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小豆色

作者: 田中碧

選り抜き。イメージ先行で書き上げました。

近所の商店街の途中のテナントの1つに、その店はあった。

ひなびた雰囲気の和菓子屋。

私は数年前、手土産の羊羹を買うためにその暖簾をくぐった。

“また、あれあるかな?”

こっそり気になっているあるモノをさがす。

その店は毎年4月末から5月5日当日まで、小さな「こいのぼり」を店内ガラスケース上に飾っていた。そこにしていた理由は、「皆の邪魔にならぬ所なら」との考えがあった、と、地元のおばあちゃんから聞かされた。彼女もここの客のひとりだった。


やがて客足は遠のき、ついに去年の夏。材料の値上がりと店主の高齢を理由に閉店の告知が貼り出されていた。

“そうだろうなぁ”がいつわりのない本音だった。

そしてしばらくの間、シャッターは開かなかった。


が・・・


今年の春から、同じところで別の店がオープンした。

改装のトンカントンカンがしなくなって見えたのは、木の温もり感じる古民家風に生まれかわった和洋カフェ。田舎にはあまりないらしく、若い客と年配に見える客の両方がチェアを埋め、静かな空気感で満たされている。ドリップコーヒーが香ばしさで集客している模様。


ふと全面に近いガラス張りのウィンドウのあちらこちらに、こいのぼりがたなびいている。皆、主線は白い顔料ペンで描かれた、とても個性豊かな鯉たち。子供からお年寄りまでさまざまに思うままペンを走らせたことがわかる。いいなぁ…。


私もそのペンを手に、ガラス張りの端っこの空いてるところへ小さく、こいのぼりを描いた。

ただ、私のだけ…

一番大きいのを小豆色に染めて店を出て駅前の繁華街へ。


執筆中に頭の中で自動再生されてた曲、「勿忘」awesome city club

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