第3話 ストレンジネスを引き付ける力、金力
俺はこれまで妹と母さん以外の女子と会話をした事がない。
高校へ入ってから暫くして、女の子の方から話してくる様になった。
「ねぇ~、兄子君、今日私達カラオケ行くんだけどぉ~、一緒に行かない」
「あっ、俺、悪いっ、家族を迎えに行かないといけないんだ、また、今度」
男子は集り。
「なぁ、兄子。お前、金持ちなんだろ、奢ってくれ」
「あ~、悪いな。俺の小遣いは毎月5千円だ。お前らと変わらん」
「んだよ~、俺の方が多いじゃねーか」「ほっんと悪いな、色々事情があってな」
知らない親戚がやって来て。
ピンポン、ピンポン、ガチャ。「はい」「あ~兄子君かな」「そうですけど」
「あ~そう~、ほら、覚えてないかな、たかしおじさんだ」
「すみません、ちょっと、俺には分からないです。両親のいる時に」
「いやぁ~、あの頃はまだ、小さかったからねぇ~」「え~っと、母方ですか、父方ですか」
「本当に覚えてないんだねぇ~、お父さんの方だよ。お父さんのお母さん、兄子君から見ればおばあちゃんだねぇ~、そのおばあちゃんのお姉さんの長女の息子だ」
「・・・すみません、父さんに来た事を伝えときます。ご用件は」
「・・・そぉ~、またぁ~来るよ」
父さんに伝えると、おばあちゃんのお姉さんは確かにいたらしいけど、病気で幼くして亡くなっている様だった。
寄付を要求する怪しい宗教。
ピンポン、ピンポン、ガチャ。「はい」
「あなたは神を信じますか」「信じません、無宗教です」ガチャ。
ピンポン、ピンポン、ガチャ。「はい」
「あなたの今の幸福を、隣人に分け与えましょう」
「お断りです、俺の家族が苦しんでいても、分け与えてくれなかった」ガチャ。
ピンポン、ピンポン、がっちゃ。
「警察に通報しました」「OHhhhhhh」ガチャ。
妹や両親にも付きまとい、止む無くボディーガードを雇い、妹は中学二年から私立の女子校に転校した。
またまた家族会議の結果、広めの土地を買い、後の事も考えて賃貸マンションを建てる事にした。
意外と早く800坪の土地が購入でき、俺が高校一年の後半には、マンションの設計が始まり、高校二年の春には着工。
そして今年、俺が高校三年、妹が高校一年の7月に完成。
夏休みに入ったと同時に、越して来た。
マンションは6階建て、一階から四階が賃貸で、各階3LDKの部屋が4つ、五階六階が俺達家族の新しい家だ。
五階には玄関ホール、リビング、書斎、キッチン、ダイニング、広めの浴室、両親の部屋がある。
リビングにある北の階段を上がると、六階には40畳程の部屋が三つ、北側に廊下が一本東西に延びている。
それぞれの部屋に、浴室、洗面、トイレがあるが、西側の妹の部屋だけはミニキッチンがある、妹の要望だ。
今俺が空を見上げて、物思いに耽っているこの場所は、六階の広めに作ったバルコニーだ。