージュ本体よりも大きな飛行機モジュールに腹ばいになって入り込むようにドッキングしており、一見すると戦闘機のように見える。空戦特化型の形態であり、最高速度に関して言えば他の追随を許さない。一方で人型でないゆえに細かい進路変更は難しく近接戦は不向き。あらかじめプログラムで組み込まれているマニューバを使用することができ、自由度が低い代わりに操縦者の負担は軽減されている。もともと装備していたスナイパーライフルは機体下部の専用マニュピレータにマウントして使用する。レールガンは2門装備しており、その火力は目を見張るものがある。課題点としては、推進剤にジェット燃料を使用していることや各種武装の使用による消耗が激しいことから経戦能力に難がある。まさに電撃戦を想定したパッケージである。




