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1.転生

ドン――


英里は大学へ看護師国家試験の合格を伝えに行った帰り道に、頭上から落ちてきた()()の下敷きとなった。


「~じょ~!~こ~すか、~」


なに? 頭、いや全身が痛いっ……

何か、聞こえ…


★★★


「んっ、なんか頭痛い…」


目を開けると、絢爛豪華な家具に

ふわふわの貴族が使うようなベッド、きらびやかな花瓶に生けてある色々な種類の花など見たこともない程にキラキラとした部屋だった。


「何ここ…すっごい豪華…」


英里は起き上がった。


コンコンコン。


「システラお嬢様。メイドのミラでございます。失礼いたします。」


え、システラお嬢様?って誰…


ガチャ。


英里はメイドと名乗る30代ほどの女性ミラと目が合った。


「システラお嬢様!あぁ、やっと目を覚まされたのですねっ!ミラはお嬢様が回復されると信じておりました!」


なんかすごく喜んでる…

訂正してもいいのかな…


「あの、ここってどこですか?私システラお嬢様ではないし…色々聞きたいんですけど…」


ミラはハッとした顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。


「すぐに医者を呼んで参ります。少々お待ちください。」


そう言うとすぐにミラは部屋を退出した。


なんか居心地悪いな…場違い感がある…


すくっ。


英里はベッドから立ち上がった。


「あー、やっぱり頭痛い…ガンガンする…」


それにしても、こんなに私の手って白かったっけ…日頃からケアしてる手なんだけど…


待って、もしかして最近流行ってる転生だったりする?


こういう時って鏡見たらいいのか!


見渡すと大きい全身鏡があり、縁などもきらびやかな装飾で飾られていた。


そして鏡の前に立った瞬間、予想が当たったと理解した。


「え、めっちゃ美人!うわー、目大きい!髪も自然なホワイトブロンドヘアだ!ブリーチしてもこんな綺麗にはならなかったのに…」


絹のようなサラサラのホワイトブロンドヘアの腰まである長い髪。夏空みたいな晴れやかなスカイブルーの瞳。綺麗な高さのある鼻。陶器のように白く艶々な肌。線が細く、私が憧れていた体型。


面食いの私にとって、これが私自身であることはとても嬉しい。毎日この美人を愛でられるってことだよね!


コンコンコン。


「システラお嬢様。医師を連れて参りました。失礼いたします。」


ミラと60代ぐらいの医師が部屋に入ってきた。


私を見たミラと医師は目を見開き、慌てた。


「お嬢様。どうかベッドにお戻りください。クーラ医師の説明がございます。どうかご無理をなさらずに。」


「あ、はい。」


英里は申し訳なく思いながらもベッドに戻り、クーラ医師はベッドの隣にある椅子に腰掛けた。


「お嬢様。私が診察させていただく医師のクーラと申します。私から説明させていただきます。お嬢様はパーティーの途中に突然意識を失い、1週間眠られていました。何かお辛いことがあったのでしょう。失礼ですが、お嬢様。ここがどこかお分かりになられますか?」


「分かりません。目が覚めたらここのベッドにいて。」


ミラは悲しそうな顔をし、医師は深刻そうな顔をして頷いた。


「おそらくお嬢様は、何かのショックで記憶を無くされている可能性があります。大変かと思いますが、まずはこの環境に慣れていきましょう。それでは、私はこれで失礼いたします。」


クーラ医師は立ち上がり、深く礼をしてから部屋を出た。


ミラは意を決したような表情をした。


「お嬢様。まずお嬢様のことについて、僭越ながら私の方から説明させていただきます。この国は王家と3つの公爵家から成り立っております。あなた様は、その内の1つであるイチェーロ公爵家の息女システラ・イチェーロ公爵令嬢であります。ご年齢は22となります。」


私、本当に転生したんだ…しかもめっちゃ位高いし…

これってもしかして勝ち組なんじゃない…!


でもなんでこんなことに…


「ミラさん、クーラ医師が仰っていた辛いことって何ですか?」


「お嬢様。私のことはミラとお呼びください。敬語や敬称などはお止めください。お嬢様が倒れられたパーティーで、お嬢様と皇太子殿下との婚約が発表されたのです。お嬢様の希望により先延ばしにしていたのですが、勝手に発表されてしまい、ショックを受けられたのだと思います。」


じゃあ、システラは皇太子殿下との婚約が嫌だったんだ…


待って、それって私…結婚しなきゃいけないの…!


イケメンかどうかも分からないのに…!性格とかいろいろ知らないのに…


「やはりショックですよね。体調が戻るまでゆっくりなさってください。」


「はい。あ、ありがとう。」


ミラはにこりと笑った。


「お嬢様。私はお嬢様が何か食べられそうなものを持って参ります。」


ミラは礼をし、部屋を出た。


「はぁ、どうしよ。やっと看護師になれると思ったのに…絶対出来なさそう…。それに皇太子殿下と結婚なんて、辞退したいな…」


システラはハッとした。


もしかして、公爵の娘なら作法とか叩き込まれるんじゃ…!


また勉強!絶対嫌だ!


よし、私は皇太子殿下と結婚なんてしない!そんな責任負いたくないし、もっと勉強しなきゃいけないのは避けたい!


そうなると、公爵家から抜け出そう!看護の実践は無いけど、知識ぐらいならあるはず!


そのためには、資金集めからだ!

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