第8話 あなにやし、えをとこを
「妹、・・・苦しいのか、・・・病院に行こう」
妹の顔が目の前にある。こんなに力があったのか。
可笑しい、…目が違う。瞳孔が大きく開いている。
「あは是汝が幸魂奇魂なり」何、何だ、何処の言葉だ。
「えっと、…妹、何を言ってるんだ」
「あは是汝が幸魂奇魂なり、なが身はいかにか成れる」
あっ、ちょっ、亀さん、大人しくしろっ、暴れるんじゃないっ。
「妹、何処の言葉だ。意味が分からない。冗談は止めよう、なっ」
開いていた瞳孔がすっと小さくなり、戻ったと思ったが、表情は胡乱で、まるで別人。
どうなってる、見た事の無い妹ばかりだ。
「妹、病院に行こう」「セトシ」
瞳孔がまた開いて、俺の着ているTシャツを掴んで脱がすかの様にベットへ倒れ込む。
バッサ。
どうしたら、どうしたら、何をしたらいい。
「下着を脱がせた事を怒ってるのか。謝るから冗談は止めよう、なっ。変な話し方をしないでくれ、早く病院へ行こう」
焦点が定まってない。妹、何処を見ているんだ。
「何かして欲しい事があるのか、何でもする、だから病院に行こう。こんなの洒落にならないって」
「なが身の成り余れる処をもちて、あが身の成り合はざる処に刺し塞ぎたまへ」
「解る様に言ってくれ、俺はバカだから」まただ、瞳孔がスっと小さくなった。
「あなにやし、えをとこを」
瞳孔が、人の目ではないかの様に解放と収縮を繰り返している。
どうしたらいいんだ。救急車を呼ぶか。
「俺が悪かった、謝る、御免。何でも言う事聞くから、機嫌直してくれ。分る様に話してくれ、お願いだ」
「あとなと、みとのまぐはひせむ」
「えー、又、そんなに怒らなくても、分かったよ考えるよ。待ってくれ、何だって、『あと』なんだ、『まぐはひ』、まぐはい、か」
最後の単語は、うーっと、時代劇、時代劇で聞いた事があるな。
「えっと、時代劇では、どんなシーンだ。・・・・・・えっちだ」
ベットから一度降り、残りの衣服を全て脱ぎ捨て、ベットの上にも戻った。
妹は、キングサイズのベットの中央で力なく仰向けに横たわる。
瞳孔は開いたまま、顔に表情がない。
「妹、・・・なぁ~妹、何でもするとは言ったけど」
「なが身はいかにか成れる」
息をする度に、妹から立ち昇り香る何かを吸い込む度に、亀さんが超元気になっていき、頭が可笑しくなりそうだ。
「なが身の成り余れる処をもちて、あが身の成り合はざる処に刺し塞ぎたまへ」
「何を言ってるんだ妹、分るとこ、一か所だけなんだけどっ」
「あとなと、みとのまぐはひせむ」
あ~~~、分からない。一か所しか分からない、まぐはひ。
妹が脱がし取ったTシャツを、手から取りベットの下に落とす。
愛しく、美しく、可愛い妹に触れたい。・・・まぐはひ。
括れた腰を両手で軽く掴んで挟む。「はぁっ」
小刻みに震えている。寒い、・・・訳ないか。さっきからあついと言ってる。
指を動かしてみる。汗で湿っていて、滑らない。
替わりに俺の手の平が吸盤の様に吸い付く。
手を上にあげて行き、膨らみを押し上げ軽く握って揉んでみる。
ぉぉぉおおおっ、やっぱり弾力があって、とても柔らく思考が止まりそうだ。
いいなぁ~、目が離せない。揉んでいると、蕾が膨らんできたのに気付いた。
もう、誰にも止められないぜっ。
ちょっと悪戯をしようかなぁ~。親指で、ちょこちょこっと弾いてみる。
「うぅぅ、あぁっん」ぉぉぉおおお~~~、妹が反応したっ。
今度は足の方へ移動だっ。
足首を持って両足を広げると、・・・二枚貝が少し開いた。
二枚貝からは、潮が流れ出ている様に見える。うーーーん、いやぁ~、汗、かなぁ~。
俺が見ていた教材からの知識では、もし、もしもだよ。
汗でないなら汗の様にさらさらではないはずだ。さっ、触ってみるか。
そ~っと、そ~っとだ。「はふっ」
はー、びっくりした。ちょ、ちょっと触っただけなのに、敏感。
人差し指と親指をすり合わせる。・・・滑らない、やっぱり汗か。
両足の間に入ると、距離を詰め、妹が俺の両腕に挟まる様に手を着こうとしたが、髪の毛を引っ張りそうになった。
右手を妹の項の辺りに持って行き、指で髪を集め頭の上の方に避ける。
その間、左手で自重を支える。
改めて両手を妹の肩の辺りに着き、首を目いっぱい伸ばした亀さんが、二枚貝に割って入る様に動いた。
「ダメっ」小さい声で、はっきりと拒否された。
ーーーーーーーーーーーーーー 注釈 ーーーーーーーーーーーーーーーー
※あは是汝が幸魂奇魂なり
私はあなたの幸運と不思議な徳をもって万事左右する魂です
※あなにやし、えをとこを
ほんとうにいとうしい方(殿方)
※なが身はいかにか成れる
あなたの体はどの様になりました
※なが身の成り余れる処をもちて、あが身の成り合はざる処に刺し塞ぎたまへ
あなたの余ってる所を使って、私の合わさってない所に差し込み塞いでください
※あとなと、みとのまぐはひせむ
私とあなた、陰部を合わせて性交をしましょう
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参考 書籍
鑑賞日本古典文学 第2巻 日本書紀・風土記 角川書店
新潮日本古典集成 古事記 新潮社版